運命の桃花~宸汐縁~第46話 最後の劫

第46話 最後の劫運命の桃花

運命の桃花 第46話 あらすじ

九宸きゅうしんもくのもとを去り、黙は九宸を捜しに太平府を目指した。司命しめいが太平府が存在しないことに気づくと、九宸は人間界に向かった。黙は何日も雨に打たれ病になり、九宸は黙を桃花小築とうかしょうちくに連れて帰り看病した。黙は容色が衰え味覚を失った。もくは4日後の誕生日に死ぬことになっている。景休けいきゅうは黙を助けようとやって来た。黙は景休から黙が死ねば霊汐れいせきがよみがえるという話を聞いた。

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運命の桃花 第46話 登場人物

人間界に転生した霊汐。九宸と共に桃花小築で暮らしている。
九宸天族の戦神。神尊。黙を見守るため人間界にいる。
景休山霊界の国師だった。山霊界が仲昊らに占拠され人間界にいる。
司命人間の運命を司る神仙。
仲昊九宸の配下だった烈夷の息子。魔君に忠誠を誓った。
宝青山霊界の公主。
赤鷩景休の配下。

運命の桃花 第46話 詳しいあらすじ【ネタバレ有】

九宸きゅうしんもくをおぶって桃花小築とうかしょうちくに帰って来た。

九宸きゅうしん、ずっと私のそばにいるってうそじゃないわよね。でしょ?」
もくは九宸に確認している。

九宸はうなずいた。
「なら何も怖くない」

九宸は黙が眠ったのを見届けると、もくに声をかけた。

霊汐れいせき、待っているぞ」
九宸は黙の額に口づけ、消えた。

翌朝、目覚めた黙は九宸の部屋が片付いていて、九宸きゅうしんがいなくなっているのに気づいた。

小白しょうはくは九宸を探すもくの後をついて回った。

もくは不機嫌そうですが、どうしたんでしょう」
かんおばさんとそん医師はもくを心配した。

仕事を終えたもくは走って家に帰り、九宸を探したが九宸きゅうしんはいなかった。

夜、もくが寝ていると強風で扉が開いた。

黙は目を覚まし、九宸が帰って来たのではと家中を探したけれど、九宸はいなかった。

司命殿の洞天鏡どうてんきょうからもくの様子を見ていた九宸きゅうしんは心を痛めた。

司命は人間界に行かぬようにと九宸に念を押した。

景休は宝青ほうせいの治療を終えたが、まだ宝青ほうせいは目覚めない。

「公主の世話はお前に任せる」
景休は赤鷩せきべつに言った。

「国師はどちらへ?休まねばお体に障ります」

「長居しすぎた。急がねば間に合わん」
景休は出て行った。

 桃花小築とうかしょうちくの食卓には、九宸の分の茶碗も用意されていた。

最近元気のないもくに、そん医師はまとまった休みを与えた。

もくはいつでも九宸きゅうしんが帰ってこられるよう、家の門を開けたままにした。

九宸は司命しめい殿にずっといる。

「焦ることはありません。霊汐れいせきごうを終えれば万事めでたしですよ。早めに休まれては?」

司命は九宸に声をかけた。

「疲れたならお前が休め」
扶雲殿ふうんでんへお帰りに?口が滑りました。お好きなだけご滞在を」

洞天鏡どうてんきょうからはもくが出かけていく姿が見えた。

小白しょうはく、数日で帰ってくるから、おとなしく留守番してるのよ。行くわね」

もく小白しょうはくにご飯を与えると出かけて行った。

もく太平たいへい府に行こうとしているようで、街で何人もに声をかけ太平府への道を聞いているが、知っている人はいなかった。

「太平村や太平鎮はあるが太平府は聞いたことがない」

もくは時々咳をしていた。

洞天鏡どうてんきょうからもくを見ていた司命しめいは、太平府が存在しないのではないかと考えた。

九宸はいてもたってもいられず駆け出していった。

「私に劫が下るのも間近だな」
残された司命しめいは呟いた。

もくは咳をしながら歩き、大雨の中庭軒楼ていけんろうという宿にたどり着いた。

「すみません」
もくは扉を叩いた。

「夜中に騒ぐな」
中から1人の男性が眠そうにしながら出てきた。

「一夜の宿を求めて来ました」

「うちは官吏しか泊まれん。他を当たれ」
男性はもくを追い返そうとしている。

「ですが外はひどい雨です。どうか雨宿りさせてください」

「うちの客は官吏だけなのだ。ゆえに…まったく。ならばあの小屋で雨をしのぐといい。もめ事はご免だぞ」

男性が指さした先には倉庫があった。

「ご親切にどうも」
もくは倉庫で眠った。

九宸は黙が眠ると倉庫に姿を現し、黙を一目見ると、帰ろうとした。

「また去る気?」
もくは目を覚ました。

九宸は黙に駆け寄った。

九宸きゅうしん、急に現れるのね。どうして私から離れるの。“さよなら”も言わずに。私に言うことはない?選ぶのは霊汐れいせきね?」

黙黙もくもく

霊汐れいせきなんでしょ?私と生き写しの霊汐があなたの思い人で、私は身代わりだった。一緒に暮らした日々で、朝も夜も霊汐れいせきの面影を私に重ねてた?私を好きだったことは?私への言葉に少しは真実があった?私はあなたを引き止めたり恨んだりしない。あなたが去ってから恋しかった。太平府の出身だと聞いたから、場所も分からないのに捜しに出たのよ。道を尋ねても、誰も知らなくて、どうしてもあなたが見つからない。九宸、教えて。私を好きだった?一生私の面倒を見ると言ったわよね。片ときもそばを離れず守ると告げた言葉はうそだったの?教えてよ」

もくは涙ながらに胸の内をぶつけた。

九宸は何も言わずもくの話を聞くと、もくを抱きしめた。

「悪かった。すまない」

九宸は黙を庭軒楼ていけんろうに泊まらせた。

もくを寝台に寝かせ、九宸は黙の手を拭いている。

「空腹か。食べ物を」
九宸が食事を取りに行こうとすると、黙は九宸の手をつかんだ。

「すぐ戻る」
九宸が言うと、黙は不安そうに微笑んだ。

九宸は部屋から出て行く。

扉の所で九宸きゅうしんは振り返った。
「すぐだ」

九宸が出て行くと、もくは苦しそうに咳をした。

九宸は階下で宿の者に何か頼もうとしているが、宿の者はおらず、司命が現れた。

「今すぐお立ち去りを」
司命は揖礼ゆうれいした。

「手出しはしない」
「できますか」
九宸は言葉を返すことができない。

霊汐れいせきを助けたいのなら、心を鬼にして静観に徹さねば苦労が水の泡になります」

もくの死期は?」

「すぐです。林黙りんもくは数日後の誕生日に重い病にかかり亡くなります」

「急だな」

「ちょうどその日は戦を好む山霊さんれい族が血のごとく赤い月を愛でる日です。霊汐は鳳凰族たる国主の娘ゆえ、その日にごうを終えれば大きな成果を得ます」

「苦しむのか。こたびは死劫しごうだな」

「はい」

「1つ目は生劫せいごう。親子の縁を切るという恩愛を断つ試練だった。こたびの死劫では、あらゆる病に侵され死に至る。五感を失い容色は衰えるだろう。長引けば長引くほど苦しむに違いない。死劫か。もう1つは?」

「それは…」
司命は言いよどんだ。

「死が眼前に迫る今、2つ目の劫はいつ訪れるのだ」

「どんなごうであれ、霊汐に課すもの。神尊が手出しせねば無事終わります」

司命は揖礼ゆうれいした。

2階からもくの苦しむ声が聞こえてきて、九宸は黙の所に駆け付けた。

もくは寝台の下で苦しんでいた。

黙黙もくもくどうしたのだ」
「体じゅうひどく痛むわ」

九宸は仙術を使おうとしたが、あと数日で劫を終えられると考え、使うのをやめた。

もくの右耳の後ろに、薄く魔印が現れている。

九宸きゅうしん、九宸、私どうしちゃったの?私は?」
もくは苦しそうに笑った。

「病になった」

「そうね。私はここに来るまで何日も雨に濡れた。病になっても不思議じゃないわ」

「すぐによくなる。黙黙もくもくりん家まで送ろう」

「実家より2人で暮らした家に帰りたい。こんな姿では父と母を心配させるもの。いつか治ってから顔を出すわ」

「よし、では帰ろう」
九宸は黙を抱きしめた。

幽都ゆうと山の魔君まくんは喜びの叫びをあげていた。

「仙女を見つけた。ついに見つけたぞ」

元瞳は修練していて、血を吐き、薬を飲もうと小瓶を手に取った。

『なにゆえ醒神丹せいしんたんを飲んでも魔に侵されるのか。もしや、この丹薬は…』

元瞳は考え、小瓶を握りしめた。

九宸は黙を桃花小築とうかしょうちくに連れて帰り、看病した。

もくは寝台に座り、九宸におかゆを食べさせてもらっているが、食が進まない。

「味がない」
もくは食べようとしない。

「町へ行く。好物を買ってこよう」
九宸は言った。

「ついでに孫先生を訪ねて往診を頼んでほしい」

「すぐに帰るゆえ、案ずるな」

九宸きゅうしん、早くね」

出かける途中、九宸は小白しょうはくをなでたが、小白しょうはくは元気がなく寂しそうに鳴いていた。

1人になったもくは、鏡を覗き込み言葉を失った。

食べ残したお粥にたくさん具材が入っているのに気づいた黙は、台所に向かい調味料を次々口に入れ固まった。

「どうして?なぜこんなことに」
もくは咳込み、泣いた。

九宸がそん医師を連れて戻ってきた。
台所でうずくまり泣いているもくを見て、九宸は心を痛めた。

そん医師が帰り、もくは寝台に横になっている。

「余計なことは考えず、ゆっくり休め。孫先生が医書で調べてくれる。待とう。きっと治る」
九宸は黙の手を握った。

「あなたも休んで」
「付き添う」

「あちこち駆け回って疲れたでしょ。寝なきゃだめ。あなたが心配で眠れない。早く行って」

「何かあれば呼んでくれ」
「分かった」

もくがうなされ目を覚ますと、景休けいきゅうが現れた。

「行こう」
景休はもくの手を引いた。

「嫌よ」

「ここで死を待つつもりか」
景休は言った。

「どういう意味?」
「私と行こう」

景休が黙を連れ出すと、庭に九宸きゅうしんがいた。

もくを連れていく」
景休は九宸に宣言した。

もくだけは置いていけ」
「ここに?お前の手で殺されるのにか」

「2人とも何を言ってるの。しゅうにいさん、どういうこと?」
もくは驚いて景休けいきゅうを見た。

「やつが何をする気か聞いてみろ」
景休は言った。

九宸きゅうしん?」
もくは九宸を見た。

「助ける」
「お前が助けたいのは霊汐れいせきだろう」

「なぜここで霊汐れいせきが出てくるの」
もくは困惑している。

「説明する」
九宸は言った。

「そうはさせるか」
景休はもくを下がらせ、九宸に仙術を放った。

九宸は昆吾こんご剣で応戦し、景休けいきゅうを弾き飛ばした。

「やめて。だめよ」
もくは倒れた景休けいきゅうをかばうように両手を広げた。

「どうなってるの?しゅうにいさんが私は死ぬって。こんな病くらいで死なないわよね。霊汐とどんな関係が?九宸きゅうしん、教えてちょうだい」

「信じてくれ。そなたのためだ」

「そうすると私は本当に死ぬのね」

「死とは単なる事象の1つにすぎない。しばし苦しみに耐えれば…」

霊汐れいせきに戻るのか」
景休は立ち上がり言った。

「違う」
「ならば何だ。もくが死ねば、霊汐れいせきはよみがえる。それこそお前の待ち望むことだろう」

「黙れ」

もくは血を吐き出し、地に膝をついた。

もく大丈夫か。もく、しっかり」
景休はもくを支えた。

「九宸、さっきの話は本当?」
もくは九宸を見つめた。

「九宸、言っておくぞ。私にとって霊汐などどうでもよい。私がいるかぎり、お前の好きにはさせない。私はもくを連れていく。邪魔をするなら容赦せぬぞ」

「私を脅すとは生意気な」

もくはさらに血を吐いた。

黙黙もくもく、今はつらくともいずれ分かる。相手が誰だろうと連れていかせない」

その時、黒い煙をまとった仙術が景休けいきゅうに向かって放たれた。
「威勢のよいことだ」

仲昊ちゅうこうが乱入してきたのだ。

仲昊ちゅうこう、またお前か」
九宸は仲昊ちゅうこうをにらんだ。

九宸きゅうしんよ、お前がこれほど一途だとはな。霊汐のために法を犯しおって。裁きを恐れぬのか。それから偉大なる景休国師よ。この前しとめ損ね、悔しくて私は夜も眠れん。早く捜し出せてうれしいぞ」
仲昊は笑い声をあげた。

「わざわざ殺されに来たのか」
景休は仲昊ちゅうこうをにらんだ。

「はてさてどちらが生き残るやら。…小娘、お前を生かせるのは私だけだ。ここで死ぬより私と来るがいい」

九宸は仲昊ちゅうこうに斬りかかり、景休けいきゅうは黙を連れて消えた。

九宸は胸を押さえている。

「さすがは九宸だ」
仲昊は消えた。

九宸は胸を押さえ膝をついた。
司命が現れ九宸きゅうしんに駆け寄った。

雲風うんほうを呼べ」
九宸は苦しそうにめいじた。

「誰と戦ったのですか。火精かせいが消えかけています」

「雲風を呼べ」
「なれど…」

景休けいきゅうりんもくを連れ去った。仲昊ちゅうこうが狙っている。りんもくを捜せ」

「はい。直ちに見つけます」

「あと4日だ。あと4日しかない。もくを見つけよ」
九宸は倒れた。

「神尊、お目覚めに」

景休は森の中でもくを仙術で治療していた。

もくよ、しっかり。どうだ、つらいか」
しゅうにいさん」

黙はうつろな目をしていて、口の周りは吐血の痕で汚れている。

「哀れな。どうにか持ちこたえてくれ」
しゅうにいさん、私は…。あのね、何も見えないみたい」

「まさか目が見えないのか。もくよ」
「どこで誤った?」

「恐れるでない。私がいれば大丈夫だ。持ちこたえよ。四海八荒しかいはっこう(四方の海と八方の果て)で一番の医仙に診させるぞ。それまで持ちこたえてくれ」

景休はもくに仙力を送った。

「もしかして私は死ぬの?」
「いいや死なない。そなたが死ぬものか」

もくは目を閉じ、動かなくなった。

もくよ、どうした。黙よ」
景休はもくを抱いてきつく目を閉じた。

目を開いた景休けいきゅうは天に向かって叫んだ。

「これで満足か。さぞや愉快だろう。あれほど私から取り上げ唯一の愛すら奪う気か。思いどおりにはさせない。絶対にだ」

景休は自分の命珠めいじゅを取り出した。

もくよ、死なせやしない。生かしてやる。これは私の命珠めいじゅだ。そなたにやろう。この先我らは共に生きる。天地の果て。あの世とこの世。いかなる神と魔も私が阻もう。そなたを傷つけさせない」

命珠めいじゅもくの中に入っていき、もくは息を吹き返した。

しゅうにいさん」
「よかった」
景休はもくを抱きしめた。

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感想

つらい…。
霊汐役の女優さんが演技がうまいからなおさら。

黙の1つ目のごうは生劫。
3つ目のごうは死劫。

司命は2つ目のごうが何なのかについて言葉を濁していました。

私はピーンと来ました。
情劫でしょう!
しかも神尊が相手役を気付かぬうちに引き受けていました。

情劫は過去2回履修してきたので、分かりました。
骨の髄まで惚れさせて、ポイするというのが情劫の相手方がやるべきことです。

この司命しめいはできる男です。
神尊は情劫の相手役を自分がやっているとは気付かぬまま相手役をやっていました。

霊汐は神尊を好きになった。
だけど神尊には本当に好きな相手がいるらしいと気づいた。その名は霊汐れいせき
そして神尊に捨てられた。
もくは霊汐の存在に苦しみみ、神尊がいなくなったことに苦しみ。

ハッ!
そうだとすると、承晏しょうあんの行動も運命簿通りなのかもしれないと今気づきました。

私は前回、承晏が人間界に来てもくに「霊汐れいせき」と呼びかけたことに対して、姿消して来いよ!なにしてくれとんじゃ!
みたいなことを書きましたが、承晏しょうあんが人間界に来なければ、もく霊汐れいせきが自分にそっくりらしいことに気づかなかったはず。

もくが神尊の姿を捜したり、神尊の分のお茶碗も用意してたり、門を開けておいたりするの見てるのつらかった。

神尊が戻ってきてからも、もくは神尊が部屋から出ていこうとすると不安そうな顔してて見てるのつらかった。

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