運命の桃花~宸汐縁~第51話 母への孝行

第51話 母への孝行運命の桃花

運命の桃花 第51話 あらすじ

霊汐れいせき扶雲殿ふうんでんに滞在したのち、山霊さんれい界に向かった。翎月れいげつは神魂が傷つき眠っていた。霊汐は翎月に付き添い看病した。景休けいきゅうは上神となった。翎月が目覚めると都合の悪い景休らは、当初翎月を殺そうと考えていたが、景休は霊汐のために、翎月を眠らせたままにすることに決め手配した。元瞳は仙骨を抜かれ、人間界に落とされることになった。

胡蝶蘭ならHanaPrime



運命の桃花 第51話 登場人物

霊汐桃林出身の仙女。人間界で黙として生き3度の劫を経て魔気を浄化し上神になった。
九宸天族の戦神。神尊。
景休山霊界の国師。一族の敵である垣渡を殺すことに成功した。黙を愛した。
赤鷩景休の配下。
黒蚩景休の配下。
司命人間の運命を司る神仙。
十三元は鮫人族の男だった。扶雲殿の侍女。
花煙元は人間だった。扶雲殿の侍女。景休の命で鑚心釘を盗んだ。
元瞳没落した元家の当主。配下を殺したことが露見し罪に問われることになった。
天雷賞罰を司る神仙。九宸不在の5万年間戦神を代行した。

運命の桃花 第51話 詳しいあらすじ【ネタバレ有】

霊汐れいせき九宸きゅうしんと共に扶雲殿ふうんでんに向かった。

「霊汐、やっぱり生きてたのね。神尊がいれば死ぬわけない」
十三じゅうさんは嬉しそうに霊汐れいせきを出迎えた。

十三じゅうさん、退がろう」
司命は気を遣って十三の袖を引いた。

「人間界でぶらっとしたら上神になれたの?幸運すぎる。神尊、私もごうを受けたいです。できれば100回くらい。天尊より偉くなれるわ」

十三は司命の言うことを聞かず話し続けていて、霊汐れいせきはくすくす笑っている。

霊汐れいせき…」
なおも話そうとする十三じゅうさんの口を司命しめいは塞ぎ、十三じゅうさんを連れて退出した。

残りの者たちも潮が引くようにいなくなり、九宸と霊汐2人だけになった。

「おいで」
霊汐は九宸のそばに座り九宸を見上げ、胸に手を伸ばした。

「人間界にいた時、鼓動が聞こえなかった。てっきり何かの病かと。痛い?」
九宸は首を横に振り、霊汐の手の上から自分の胸に手を当てた。

「痛いにきまってる。ばかよ」
霊汐は九宸に寄り添った。

「神尊と霊汐れいせきは何の話を?やっと戻って来たのに、なんで私たちとおしゃべりしないのよ」
部屋から出た者たちは一堂に会し、十三じゅうさんが話している。

「興味があるなら中に入って見てこい」
含章がんしょうは言った。

「お前が見てきては?」
司命は含章に言った。

「私はまだ死にたくない」

花煙かえん開陽かいようの前に進み出て、ひざを折った。

開陽かいよう将軍、景休けいきゅう国師は本当に命珠めいじゅ霊汐れいせきにあげたのですか?」

「ああ、そうだ」

命珠めいじゅは山霊族の命のもとです。失えば命さえ危うい。国師の様子は?」
花煙かえんは続けて尋ねた。

「満身創痍で血まみれだった」
開陽が答えると、花煙かえんは眉根を寄せ息を飲んだ。

花煙かえん、国師にそれほど関心が?」
司命は花煙かえんを見た。

「いいえ。命珠めいじゅをあげるなんて霊汐れいせきを大好きなんだろうと思っただけです」

霊汐れいせきの体が死ぬと、嘆き悲しみ気を失ったとか。一途だな」
含章は話した。

「だから何だ。神尊と恋の鞘当てとは命知らずな」
開陽は含章がんしょうの肩を叩いた。

景休けいきゅうは自分の宮殿で琴を抱えている。

赤鷩せきべつ巫医ふい黒蚩こくしを連れて景休のもとにやって来た。

巫医ふいを連れてまいりました。深手を負われたゆえ見せては?」
赤鷩せきべつ景休けいきゅうに声をかけるが、景休けいきゅうは何も言わない。

縛霊淵ばくれいえんはすでに閉ざされました。仲昊ちゅうこうの手下はほぼ全員捕縛を。逃げたのは小者ばかりです。ただ翎月れいげつ国主は…。傷が重く意識が戻りません。ひとまず寝殿に運びました。どうすべきかご指示ください」

景休は黙ったままうつむいている。

魔君まくんは滅びました。つまりりんもくごうを終え死んでいません」
黒蚩こくし景休けいきゅうに話しかけると、景休は黒蚩こくしを見た。

「何だと?」
「死んではいません」

もくは無事なのか」
「はい」

「生きている。どこに?どこだ」
黒蚩こくしが首を横に振ると、景休は赤鷩せきべつを見た。

しかし赤鷩せきべつも知らなかった。

「天宮か。きっと天宮にいる。なぜここへ来ない」
景休は立ち上がった。

「九宸め。お前が全て引き起こした。お前が私のもくを奪ったのだ」
景休は憎々しげにつぶやいた。

赤鷩せきべつ黒蚩こくし巫医ふいを返し、2人で話している。

「国師は一体?」
黒蚩こくし赤鷩せきべつに尋ねた。

「これは国師のごうだ。ご自身で乗り切るしかない」

「今肝心なのは翎月れいげつ国主だ。もし目覚めれば我らはただでは済まない」
黒蚩こくし赤鷩せきべつは顔を見合わせた。

せきばあやが天息宮てんそくきゅうに戻ると、翎月れいげつは意識が戻らず寝ていた。

「これは?」
せきばあやは侍女に状況を尋ねた。

巫医ふいいわく、撮魂さっこんの術で神魂が傷つき深手も負われた。鳳凰ほうおう族の血筋ゆえ何とか助かったと」

「そんなことより、いつお目覚めになるか言ってなかった?」
「聞いてません。丹参たんじんでお命を保てば目覚めるかもとしか」

「お黙り」
せきばあやの一喝で、侍女はひざまずいた。

「教えて。誰が国主を運んできたの?」

「戦神です。国師と共に国主を救い出しました」
景休けいきゅう?」

「はい。国師は仲昊ちゅうこうを討ち縛霊淵ばくれいえんから国主を救いました。ただ深手を負われ治療を受けており姿を見せてません。それと国主の実の娘、霊汐れいせき公主を見つけたとか」
侍女は報告した。

霊汐れいせき扶雲殿ふうんでんで眠っていて、もくだった時の夢を見ていた。

もくの最期の場面だ。

九宸きゅうしん、忘れないで。桃の花の咲く家であなたと暮らし、あなたのために衣を縫い煮炊きをし、あなたに嫁ぎたかった人間の娘を。その名はりんもく。あなたが待ってた女子おなご霊汐れいせきよ」
夢の中の黙は九宸に語りかけている。

霊汐はハッとして目を開けた。

九宸は霊汐の部屋の扉を叩いていた。

「霊汐、もう寝たか?」

部屋の扉は開かない。

夜の見回りをしていた十三じゅうさんは九宸に声をかけた。

霊汐れいせきに何か?もう寝たはずです。神尊もお休みください」

九宸の険しい表情を見た十三じゅうさんは何かを察した。

「ご用がおありなら私は失礼します」
十三はうろたえつつ去った。

九宸が帰ろうとすると、扉が開いた。

九宸は霊汐の部屋に入り、持参した料理を並べた。

「別に空腹では」
霊汐は言った。

「上神は天の精気を吸収でき空腹を覚えない瓊石髄けいせきずいだ。西海せいかい瓊石けいせきの精髄で元神げんしんを養える良薬だ。上神になった今飲むと非常によい。冷たいからゆっくり飲め」

九宸は霊汐が瓊石髄けいせきずいを食べるのを微笑ましげに見守っている。
九宸が霊汐の口元についた瓊石髄けいせきずいを拭おうと手を伸ばすと、霊汐れいせきは顔を反らした。

九宸は代わりに手巾を差し出したが、霊汐は受け取らなかった。

「神尊、私は疲れました」
霊汐は九宸を帰した。

元瞳げんどう紫雲台しうんだいで刑を受けていた。

元瞳は同胞を虐殺したことで、本来ならば死罪だが、げん家の功績により減刑を受け、仙骨を除かれ仙籍から抹消され、人間界に落とされることになった。

げん家は代々英明だったが、お前によって没落したのだ。1つ忠告しておく。人間界ではまっとうに生きよ。同じ轍を踏むな」

普化ふか仙君は元瞳に声をかけた。

九宸が仙洗池せんせんちにいると霊汐れいせきがやってきた。

「神尊」
霊汐は声をかけた。

「人間界では九宸と呼んでいた」
りんもくが不作法だったんです」

「今の我らに作法が必要か?去るのか。どこへ?桃林とうりんか」

「私の母が見つかりました。山霊界にいます。私は早くに生き別れそばにいたことがないので、今後は一緒にいたいんです」

「戻ってくるか?会いに行く」

「結構です。神尊もお疲れでしょう。私と知り合ってからつらい目に遭ってばかり。何度も命を落としかけましたね。もう全て過ぎ去ったので、この機会にゆっくり体を休めては?」

「平気だ」

「私は疲れました。神尊、私は霊汐ですが、りんもくでもあります。3つのごうを経て疲れてますし、自分が誰か分からなくなる。考えを整理するための時が必要です」

逐日鳥ちくじつちょうの鳴き声が聞こえ、霊汐は空を見上げた。

「ご覧に。逐日鳥ちくじつちょうはひたすらお天道様を追ってる。疲れないのかしら?いつか納得できたら羽を休めるの?神尊、教えてくれましたね。この世では愛だけでなく、家族や道義や本分も同じく大切だと。私は以前わがままで父に孝行できなかった。でも天のお慈悲で母が見つかりました。ですから神尊、私は行きます」

九宸は山霊さんれい界に向かう霊汐を南天門まで送っていった。

「神尊、お元気で」
霊汐は飛んでいった。

宝青ほうせい景休けいきゅうが傷を負ったと聞いて、見舞いに行くことにした。

景休の宮殿には多くの臣下が面会を求めてやってきていたが、赤鷩せきべつが傷を理由に断っていた。

「こたび我が山霊族は大難に遭った。その元凶は仲昊ちゅうこう黒蚩こくしだ。仲昊ちゅうこうは死んだが、黒蚩こくしときたら、あろうことか功臣になったうえ天息宮てんそくきゅうの警護の権限まで与えられた」

臣下は赤鷩せきべつに説明を求めた。

「それは国師の采配だ。のちほど皆に説明する」
赤鷩せきべつは言った。

「ならん。今すぐ説明を聞きたい。黒蚩こくしは数々の悪事を働いた。帰順したなど信じられん。…山霊族は今立て直しが急務だ。誰かが指揮を執らねばならないが、国主は目覚めず国師も負傷している。この先どうするか。国師の傷の具合は?そしていつ逆賊どもを処分するのか伺いたい」

「果たして国師には意識があるのか。我らに教えよ」

臣下たちは口々に不安や不満を口にして説明を求めた。

景休と黒蚩こくしは宮殿の中から外の様子をうかがっていた。

「やつらは仲昊ちゅうこうが攻めてきた時、尻尾を巻いて逃げた。」今さら忠臣面しやがって。国師、国主は以前国師を断罪して幽閉しました。やつらはその件を利用し国師を陥れるやも。国主が目覚めれば万事休すです。国師、人間の一生は苦難ばかり。神はなおさらです。1度の挫折で悲観されぬよう」

黒蚩こくし景休けいきゅうに進言した。

「何が言いたい」

「これを機に山霊族の主を代えるのです。さもなくば大難に見舞われます。りんもくは霊汐であり、山霊界の公主として戻ってくる。まさか今の姿でお会いになるのですか」

外では、強行突破し景休けいきゅうに面会しようとする家臣たちに、赤鷩せきべつの配下が剣を向けていた。

「武将ごときが無礼な」
家臣が叫んだ時、宝青ほうせいがやってきた。

景休けいきゅうさんは魔と戦った。療養してるのに邪魔する気?」
宝青ほうせいは家臣たちに言った

「療養の邪魔をする気など毛頭ありません。しかし今は国師の指揮が必要です」

宮殿の中にいる景休けいきゅうは、自らの命珠めいじゅを取り出し、鬼藤きとうの上に置いた。

「お前の言うとおり、もくはいずれ戻ってくる。私はもくを待っている」

まばゆい黄金の光があふれ、景休は上神になった。

外にいた赤鷩や宝青ほうせい、家臣たちも光を見て景休が上神になったことを知った。

景休は外に出た。
集まった者たちは景休が上神に昇格したことを寿いだ。

「国主に会うぞ」
景休は家臣たちを率いて天息宮てんそくきゅうに向かった。

「私も」
宝青ほうせいも名乗りを上げた。

「そなたはここで待っていろ」

せきばあやは薬を飲んで寝ている翎月れいげつに代わり、景休に対応した。

せきばあやは療養中に翎月れいげつに会うことはできないと景休けいきゅうを帰らせようとしたが、景休は強行突破しようとしている。

そこに知らせが届いた。

桃林とうりん霊汐れいせきが国主への拝謁を求めています」

景休は霊汐れいせきに会いに行った。

景休は走って天息宮てんそくきゅうの外に出て、霊汐の後姿を見つけ足を止めた。

もく
景休が呼びかけると、霊汐れいせきは振り返った。

もく。戻ったのだな」
「ええ。景休国師」

「よくぞ戻ってきた。傷は治ったか?」
「ええ。国師は?」
「よくなった」

赤鷩せきべつら臣下たちが到着し、景休は霊汐れいせきの隣に立った。

「こちらは翎月れいげつ国主の実の娘で、山霊界の公主である、霊汐公主だ」

「公主に拝謁します」
家臣たちは霊汐の前に膝をつき礼をした。

「母に会わせてくれる?」
霊汐は景休に頼み、翎月に会いに行った。

翎月は寝台に寝ていて、巫医ふいが枕元に控えていた。

「母上、霊汐です。母上」
霊汐は眠る翎月に声をかけたが翎月は目覚めない。

「国主は御身だけでなく神魂も傷ついている。仲昊ちゅうこうが百官と天族を欺くため撮魂さっこんの術で国主を操ったからだ」
景休は説明した。

「私が悪いの。私のせいで母は傷を負った」
「そうではない。己を責めるな」
景休は霊汐れいせきに声をかけた。

集まった臣下たちは帰り、景休は赤鷩せきべつと2人。

「国主はそのうち気づくでしょう。我らが仲昊ちゅうこうを増長させ縛霊淵ばくれいえんを開くよう仕向けて垣渡えんとを殺したと国主が目覚めればおしまいです。国師、霊汐れいせき公主が国主のそばにいます。どうしますか」

赤鷩せきべつは景休に指示を仰いだ。

もく山霊さんれい界の公主ゆえ、ここに住むべきだ。それから翎月は、もくの母親だ。もくはすでに父親の楽伯らくはくを失っている。もう悲しませたくない」
景休は言った。

「しかし…」

「何も言うな。翎月れいげつを殺してはならん。このまま眠らせておこう。巫医ふいを呼んでこい」
景休は命じた。

天君は九宸を凌霄殿りょうしょうでんに呼び出した。

「何もかも過ぎ去り、魔君まくんは六界から消えた。衆生にとって何よりの朗報だ。九宸でかしたぞ」
天君は九宸を褒めた。

「天君のお慈悲の賜物です」
九宸は揖礼ゆうれいした。

九宸きゅうしん、大変な思いをしたな。幸い“雨過ぎて天晴れる”そなたの願いもかなった。霊汐れいせきは今も扶雲殿ふうんでんに?」

山霊さんれい界へ」

「そうだな。翎月れいげつの娘ゆえ当然母親を見舞う。山霊族の者によると、翎月は撮魂さっこんの術により神魂が損なわれ、仲昊ちゅうこうにも傷つけられた。まだ意識が戻らぬそうだ。容体は芳しくない。ただ山霊族には景休国師がいる。国師は幽冥ゆうめい門を開こうとする仲昊の野望を阻んだ。そして縛霊淵ばくれいえんは再び閉ざされ六界は災いを免れたのだ」

天君は山霊さんれい界の今を九宸に伝えた。

九宸が凌霄殿りょうしょうでんから出てくると開陽かいようが待っていた。

山霊さんれい界の情勢は?」

「落ち着いています。景休は賊を掃討し、民を安んじました。しかし黒蚩こくしを無罪とし天息宮てんそくきゅうを任せたので不満を招いています。ただ景休には誰も物申せません」

霊汐れいせきは?」

天息宮てんそくきゅうに籠もり、翎月の世話をしています。ところで景休が突然上神になったそうです。情勢を安定させるための作り話やも」

「上神に?本当だろう。もともと上神の境地に近かった。引き続き見張れ。何かあれば知らせろ」
九宸は開陽に命じた。

景休の宮殿に巫医ふいが到着した。
景休は書物を手に持っている。

「面白い。この書によれば、大岳たいがく国のある書生は勉学に励んでいたが、ある日突然長い眠りについた。母親は奇病だと考え名医を探し回ったが誰も治せない。このあとどうなったと思う」

景休は巫医ふいを見た。

「それは…」
巫医ふいは言いよどんだ。

景休は書物を投げ、巫医ふいは息を飲んだ。

「書生は目覚めるや言った。夢の中で神仙になるべく修行をしていたと。しかも3千年もだ。もちろん周りの人間には信じてもらえない。そこで書生は家族を連れて天宮へ舞い上がった。家や鶏や犬まで一緒にな。この話は誠だろうか」

景休は巫医ふいに視線を送った。

「それは…。国師、人間界の奇怪な物語など信じるに値しません」

「そんなことはない。国主は長いこと眠っている。もしや国主の神魂は天外へ飛んでいったのでは?」

「天外…。国主は撮魂さっこんの術や仲昊との戦いで神魂もお体も傷つきお目覚めにならないのも当然かと」
巫医ふいは頭を下げた。

「たかが人間が夢の中で天界を巡れた。国主は高貴な鳳凰族で上神でもある。天外へ飛び、最高神となるにふさわしいのでは?」

「そんな…」
巫医ふいは動揺している。

「まさか国主の幸せを潰そうとでも考えておるのか」
景休は巫医ふいの顔を覗き込んだ。

「私は、その…。いいえ」
巫医ふいはひざまずいた。

「そうであろう。国主の神魂が天外へ行ったかどうかは縁と運命しだいだ。国主を殺めよとは言わん。処方を少々変えてほしいだけだ。強い薬で、国主を無理やり覚醒させるな。心静かにぐっすり眠れるようにせよ。徐々に神魂を癒やすのだ。分かったか?」

「はい。承知しました」

元瞳げんどう雷首宮らいしゅきゅうに行き、攢心釘さんしんていが盗まれた経緯を天雷に訴えていた。

「真君、攢心釘さんしんていはこうして盗まれました。盗んだのは間違いなく天宮の者です。魔族の回し者かもしれません」

「話はそれだけか?すでに南天門の衛兵から、その件の報告を受けておる。配下には調べるよう命じた。他に用がなければ行け」

「もう1つあります。魔君まくんはたやすく消えません。私は以前会ったので分かります。霊汐れいせきの体には魔気がありました。それが消えれば魔君の仙力も減る。ですが魔君まくんまで消えるでしょうか。必ず裏があります。霊汐れいせきが関係しているのやも。あやつは芝居が巧みです」

「黙れ。本来お前を即刻人間界に落とすべきだが、げん一族が長年六界を守ったことに免じ話を聞いてやった。この期に及んでまだ過ちを悟らぬのか。確かに私は九宸とあの小仙を好かん。九宸たちが情に溺れた結果魔君が放たれると案じたからだ。私心はない。だがお前は母親の死のことで、桃林とうりんの者を恨み過ちを重ねた。己の配下と腹心さえ殺すなど正気の沙汰ではない。まさに魔だ。魔とは?心に悪念を抱けば魔だ。貪婪どんらんや憎悪も魔だ。ほしいままに衆生を傷つければ、魔の中の魔だ。天君はお優しすぎる。もし私がさばけば、お前を鎖妖塔さようとうから1万年は出さん。人間になる機会を与えるものか。では最後に警告しておく。こたび人間界で再び悪をなせば容赦しない。必ずやお前の神魂を消し永遠に輪廻させぬぞ」

天雷は興奮のあまり眩暈がしたようで、頭を押さえた。

天雷は紫光しこう元瞳げんどうを人間界へ落とすよう命じた。

ギフトはおまかせ!【サンクゼール&久世福商店オンラインショップ】



感想

天雷が天君はお優しすぎると言った時、私は深く同意しました。
元家の功績により減刑ってまたですか?何度でも使えるの?
ところで天雷は自分ならば元瞳げんどう鎖妖塔さようとうに1万年閉じ込めると言っていたので、少し驚きました。

天族の人々にとっては、人間界に落とされることより、鎖妖塔さようとうに入れられることのほうが重い罪なんですね。
ということは、最初に元瞳が紫雲台しうんだいの兵を殺したとき鎖妖塔さようとうに入れられたのは、あれはかなり厳しい罰を受けていたということなんでしょう。

私は死罪が一番重いとして、次に重い罪が人間界に落とされることだと思っていました。だけど違ったようです。

確かに鎖妖塔さようとうに1万年って。
一瞬神仙でいられて寿命も長いし人間になるよりずっといいと思いましたが、あそこは暗いし長右ちょうゆうがいる時点でいやだと思いなおしました。

景休さんは人間界でコメディ要因としての仕事を頑張っていました。
山霊界に帰ってきてからは、本来の得体のしれない怖い感じに戻り、本領発揮していました。
でもやっぱりもくのことが大好きなので、翎月を殺そうと進言してくる赤鷩や黒蚩こくしを退け、翎月を眠らせておくことにしたようです。

霊汐は黙を通して霊汐れいせきを見ていた神尊のことを許せないのでしょうか?
全ては霊汐のためですが、自分の中の黙が許せないのでしょうか。
難しい状態です。

運命の桃花~宸汐縁~ DVD-BOX3 [ チャン・チェン ]

価格:15,840円
(2021/4/21 14:54時点)

コメント

タイトルとURLをコピーしました