運命の桃花~宸汐縁~第7話 消せない怨恨

第7話 消せない怨恨運命の桃花

運命の桃花 第7話 あらすじ

楽伯らくはく霊汐れいせき桃林とうりんに連れ帰ろうとしたが、霊汐れいせき万霊苑ばんれいえんに隠れてやり過ごし扶雲殿ふうんでんに留まった。九宸きゅうしんは戦報を燃やしたことで、しばし戦神職を解かれ禁足を命じられた。雲風うんほうは5万年前何があったのか、おおよそのことに気づいた。元瞳げんどうげん夫人から扶雲殿に行くことを禁じられた。十三じゅうさん司命しめいに求婚して…。

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運命の桃花 第7話 登場人物

霊汐桃林出身の丹鳥族の娘。九宸を目覚めさせた。扶雲殿の侍女になり九宸に仕えている。
九宸天族の戦神。神尊。5万年前に10万の天兵を見殺しにした疑惑を持たれている。
十三扶雲殿の侍女。元は鮫人族の男だった。
花煙扶雲殿の侍女。元は人間だった。
開陽・含章九宸の配下。
雲風九宸の弟弟子。
司命人間の運命を司る神仙。
元瞳九宸の配下だった元征の妹。
元夫人九宸の配下だった元征の母。九宸が元征を見殺しにしたと思っている。
景休山霊界の国師。
赤鷩景休の配下。
楽伯霊汐の父。
青瑶薬王洞で働く霊汐の姉弟子。

運命の桃花 第7話 詳しいあらすじ【ネタバレ有】

霊汐れいせきは父・楽伯らくはくに見張られながら、荷造りをしている。

「ぐずぐずするな。荷造りに手間取るほど住んでおるまい。首に縄をつけてでも連れ帰るぞ。霊汐や、お前の大切な戦神は今後落ちぶれる一方だ。扶雲殿ふうんでんに仕える者も天界から足蹴にされよう。愛する娘に余計な苦労はさせたくないのだ」

楽伯はいつもの通りまくし立てている。

「つらい立場の旧友から大切な者を奪うなんて、男気がない」
霊汐は衣を畳みながら楽伯に言った。

九宸きゅうしんを私の旧友などと言うな。古い顔見知りにすぎん。その理論だと私と天雷真君てんらいしんくんは義兄弟だぞ。お前が九宸きゅうしんの“大切な者”だと?」

「神尊と私は縁があるそうよ」
霊汐が言うと、楽伯らくはくは自分の額を叩いた。

「恥じらいもなく口にするな。お前と縁があるのは洗濯くらいなものだ。蝶よ花よと育てた。侍女になりたいならこの父に仕えよ」

「階下に荷が」
のろのろと歩く霊汐の背に、「きびきび動かんか」と楽伯は言ってため息をついた。

霊汐れいせきは階下でしゃがみ込み膝を抱え、「神尊はどうなる?」と呟いた。

廊下を十三じゅうさんが火鉢を抱えながら歩いているのが見える。
十三は熱さに弱いので持ち方がぎこちない。

風が吹き抜け、火鉢から灰が飛んだ。

十三じゅうさんは仙力で灰を火鉢に戻し、再び歩き出した。
十三の後を元瞳げんどうがついていった。

扶雲殿の門から出た十三は、「どこへ捨てれば?」と呟いた。

「水辺に捨てると万霊苑ばんれいえん水獣すいじゅうがゆだる。…任せて。新しい仙丹を作るので薬王洞が火種を欲している。無尽木むじんぼくを贈れば喜ばれるはず」

元瞳げんどうが十三に言うと、十三は元瞳に火鉢を渡し処理を頼んた。

霊汐れいせきは十三と元瞳のやりとりを柱の陰に隠れ聞いていた。

含章がんしょう開陽かいよう雲風うんほう司命しめいの所に集まり、九宸きゅうしんが戦報を燃やした件について話し合っていた。

「5万年の眠りを経ても神尊の覇気は衰えない」
開陽は明るい表情だ。

「よく考えてものを言え。5万年戦神印を預かり権勢を誇る天雷だぞ。神尊を戦神の座から引きずり下ろす気だ。当時の戦況を伝える書状が灰と消え、神尊は申し開きの余地もない。なぜあんな真似を?」

含章がんしょうは能天気な開陽の認識を改めさせた。

雲風うんほう上神、おとうと弟子からの忠告ならば耳を傾けるのでは?」
含章は雲風に揖礼ゆうれいした。

あに弟子の気性は知っておろう。幽都ゆうと山の戦いには必ず裏がある。九宸きゅうしんさんは何かを隠したいのだ」
雲風は言った。

「神尊をよく知らぬ者は怪しむでしょう。扶雲殿は白い目で見られるはず」
含章は心配した。

「九宸さんは気にも留めない。変に騒ぎ立てて療養の邪魔をせぬようにな」
雲風はその場をまとめた。

元瞳げんどうげん家の霊廟で、元征げんせいの霊前に烈夷れつい族の滅亡を報告した。
「烈夷族と同じ末路をげん家はたどりません」
元瞳は決意を込めて言い、灰の入った箱にふたをした。

『あの方は戦神よ。一品の正神せいしんで天尊の弟子でもある。幾度も天族を救ってきた。きっと耐え忍べるはず』

霊廟から出た元瞳は、夜空を見ながら考えた。

九宸きゅうしんが戦報を燃やした件について百扇ひゃくせん仙君が扶雲殿にやってきて天君の裁きを言い渡していた。

「“しばし戦神の職を解き、扶雲殿にで禁足を命ずる”」
百扇ひゃくせんは天君の命を読み上げた。

「天君の命に従います」
九宸はかしこまって命を受けた。

「申し開くことがあるならお伺いしますぞ」
百扇ひゃくせんは九宸に言った。

「ない」
「己の首を絞めるのですか」
百扇ひゃくせんは言ったが、九宸は何も言わない。

百扇ひゃくせんは帰っていった。

「かばっているのは誅邪ちゅうじゃ元征げんせいですね」
百扇ひゃくせんが去った後、雲風は幽都ゆうと山でのことを話すよう九宸を促した。

「もはや過ぎたことだ」
九宸は言った。

「過ぎておりません。こたびの処罰が物語っています」

「身分の剥奪と謹慎で済んだのは私だからだ。他の者ならば一族皆殺しとなっていた」

九宸は話を終わらせようとした。

「お待ちを。誰かが魔道に落ちたのですね」

「言うな。蒸し返す気はない」
九宸が言うと、雲風は息を飲んだ。

「私は謹慎の身ゆえお前に働いてもらう。…魔君に身を捧げた烈夷族の行方が気になる。幽都ゆうと山に変わりがないか見てこい。…それと霊汐れいせきは帰ったのか」

「そのはずです。天雷てんらいが息巻いて去った日、混乱に紛れて去ったかと。楽伯らくはくはおびえた様子で娘を連れ戻しに来た。もしや封印を…」

「お前は幽都ゆうと山に向かえばよい」

「九宸さんが孤立してしまいます」
九宸の視線を受けて、雲風は「考えすぎですよね」と言い、出かけていった。

十三と花煙かえん以外の侍女は去った。
霊汐れいせき万霊苑ばんれいえんに隠れて楽伯をやり過ごし扶雲殿に帰ってきた。

霊汐れいせき万霊苑ばんれいえんにいたので臭う。

「臭くたっていい。霊汐れいせきは最高だわ。苦難の時の友こそ真の友よね」

十三は霊汐に抱き着き、花煙かえんと共に霊汐れいせきがとどまったことをとても喜んだ。

十三の袖から長生結ちょうせいけつらしき物が落ちた。

「これは何?」
長生結ちょうせいけつを編んでたの?」
「冗談でしょ編むわけない」
十三はムキになって言い張り、仕事をするよう2人に命じ立ち去った。

「十三が長生結を編んでた」
霊汐と花煙は笑いあった。

霊汐れいせきは九宸が謹慎している観雲殿かんうんでん小白しょうはくを放し、「神尊の所へお行き」と声をかけた。

しかし小白しょうはくは反対の方に走っていってしまった。

「そっちじゃないわよ。戻って、小白しょうはく

そこに足音が近づいてきた。
霊汐れいせきが振り返ると九宸が立っていた。

「奇遇ですね」
霊汐は気まずそうに言った。

「用が?」

「神尊、数日前私の不注意で置物を壊しました。神尊が不問に付しても私は後ろめたいんです」

「許す気はない」
九宸は来た方に帰っていく。

「まさか私に責めを負わせるんですか。神尊そばに寄っても?」
霊汐は九宸の背中に一言かけて、近くに寄った。

「桃林に帰らされるのが嫌で、数日間万霊苑ばんれいえんで隠れてました。獣臭さは努力の証しです。午後ずっと体を洗ったのに花煙かえんは“臭くて眠れない”と言うんです。とんだ言いがかりですよ。別に臭くないですよね。嗅いでみてください」

霊汐は九宸の顔の前に右腕を差し出した。
九宸が匂いを嗅ごうとすると霊汐は素早く腕を引っ込めた。

「なぜ帰らない?」

「私は薄情者じゃないです。働き手が足りないのに去れませんよ」

「働き手?」
「そうです」
「有能か?」
「私は…」
霊汐は思案した。

「私ができることは、拭き掃除に掃き掃除です。他にできるのは…」
霊汐は少し考え、「神尊の話し相手です」と嬉しそうに九宸を見たが、九宸は仏頂面だ。

「箱入り娘だったそうだな」

「もともと父は天宮で働いてて、薬王を助手にしてたんです。でもなぜか急に職を辞して、お酒を飲むか私を見張るかの毎日です」

霊汐は不貞腐れたように話している。

「ずっと桃林に軟禁を?」

「まさか。賢い私を閉じ込められるもんですか。三月か四月に1度は抜け出しました」

「難なく?」

「運がよければ数日遊んで、運が悪いと家を出る前に捕まります。私は仙術こそ平凡ですけど、毒と幻術に精通し法術陣や結界を破るのは得意なんです」

「行き先は?」
「いろいろです」
幽都ゆうと山へは?」

「いいえ」と一度霊汐れいせきは答えたが、「行きました。でも途中で連れ戻されお仕置きを。あんなに怒った父は初めて見ました」と言い直した。

「ただしたどり着いても入れませんよ。魔君の眠る幽都ゆうと山は魔気に覆われてます」

「入れる」

「なぜ?…早くから私の才能を見抜いてました?自覚はあったんです。だけど父は手厳しくて“5万年も修行して地仙とは嘆かわしい”と。私は…こんなに賢いんだし素質はあるはず。父の教え方が悪いんです。…神尊、いつ地仙になりました?私は2万2千歳の時です」

「私は地仙として生まれた」

「なら上神になったのは?」

「2万2千歳だ」

「小仙の上は地仙。その上は天仙に上仙。さらに上は天神と上神。神尊うそですよね。大ぼらを吹くなんて、うそをついてまで、いじめるんですか。聞いてます?」

観雲殿かんうんでんからは大きな月が見えた。

司命しめいは何かを避けるように何度も後ろを確認しながら天宮を歩いている。

司命が角を曲がった時、前から十三じゅうさんが歩いてきた。
司命は目を丸くして驚き、後ろを向いてきた道を引き返した。

十三が追ってこないことを確認し、司命がほくそ笑んでいると、混金鎲こんきんとうが飛んできた。

「一歩でも動けば混金鎲こんきんとうが黙っちゃいない」
逃げようとする司命の背に十三は言った。

司命は振り返り、愛想笑いをした。

「誰かと思えば石山せきざんではないか。最近見かけないから案じていた。昔話に花を咲かせたいが何かと忙しくてな。これにて失礼する」

「待って」

「どうかこの場はお見逃しを」
司命は十三に揖礼ゆうれいし頭を下げた。

「その目は節穴?男か女かも分からない?今は石山せきざんじゃなく十三じゅうさんと名乗ってる」

十三じゅうさんだって?」
司命は目を丸くした。

「仙女に?」
司命が言うと、十三は少し俯き、嬉しそうに微笑んだ。

十三は司命を花咲く庭園に連れていった。

「今まで私を避けてた理由を吐きなさい」

石山せきざん
「何て?」
司命は失言したとばかりに口を押え「十三」と言い直した。

「避けていた理由は分かるだろう」
「言って」

「ならば言おう。5万年前、そなたは鮫人こうじん族の男であった。出会ってすぐに親しくなり共に北海を巡った酒興に乗じて義兄弟の契りを結んだが、数年後に再会した兄弟は性別が異なり、私の伴侶になりたいと求愛してきた。受け入れられるものか」

司命は青い鱗で覆われた鮫人こうじん族の男だった頃の十三と過ごした日々を思い浮かべ力説した。

「問題でも?」
「そりゃ…あの時ひげが生えていた」
「今はないわ」
「しかし…」
司命は言いよどんだ。

「月明かりの下で、“永久の知己たらん”と誓ってくれたわよね。忘れちゃったの?知己とは伴侶のことだと雲風上神に教わり、こうして女に変わってあげたのよ」

「雲風上神の言葉を本気にするな。当てにならない御仁だ。そなたが私の伴侶などどうかと思うぞ」

「問題ないでしょ。鮫人こうじん族の男だった私を疎んでる?…ひどいわ。成熟前の鮫人こうじん族は性別を持ってない。元が男だからって避けるの?人間界の説話だと祝英台しゅくえいだいは男の姿で、梁山泊りょうざんぱくに愛されるわ。同じようにできないの?」

祝英台しゅくえいだいならば愛そう。男装の麗人だ。あちらは正真正銘の女だが、そなたは…」

司命は十三を指さした。

「偽物だと?私だって本物よ」

十三は帯をほどき衣を脱いで見せようとしている。
司命は慌てて十三を止めた。

「そんなに嫌なの?一考の価値もない?」
十三は言った。

「これは何の罰だ。他の者でもよいと思うが?」

「だめよ」
「どこが好きなのだ改める」

「それは…生きてるところ」
十三は勝ち誇った顔をした。

「ならば」
司命は何か言おうとしたが、何も思い浮かばず「誇るべき長所だ」と言って苦笑いをした。

十三は長生結を取り出し司命に差し出したが、司命は受け取ろうとせず押し問答になった。

韓元信かんげんしん、偉くなっても遠慮しない。これが最後よ。要る?要らない?」
十三は迫った。

「要る」
司命は長生結を指先でつまんで受け取った。

「いいこと?7日に1度は会いに来てよね」
十三は言った。

「無理だ」
「訪ねてほしい?」
「私が行こう」
「じゃあまたね」

十三は満足そうにうなずいた。

「返事は?」
「またな」
十三はお辞儀をして立ち去った。

「また会うと?この運命からは逃れられぬのか」

司命は十三が作った糸団子のような長生結をみて呟いた。

山霊さんれい界では景休けいきゅうが森の中で琴を弾きながら牢に閉じ込められた幼い日のことを思い出していた。

赤鷩せきべつがやってきて、垣渡えんとは殺されず縛霊淵ばくれいえんに沈められて生きていたことを報告した。

「我らは蚊帳の外に置かれ、たばかられたのです」
赤鷩せきべつは話した。

景休は悔しそうに顔を歪め、手を握りしめた。

翎月れいげつが虚言を?」

垣渡えんとは一命を取り留めたものの、死霊の地にいるかぎり死んだも同然です」
赤鷩せきべつは説得するように景休けいきゅうに言った。

「本当に?垣渡えんとは生きておる。縛霊淵の底から仙力を用い声を発したぞ」
景休けいきゅうの語尾は強く叫ぶようだ。

景休けいきゅうは自分を落ち着かせた。

「よかろう。生きておるのだな。ならば再び殺すまでだ」
景休は言った。

縛霊淵ばくれいえんは神界と魔界の狭間です。10万年前、天尊により魔封じの陣が敷かれました。垣渡えんとは両界の境におるのです。我らの仙力では天尊の陣を破れません」

仲昊ちゅうこうの父烈夷れついは法術陣を作る天才だった。魔封じの陣を敷く際もやつが手を貸していた」

「しかし烈夷れつい族は滅びました」

「まだ仲昊ちゅうこうがいる。やつは幽都ゆうと山に逃げたと手の者から聞いたろう。…見張るのだ。抜かるな」

景休は赤鷩せきべつに命じた。

元瞳げんどうげん家の霊廟でげん夫人の前にひざまずいていた。

「過ちを認める?」
げん夫人は元瞳げんどうに問うた。

「いいえ」

「兄の敵をかばい新任の戦神を敵に回しながら反省もないの?」

「神尊は兄を殺していません。それに天雷てんらい真君は昇格の式典を終えるまで戦神ではない」

「目を塞がれてるの?誰でも一目瞭然で分かるわ。戦報を燃やしたのはやましいことがあるからよ。我らげん一族の風上にも置けない娘だわ」

「母上、隠れた真実があるとは思いませんか」

「真実だって?真実とは10万の天兵が九宸の手で殺されたことよ。魔道に落ちた九宸が5万年も長生海ちょうせいかいに潜んでたことよ。時が経てばうやむやにできると?よく聞きなさい。扶雲殿へ行くのは禁じる」

元夫人は勝手な真似をすれば勘当すると付け加え、天雷に祝いの品を届けるよう元瞳げんどうに命じた。

十三は誰かが来るのを待っている。

「あいびき?」
霊汐は尋ねた。

「勝手に決めないで」
「相手は誰よ、誰なのよ」

十三は誤魔化すように、霊汐に薬を取りに行くよう命じた。

霊汐が薬王洞に行くと、ちょうどげん夫人が出てきて、霊汐は木陰に隠れた。

元夫人が去ってから霊汐が神尊の薬を取りに来たと言って薬王洞を訪ねると、下働きの童子に日を改めるよう言われ門を閉められた。

霊汐が帰ろうとすると青瑶せいようがやってきた。

青瑶せいようは薬王洞に関わらず桃林に帰るよう言って、薬王洞に入っていった。

霊汐は青瑶せいようの後をついていった。

「教えてあげる。薬王はげん夫人の実の弟よ。分かった?」
青瑶は霊汐と2人きりになると、言った。

「私たちは姉妹しまい弟子よ。血のつながりよりも強い絆がある」
霊汐は言い、青瑶にすがった。

「戦報を燃やす行いは、罪証隠しに相当する。10万の天兵が亡くなったのよ。神尊は天族の大半を敵に回したわ。薬王洞も関りを避けたいの」
青瑶は言った。

「神尊は悪くない」
「なぜ?」
「私が信じてる」

「一体何様のつもり?あなたは天君でも天尊でもない。西王母でもないのよ。あなたが信じたところで…」

「少なくとも青瑶さんは私の味方よね」

霊汐が言うと青瑶はため息をついた。

「私が味方しても何にもならない。“賢者は時勢を読む”との道理を5万歳にもなってまだ分からない?どんな事情があるにせよ、一存で真相を葬ったからには神尊も覚悟の上だったはず。霊汐、沈む船からは早く逃げたほうがいい。師匠があなたを閉じ込めるのも、きっと理由があるのよ。私たちは寿命が長い分秘密を抱えてる。神尊と師匠も例外じゃないわ。小仙は小仙らしく節度を保って、長いものには巻かれなさい」

青瑶せいようは話し終えると薬の入った小瓶をとってきて霊汐れいせきに握らせた。

「私が渡せる薬はこれだけよ。ここでは薬王に従うのが務めなの。皆が右を向く中で左を向けやしない」

青瑶は薬を届けたら桃林に帰るよう霊汐に言った。

青瑶せいようさん、世の均衡を保つため疫病神は病を広める。大勢には逆らえないわ。なのに青瑶さんは人間界に行き命を救ってる。青瑶さんは正しい。小仙には何の力もなく秘密を探ることもできない。でも自分の心には従える。自分が信じる正義のため生きられるわ。薬をありがとう。行くね」

霊汐は帰っていった。

霊汐が帰った後、青瑶せいようは『散寒さんかん法』と書かれた医学書を取り出し読み始めた。

霊汐は扶雲殿ふうんでんに帰って花煙かえんに薬を渡したが、薬は数日分しかなかった。
霊汐は数日桃林とうりんに帰ることにした。

「もし神尊に聞かれたら、遊んでると伝えて」
霊汐は花煙かえんに頼んだ。

「神尊は籠もって修行中よ。姿すら現さないわ」
花煙かえんが言うと、霊汐は出かけて行った。

十三じゅうさん司命しめい殿に司命しめいを訪ねた。
中には誰もいなかったが、司命殿には大きな複数の洞天鏡どうてんきょうがあり人間界の様子が映し出されている。

十三じゅうさんは人間界の様子を興味深げに眺めていた。

すると司命しめいが帰ってきて映像を消した。

十三じゅうさんは笑顔で司命を出迎えた。

「初めて来たわ。南斗星君なんとせいくんの第一天府宮だけあってさすがに立派ね。広いわ」
十三は物珍しそうにあたりを見渡している。

「これは何なの?」
十三は洞天鏡に興味を持った。

洞天鏡どうてんきょうだ。これで人間の行いを見る」

「仰々しいけど要するにのぞき見の道具ね」

十三は言い、近くに置いてあった本を手に取った。
司命は慌てて本を十三じゅうさんから奪った。

「運命簿だ。司命星君、つまり私しか見ることはできない」
司命は言った。

「私は雲風うんほう上神の宮殿すら自由に行き来してる」
十三は不満そうだ。

石山せきざんよ」
司命が言うと十三は怖い顔をした。

「兄弟」
十三は立ち上がり司命に迫った。

「仙女殿、私は忙しいのだ」
司命は帰るよう十三を促した。

「いいわ、帰るわね。また来るから」
十三は笑顔を見せた。

「また?」

「そりゃそうよ。旧友だもの。扶雲殿の留守を預かってた間は疎遠になったけど、これからは顔を合わせる機会も増える。あなたは忙しいし私が足を運ぶわ」

十三は司命に近づくが、司命が後ずさるので距離は縮まらない。

「見送りは結構よ」
十三は笑顔で言い、帰っていった。

九宸は部屋に籠もり、意識を幽都ゆうと山に飛ばし青白く光り拍動する物体を見て目を見開いた。

九宸は5万年前、誰もいなくなった幽都ゆうと山で魔君と一騎打ちした時のことを思い出していた。

九宸きゅうしん、私を抑えきれまい。その手はおびただしい血にまみれ、その身は魔気をまとう。魔族と何ら変わらん。いずれ魔になろう』

魔君の言葉が響き…?

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感想

霊汐れいせき楽伯らくはく十三じゅうさんが出てくるコメディ・パートが楽しくシリアスパートとのメリハリが良いです。

霊汐が身を隠していた万霊苑ばんれいえんって、天宮の動物園のような場所でしょうか?
元瞳げんどうさんは万霊苑ばんれいえんに水獣がいるといっていたので、水族館併設型の動物園かもしれません。

神尊は2万2千歳で上神になったと…。
めちゃくちゃすごいんじゃないですか!?
「永遠の桃花」の夜華は2万歳で上仙になって、それですごいって言われてたのに、上神…。
違う世界観かもですけど神尊すごい人のようです。

逃げる司命と追う十三。
鮫人族の男だった頃の十三が、確かに鮫人族の男なんだけど、やっぱり十三なのがすごかった。

知己とは伴侶と嘘を教える雲風うんほう上神。
それで十三じゅうさんが女性になることを決意したということで、雲風上神の罪は重いです。

一応日本語の知己の意味を調べて、さらに中国語の知己の意味も調べましたが、雲風うんほう上神の言うような意味はないと思われます。

中国語に詳しくないので分かりませんが、もしかして「知己」という言葉は男女間で恋愛が伴う場合しか使わない慣習があったりするのでしょうか?

そういえば、フランス語のaimerは英語のloveと訳されますが、恋愛が伴う好きという意味でしか使いません。
英語だと大好きな友達にもloveを使うけど、フランス語では絶対にないと習いました。

そういう感じで何か意味があるのか?
でも司命しめい雲風うんほう上神を信じるなと言っていたので、たぶん雲風うんほう上神が適当にからかったのでしょうね。

元瞳さんは元征げんせいお兄ちゃんの手紙を燃やさず母親に見せるべきと思いましたが、元瞳げんどうさん的には母は自分が話せば気づいてくれると思っていたのかなと今回の母娘のやり取りを見て思いました。

でもそんな軟な母ではないようです。
5万年恨んでそうですからね。
恨みは深く思考も凝り固まってます。

雲風うんほう上神は幽都ゆうと山で何があったのかほぼわかったようです。

青瑶せいようさんはいじめっ子なのか?とちょっと思いましたが、今回見ていい人だと気づきました。

その青瑶せいようさんは「私たちは寿命が長い分秘密を抱えてる」と言ってました。
青瑶せいようさんも秘密を抱えているのでしょうか?気になります。

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