運命の桃花~宸汐縁~第49話 赤い月の夜

第49話 赤い月の夜運命の桃花

運命の桃花 第49話 あらすじ

赤い月の夜、仲昊ちゅうこう縛霊淵ばくれいえんを開き、中に入った。景休けいきゅうも中に入り、仲昊と垣渡えんとを殺し一族の敵を討った。景休に匿われていたもくの所に小白しょうはくがやってきた。元瞳げんどうは神獣の匂いをたどり黙を見つけた。小白しょうはくは成獣の姿になり、黙を乗せて逃げた。元瞳に打ち払われ落ちた場所は魔君まくんの目の前だった。九宸は黙に命珠めいじゅを渡すよう迫った。

お尻ニキビ×シミ



運命の桃花 第49話 登場人物

人間界に転生した霊汐。数日後に死ぬ運命だが景休に救われた。
九宸天族の戦神。神尊。霊汐の魔気を浄化するため霊汐を人間界に送った。
景休山霊界の国師だった。山霊界が仲昊らに占拠され人間界にいる。垣渡を恨んでいる。
赤鷩景休の配下。
仲昊九宸の配下だった烈夷の息子。魔君に忠誠を誓った。
元瞳没落した元家の当主。桃林の者を恨み、九宸に執着している。
翎月山霊界の国主。仲昊らに捕らえられ、幽閉されている。
垣渡翎月の父。かつて景休に証拠を捏造させ、景休の一族を皆殺しにした。
花煙元は人間だった。扶雲殿の侍女。

運命の桃花 第49話 詳しいあらすじ【ネタバレ有】

縛霊淵ばくれいえんに落ちた翎月れいげつは、父垣渡えんとと話している。

「魔界の門というのは幽冥ゆうめい門のこと?」
翎月は垣渡えんとに尋ねた。

「魔界の門がこの世に2つもあると思うのか。山霊さんれい界は神界と魔界の狭間に位置する。この縛霊淵ばくれいえんこそ、魔界の門に最も近い場所なのだ。この地は幽都ゆうと山に次いで、魔気が濃く立ちこめている地だろう。今日お前と会えて幸いだ。そのうち私もこの魔気に侵され、理性を失う。その時には娘のことすら分からなかくなる。言え。誰に傷つけられた。聞かずとも知れている。上から何者かに突き落とされたということは、玉座を奪われたのだな。そうではないのか翎月れいげつよ。異族が侵攻を?教えよ。もしや山霊界は滅びたのか」

垣渡えんとは語気を強めた。

「敵は仲昊ちゅうこうよ。烈夷れついの息子が魔君まくんに屈した。私の血で縛霊淵ばくれいえんを開き、魔族の大軍を招き入れようとしてるわ。そうはさせまいと私は逃げたの」

翎月は縛霊淵ばくれいえんに落ちた経緯を話した。

「愚かだな。ここに落ちれば己の命はおろか霊魂さえ消える。私なら他の者など気遣わん」

翎月はゆっくりと垣渡えんとに近づいた。

「一緒にしないで。あなたは私から夫と子を取り上げた悪党だけど、それでも私と血のつながった父親よ。玉座から引きずり下ろし、ここに閉じ込めはしても殺せなかった。身内の血で、この手は汚さない」

「それは偽善だ」

「あなたにとって仁愛の心は全て偽善なのよね。だけどそんな独り善がりで野放図にのさばる者はたとえ操られていなくても魔と同じよ」

花煙かえんげん家の祠堂に侵入し、攢心釘さんしんていを盗み出した。

元瞳げんどうは人の気配を感じ祠堂を見回し、攢心釘さんしんていがなくなっていることに気づいた。

花煙かえんは南天門から出て行った。

少しして元瞳が南天門にやってきた。

「天宮を出た者は?」
元瞳は門衛に尋ねた。

「先ほど侍女が」

「そやつはげん家の祠堂から攢心釘さんしんていを盗んだ。天雷真君てんらいしんくんに伝えよ」

「はい」
門衛は駆けて行った。

天雷は事の次第を天君に報告した。

「魔族の手先が天宮にいたと?」
報告を聞いた天君は天雷に確認した。

元瞳げんどう将軍が配下を連れ追っています。南天門の衛兵が言うにはどこぞの侍女だとか」

九宸きゅうしん神農鼎しんのうていを見守り、どこかへ行こうとすると司命しめいがやってきて、青瑶せいよう自悟崖じごがいから離れないことを報告した。

「賢い女子おなごゆえ、得心しよう」
九宸は行こうとしている。

雲風うんほう上神は?」
司命は九宸を呼び止めた。

「どうにもできない。雲風うんほうは医官のため罪を負い天君により罰が下された。千年の雷刑と石封せきふうの刑は受けねば。あと1日でりんもくは19歳になる。誕生日の前に死ぬ運命では?しかし神農鼎しんのうていを見ると、元神げんしん(肉体を超越した命の精髄)は何の変化もないゆえ生きているな?」

九宸は司命しめいに聞いた。

「はい」

景休けいきゅうが何かしたのだ。無事に誕生日が過ぎればごうを経るのは失敗に?」
九宸は司命を見つめたが、司命は黙っている。

九宸は行こうとした。

「成り行きに任せましょう」
司命は九宸に揖礼ゆうれいした。

「そうなれば霊汐れいせきは、二度と戻ってこられなくなる。魔族の目から逃れられても、数十年で寿命を終えよう。その魔気は魔君に返り、天下は大いに乱れるだろう」

火精かせいが消える前に、女媧石じょかせきを取り戻さねば神尊のお命が危ない。天尊は霊汐を見限るはず」

「期限は?」

「人間界であと丸1日。次の朝日が昇るまでにりんもくは死すべきです」

司命の言葉を聞いた九宸きゅうしんは歩き出した。

司命は両手を広げ、九宸の前に膝をついた。

「天尊が“手出しするな”と」
司命は必死の形相だが、九宸は司命を払いのけ行ってしまった。

景休けいきゅうもくのために朝餉に麺を作った。

ひと口麺を食べたもくは動きを止めた。

「この麺はしゅうにいさんが作ったのよね。塩辛い。食べて」
もく景休けいきゅうに麺を差し出した。

景休は麺をひと口食べた。

「確かに塩辛いな。作り直そう」
景休は立ち上がった。

もく景休けいきゅうの腕を引くと、景休けいきゅうは椅子に座り黙と向き合った。

「にいさん、今の私って、あなたの命珠めいじゅをもらい生き延びてるのよね。2つとない命よ。その命を私にくれるなんて。…私の痛みを代わりに引き受けてとうとう味を感じなくなった。いずれ香りも嗅げず、見えず、聞こえず話せなくなるわ」

もくは涙を流しながら景休けいきゅうに話した。

「まさか。私は神族ゆえ、そうはならない」

「でも味覚を失ってるわ」

黙は麺が塩辛いと嘘をついて、景休を試したのだ。

「味わえなくとも構うものか。10万年も生きて、鳥も魚も獣も味わい尽くした。食べる楽しみなどとうに捨てた」

景休は黙の涙を指でぬぐった。

もくよ、遠い昔私は幼くして両親と一族を悪党に殺され独りぼっちになった。私は敵討ちのためだけに今日まで生きてきた。そなたに出会い、生きる希望を得たのだ。そなたは生きよ。私の目の届く所で幸せに生きてくれ。頼む」

景休は黙に語りかけた。

しゅうにいさん、私にそんな価値はない」
もくは悲痛な表情で景休けいきゅうを見ている。

「それは私が決める。もくよ、九天の戦神にとってそなたは一夜の夢だ。霊汐のいない悪夢だ。だが私にとって、そなたは代わりのきかぬ唯一無二の存在だ。そなたの誕生日だ。祝おう。私の命珠めいじゅはそなたへの贈り物だ。1つの命を分かち合い、共に生きていこう。そなたが望まぬなら誰も命珠めいじゅを奪えない。もく約束してくれ。何があっても誰のためでも生きる望みを捨てるな」

景休の言葉を聞いた黙の瞳には、涙がいっぱいたまっていた。

花煙かえんは人間界の食堂で注文をし、攢心釘さんしんていの入った箱をテーブルの下に貼り付け席を立った。

赤鷩せきべつ攢心釘さんしんていを持って景休けいきゅうの下へ帰った。

元瞳は人間界に捜索に来ていた。

赤鷩せきべつ景休けいきゅう攢心釘さんしんていを差し出した。

「今日は赤い月の夜にしてもくの誕生日だ。このよき日に死ぬ垣渡えんとは果報者よ。黒蚩こくしに渡せ」

景休が命じると、赤鷩せきべつ黒蚩こくしのもとへ向かった。

景休は黙の部屋に結界を張り、山霊さんれい界に向かった。

景休が赤鷩せきべつと共に自分の宮殿に向かうと、守りは手薄だった。

景休と赤鷩せきべつは次々見張りの兵を倒し中に入っていく。

仲昊ちゅうこうの仲間はあれだけか」
景休は赤鷩せきべつに聞いた。

天息宮てんそくきゅうを占拠した仲昊ちゅうこうが重職を手の者で固めるも、縛霊淵ばくれいえんに向かった者以外は我らが始末しました。宮殿を手薄にするとは大胆不敵です」
赤鷩せきべつは報告した。

「気にしておらぬのだ。縛霊淵ばくれいえんを開き魔軍を放てば我らや天族など敵ではなくなる。だが黒蚩こくしは、我が手の者だ」

景休は赤鷩せきべつの肩に手を置いた。

「さすが国師のなさることに抜かりはない。仲昊など足元にも及びません」

「油断は禁物だ。今宵が過ぎれば…。待ちきれぬぞ」
景休は腕に鬼藤きとうを巻き付けた。

縛霊淵ばくれいえん仲昊ちゅうこうの配下が取り囲んでいた。

仲昊は黒蚩こくしから攢心釘さんしんていを受け取った。

「始まったな。決戦の夜だ。父上」
景休は赤い月と、赤い月に照らされ赤く染まる山霊さんれい界を見ながら呟いた。

もくが窓を開き夜空を見上げると、赤い月があった。

景休けいきゅうが何かしたのだ。無事に誕生日が過ぎればごうを経るのは失敗に?そうなれば霊汐れいせきは二度と戻ってこられなくなる。魔族の目から逃れられても数十年で寿命を終えよう。その魔気は魔君まくんに帰り、天下は大いに乱れるだろう』

九宸は自らが語った言葉を思い出しながら、山霊さんれい界を捜索していた。

「魔の霊によって罪を許したまえ」
仲昊は縛霊淵ばくれいえんで儀式を開始した。

縛霊淵ばくれいえんから黒い煙が立ち上がり、下にいる翎月れいげつ垣渡えんとも赤い月の夜が始まったことに気づいた。

仲昊が黒蚩こくしを連れ、縛霊淵ばくれいえんの中に入ると、翎月れいげつがいた。

仲昊ちゅうこう
「まだ生きていたか」
「お前より先に死ねやしない」

「よくぞ生きていた。今夜は血のごとく赤い月が真円を描く時だ。高揚する魂に従い、魔界につながる幽冥ゆうめい門を開け放ってみせよう。魔族の大軍を迎え入れるのだ。お前はそこで見守っているがいい」

「ばかげたことを言うな」

「賢者は時勢を読むものだ。天族は正義を振りかざし、罪を重ねた。賢良なる者を退け、邪悪に染まった。もはや浅ましき輩に成り下がった。魔を迎えて退治せん」

「させるか」
翎月は仲昊ちゅうこうの前に立ちはだかったが、仲昊ちゅうこうは魔刀を取り出し翎月れいげつを退けた。

仲昊は攢心釘さんしんていを取り出し幽冥ゆうめい門に投げ入れた。

「魔を迎えるだと。それでも烈夷れついの息子か。命知らずなやつめ」
垣渡えんとが現れ仲昊ちゅうこうに向かっていった。

垣渡えんと仲昊ちゅうこうに傷を負わせたが、自らも傷つき倒れた。

「逃げて。私が食い止める」
翎月は垣渡えんとに加勢した。

「よせ。私は山霊さんれい界の国主だ。私がいる限り、烈夷れついの息子には魔界の門をくぐらせまい」
垣渡えんとは血を吐きながらも仲昊をにらんだ。

「涙を誘う姿だ」
景休が現れた。

「景休よ。一族が果てた縛霊淵ばくれいえんにお前も共に葬ってやる」
仲昊は景休けいきゅうに斬りかかった。

景休の剣が仲昊ちゅうこうの腹を貫き、仲昊ちゅうこうの背には黒蚩こくしの剣が刺さった。

「私を裏切ったのか」
仲昊は黒蚩こくしを払いのけたが、景休けいきゅうの剣の前に倒れた。

「冥府において魔君まくんとなればよい」

黒蚩こくし仲昊ちゅうこうの息を確かめ、死んだことを報告した。

「逆賊は死せり。敵は討った」
景休は垣渡えんとに向かって歩き出した。

景休けいきゅう、国主を殺すのか。近づくでない」
翎月は垣渡えんとの前に立った。

「国主だと?」
景休はあざ笑った。

景休けいきゅうとな?お前は何者だ」

「忘れたのか。私を?憎らしい垣渡えんとめ。私の心に名を刻みながら、お前は私を忘れたと言うのか」

「お前は…」
垣渡えんとは腹を押さえながら景休けいきゅうを見た。

「思い出したか。その昔お前は私を欺きだましたのだ。覚えているか。どうなのだ」
景休は垣渡えんとに向かって叫んだ。

「お前だったのか」
「そのとおり」
景休は垣渡えんとに剣を向けた。

「来るがよい。できるものなら捕らえてみせよ」

景休は垣渡えんとに斬りかかり、垣渡えんとに加勢した翎月れいげつを払いのけると、垣渡えんとの背に一太刀を浴びせた。

垣渡えんとは倒れ、垣渡えんとに駆け寄ろうとした翎月れいげつ赤鷩せきべつに倒された。

「父上、我が一族の敵討ちは成れり」
景休は上に向かって叫んだ。

翎月れいげつは国師に対し、恨みを抱くでしょう。情けは無用かと」
黒蚩こくしは言った。

「国主だぞ」
赤鷩せきべつは気色ばんだ。

「国主とて死ぬ。それに宝青ほうせい公主がいれば世継ぎの心配もない」

黒蚩こくしの言葉を聞いた景休けいきゅうは、倒れている翎月れいげつのもとへ向かった。

翎月れいげつ、貸し借りなしだ」

景休がつぶやいた時、九宸が縛霊淵ばくれいえんに入って来た。

九宸は仲昊ちゅうこうの亡骸を視認した。

「戦神、この夜更けに何用です」
赤鷩せきべつは九宸に対応した。

「用があるゆえ来たのだ。お前が殺したのか」
九宸は仲昊ちゅうこうを見た。

仲昊ちゅうこうは魔族と通じ民を虐げ国主を拐かしたうえ縛霊淵ばくれいえんにて幽冥ゆうめい門を開き魔族を放とうとしました。国師が山霊族の災いを除かれた結果です」
赤鷩せきべつは説明した。

「まだ景休けいきゅうを“国師”と?」

「戦神、山霊さんれい界のことはご案じなさいますな」
赤鷩せきべつ揖礼ゆうれいした。

景休けいきゅうに伝えよ。“誰の心にも魔が潜む。善悪は紙一重故行く道を誤るな”と」

九宸は倒れている翎月の脈を確認した。
景休と黒蚩こくしはいなくなっていた。

小白しょうはくもくのいる清風楼せいふうろうにやってきて、もくの部屋の結界に体当たりを繰り返し、ピーピー鳴いてもくを呼んだ。

小白しょうはくなの?」
もくは気づき、部屋の扉を開け小白しょうはくの前に膝をついた。

「どこかけがはない?」
小白しょうはくは大丈夫と言っているように見える。

もく小白しょうはくを抱き上げた。

「どうやって来たの?よく捜し出せたわね。家にいる頃より太ったみたい」
もく小白しょうはくをなでた。

元瞳げんどうは神獣の匂いをたどり、清風楼せいふうろうにやってきて、小白しょうはくを抱くもくを見た。

霊汐れいせき?」
元瞳の声で、もく元瞳げんどうを見た。

「いいえ。人違いです」

元瞳はもくを家具にたたきつけ、小白しょうはくを払いのけた。

小白しょうはくは壁に打ち付けられ気絶した。

「助けたのは、あの方だな?魅了の術でも使って危険を冒させたのか。お前が無事だと知られれば、あの方は終わりだ。ゆえに死んでもらう。私の手でな」

元瞳はもくの首を掴んだ。

小白しょうはくは成獣に進化し、元瞳げんどうを払いのけると、もくを背に乗せ逃げ去った。

九宸は翎月を天息宮てんそくきゅうに連れ帰り寝台に寝かせた。

侍女が1人九宸に応対した。
せきばあやたちは仲昊ちゅうこうに捕らえられたそうだ。

「ひとまず国主の世話は任せる。これだけの騒ぎだ。すぐにも天宮から助けが来るだろう」
九宸は侍女に指示を出すと、天息宮てんそくきゅうを出て行った。

天雷てんらいは将軍たちを連れ山霊さんれい界に来ていた。

開陽かいよう含章がんしょう天息宮てんそくきゅうへ。紫光しこう方昇ほうしょうは私と幽都ゆうと山へ向かえ」

天雷は指示を出した。

景休の配下は仲昊ちゅうこうの配下を倒した。

報告を受けた景休けいきゅうは胸を押さえた。

景休がてのひらを見ると、赤い血の粒が広がった。

もくが危ない」
景休は呟いた。

天息宮てんそくきゅうを出ようとしている九宸きゅうしんは胸を押さえ壁に手をついた。

もく小白しょうはくの背に乗せられ、雲の上を逃げている。
すぐ後ろを元瞳が追っていた。

元瞳は小白しょうはくの前に回り込み、小白しょうはくを叩き落とした。

落ちた場所は、幽都ゆうと山の魔君まくんの前だった。

小白しょうはく元瞳げんどうに向かっていき、元瞳げんどうは剣で小白しょうはくをなぎ倒した。

小白しょうはく、しっかり」
もく小白しょうはくに駆け寄った。

「どうか殺さないでください」
もく元瞳げんどうに哀願した。

「守れるとでも?」
「このとおりお願いします」
もくは何度も叩頭した。

「やめよ。白々しい芝居はよせ。霊汐。誰も見ていないのに、か弱いふりをするな」

霊汐れいせきじゃないわ。人違いよ」

「ならば誰だ。お前がいなければ、神尊は汚点1つない孤高の存在のままだった。我がげん家の栄誉とて今なお保たれたろう。悪いのは全てお前なのだ」

「何を言ってるのか分からない。小白しょうはくを助けて」
もく元瞳げんどうを見た。

「あの世で乞え」
元瞳は剣を振り上げた。

すると魔君まくん元瞳げんどうを阻んだ。

「それは私のものだ。傷をつけるな」

天雷、紫光しこう方昇ほうしょうが駆け付けて来て、元瞳げんどう天雷てんらい揖礼ゆうれいした。

「霊汐、生きていたのか」
天雷は言った。

「私は霊汐じゃない」
もくは何が起きているのか分かっていない。

霊汐れいせきは天宮を恨み、魔君まくんを復活させる気です。もはや私では手に負えません」
元瞳は天雷てんらいに言った。

元瞳がもくに仙術を放ち痛めつけると、もくの右耳の後ろの魔印が赤く光った。

「今すぐ私のもとに来い」
魔君まくんは言った。

「魔君の復活を阻め」
天雷に命じられ、紫光しこう方昇ほうしょうは魔君に仙力を送った。

元瞳がもくに放った仙術を九宸は払いのけ、もくに駆け寄った。

九宸は苦しそうに胸を押さえていて、黙は九宸の身を案じた。

九宸きゅうしんよ、天君への申し開きはそなたに任せる。だが聞かせよ。民の安寧よりも女が大切なのか」
天雷は九宸に問うた。

『朝日が昇るまでにりんもくは死すべきです』
九宸の脳裏に司命しめいの言葉が響いている。

「あなたも私を殺す気?」
もくは九宸を見た。

「救いたい」
「私が死ねば、霊汐れいせきが戻るからなのね?」

「そなたが霊汐だ」
もくは涙のにじむ目で顔をゆがめた。

「小娘、私のもとに来るがいい。お前の死を願うやつらなど捨て去れ」
魔君まくんもくを呼んでいる。

景休けいきゅうがそなたを救った物は?渡すのだ」
九宸は受け取ろうと、てのひらを差し出した。

もくは九宸の手を見て…。

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感想

景休さんは敵討ちに成功しました。
景休さんは今回10万年生きたと言っていて、景休さんの一族が滅んだのは景休さんが子供の頃だった。ということは、10万年近く景休さんは垣渡えんとを恨み続けていた。
執念の敵討ちでした。

垣渡えんとは最初景休けいきゅうさんのことを覚えていない風だった。
傷つけたほうは覚えていないあるある。

垣渡えんとの甘さは景休さんを生かしたことでしょう。
景休さんも殺しておけば、敵討ちされることはなかった。

でも、敵討ちをされないように一族を皆殺しにして、それで安心でしょうか?
その一族の誰かの恋人が今度は敵討ちをするかもしれない。
そうやって考えていったら、一族を皆殺しにしただけでは足りない。

関わりのあった人も殺さなければならない。
疑わしきは皆殺すしかない。

何が言いたいかというと、一族皆殺しとか一蓮托生とか敵討ちとか、逆恨みとか、そういうのはやめてくださいということです。
それに人数の減少=没落だと思うのです。

だから山霊族の一部族を皆殺しにするということは、山霊族全体の不利益だと思うのですが…。
でも人間はそうやって歴史を歩んできたわけで、みんな近場で殺し合いをしてきて、それが人類の歴史。
なんだか今回は色々なことを考えてしまいました。

今回、景休けいきゅうさんが「そなたが望まぬなら誰も命珠めいじゅを奪えない」と言っていました。

黙が死ぬと霊汐れいせきが帰ってくる。
ということは、やっぱりもくは死ぬと思うんです。

霊汐れいせきはかつて神尊に殺されそうになった時、九宸を人殺しにしないよう自分から昆吾こんご剣に倒れ込んだ。

だからもくも九宸のために死を望み命珠めいじゅを差し出すのかなと感じました。

どうなる?

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