運命の桃花~宸汐縁~第44話 天の配剤

第44話 天の配剤運命の桃花

運命の桃花 第44話 あらすじ

宋家の家職はたまたまもくを見つけ、もくの家にやってきた。もくは家職と話し、祖母が病であることと、九宸きゅうしん子玉しぎょくではないことを知った。九宸は黙に告白し、、黙は九宸を受け入れたが氏素性を知りたがった。九宸はほう仙人に人間としての身分を用意させた。黙は祖母が心配になり、実家に戻った。

大人が惚れる和食器通販「大人の焼き物」



運命の桃花 第44話 登場人物

人間界に転生した霊汐。生家を出て、桃花小築で九宸と暮らしている。
九宸天族の戦神。神尊。黙に許嫁の宋子玉だと勘違いされているが、訂正していない。
雲風九宸の弟弟子の上神。
青瑶霊汐の姉弟子。
司命人間の運命を司る神仙。
十三元は鮫人族の男だった。扶雲殿の侍女。司命のことが好き。
玉梨薬王の娘。青瑶の姉弟子。
楊氏黙の母(養母)。
黙は綻を異母妹だと思って育ったが、実際は血がつながっていない。

運命の桃花 第44話 詳しいあらすじ【ネタバレ有】

十三じゅうさんは緊張した面持ちで青瑶せいように会いに行った。

「神尊がお戻りよ。一緒に来てほしい」
「神尊が?私に来いと?分かったわ」

青瑶は十三の挙動不審な態度を怪しみつつも、十三について行った。

「戻ったら薬を取りに来ると仰せだったのよ」
十三について行きながらも、青瑶せいようは探りを入れた。

「それは、よく分からない」
十三は顔をそらした。

「正直に言わないなら、これで失礼するわ」
青瑶は十三に背中を向けた。

せいようよ」
桑南星君そうなんせいくんが現れ、青瑶せいようを呼び止めた。

ほう殿?なぜここに?」
「そなたのおかげだ」

十三は見つめ合う2人を訳も分からず見ている。

「私の?」
青瑶は桑南星君そうなんせいくんの近くに行った。

「あなたは、5万年の情劫じょうごうを経た桑南星君そうなんせいくん

雲風うんほうは、観雲殿かんうんでん青瑶せいようを待っていた。

「遅いな。まずい緊張している」
雲風は落ち着かない様子だ。

人の気配がして、雲風うんほうは姿勢を正した。

「そなたが来るまで悩んでいた。どのように告げたら軽薄だと思われず真心が伝わるかと考えていたのだ。だがそなたが私の前に現れると、選んだ言葉が全て味気なく思えてきた。私たちの縁は5万年前の洪水に始まった。確かに悪縁だったが、それが私たちを近づけた」

現れたのは青瑶せいようではなく十三じゅうさんだったが、雲風は気づかず話し続けている。

「大切な者を失った悲しみは分かる。痛みを思えば心を締めつけられる。何度そなたに言いたかったことか。“大丈夫だ、私がいる”とな。なぜそなたを愛したのか分からない。でも二度と他の誰かを愛せない。青瑶せいよう

雲風が振り向くと、十三じゅうさんがそこにいた。
十三は雲風の告白に聞き入っていた。

十三じゅうさん?何の用だ」
「上神、見事です。感動しました」
「青瑶は?」

雲風は口に人差し指を当て、小声で十三に尋ねた。

「ここへ来る途中、偶然にも知り合いと会って…」
「知り合い?」

十三から話を聞いた雲風はその場所に駆けて行ったが、すでに青瑶たちはいなかった。
雲風は薬王洞に向かった。

薬王洞の自室で、青瑶は桑南星君そうなんせいくんと話していた。

「そなたを5万年も待った。そなたが私を忘れていれば人間界をさまよい戻れなかったやも。今まで元気だったか?」

青瑶はうなずいた。

「あの洪水のせいで、そなたと5万年も引き裂かれるとは。あの時そなたは私を見つけたのに、なぜ去った?」

「あなたを人間だと思ったの。もし人間ならば知らせる必要もない」
「そうだな。あの時に戻ったら、私とて知りたくはなかった」

桑南星君そうなんせいくんは袖から櫛を取り出した。

「こんな平凡な櫛を、ずっと手元に?おかげでごうを終えることができた。また会えてうれしい」

雲風は青瑶の部屋の外で入ろうか入るまいか考え行ったり来たりしていた。
雲風が決意して入ろうとした時、玉梨ぎょくり雲風うんほうに声をかけた。

「雲風上神じゃありませんか。こんな所で何を?閉め出された?」
「散歩をしていた」
雲風は出口の方へ向かった。

「うろうろせず中へ入ったらいかが?見間違いでなければ、桑南星君そうなんせいくんが中にいます。噂でもちきりです。感動的だわ。人間界に下った青瑶と桑南星君そうなんせいくんが偶然にも出会い、洪水に襲われて恋仲を引き裂かれた。青瑶せいようは無事にごうを終えたけど、桑南星君そうなんせいくんは思いに引かれ、人間界で青瑶せいようを探し続けた。しかも5万年もですよ。あの中で何を話してるのかしら」

玉梨ぎょくりは面白がっている。

「知るものか」

「未婚の男女が密室にいる。しかも昔恋仲だった。容易に想像できます」
玉梨ぎょくりは笑顔だが、雲風うんほうはむすっとして玉梨ぎょくりをにらんだ。

「何です?誰か・・がいなければ星君はとうにごうを終えてた。違う。今では上神だわ。雲風上神と同格ですね」

雲風は玉梨ぎょくりに背中を向け歩き出した。

「どこへ?桑南星君そうなんせいくんへの償いもなしですか?本来なら桑南星君そうなんせいくんは5万年ずっと安泰だったし、ごうも終えてたのにね。司命殿の働きがなければ星君はいつまで人間界をさまよってたやら。不幸の元凶が愛した女に言い寄ってるなんて、これって二重の恨みよ。背筋も凍るわ」

玉梨ぎょくりは笑顔ですべてを話した。

「“司命殿”?」
雲風は怖い顔でつぶやいた。

雲風は司命しめいが災いに見舞われると心配していたのを思い出した。

「司命よ、予言は的中した」
雲風は司命殿に向かったが、司命しめいはすでに逃げた後だった。

司命は周囲を気にしながら扶雲殿ふうんでんで掃除をしていた。

「司命、神尊じゃなくて本当に私に会いに?」
十三は司命に尋ねた。

「そうさ。何度も言っているじゃないか」

「いつもは私が訪ねるのに、私に用でも?」
「そなたとて用もなく司命殿へ来るだろう?」

「私はあなたに会いに行ってるの」
「そうか?私も同じだ。ほら、足を上げて」

司命は庭の落ち葉を掃いている。

「私に会いに来たわりには、なぜ私の務めを勝手にするの?」

「そなたは何もせず、体力を温存するのだ。私を見ていてくれ」
司命は真剣な表情で十三に言い聞かせた。

十三は嬉しそうに微笑んでいる。

「そんなの照れるわ。水をくんでくる」
「力仕事はこの私がやる。桶は?」

司命は十三を呼び止めた。

「私はずっと力仕事をしてきたけど、初めて心配を」
十三は嬉しそうだ。

「ああ、心配だ。今はそなたと片ときも離れたくない」

「司命ったら嫌ね。恥ずかしい」
司命の殺し文句が十三にクリティカルヒットしている。

十三じゅうさん、あの門は閉めたほうがいい」
司命は不安そうに門を指さした。

「昼間なのに戸締りしろと?」
十三は何か思いついたようで、頬を染めた。
「門が開いてると、外から見えるから?」

「そのとおり」
司命は十三の考えが読めないものの、適当に相槌を打った。

「門を閉めるのは構わないけど、みだらなことはだめよ。まだ夫婦じゃないし、三生石さんせいせきの前で誓ってない。それに…」

十三が恥ずかしそうに話していると、雲風うんほうがすごい剣幕で現れた。

司命しめい。…ろくでなしめ。ここに隠れていたか」

司命は十三の後ろに隠れた。

「扶雲殿で乱暴は許さない」
十三は雲風に話した。

「ここが凌霄殿りょうしょうでんであっても容赦しない」
「私とて不本意だったのです」
司命は雲風うんほう揖礼ゆうれいした。

「話を聞くのは殴ってからだ」
雲風は腕まくりしている。

「私を兄弟も同然と言いましたよね。“兄弟は手足のごとく、女は衣のごとし”どちらが大事です?」

「もちろん“衣”だ。手足なしでも外出できるが、裸では誰にも会えん。司命、覚悟しろよ」

十三は両手を広げ、雲風うんほうの前に立ちはだかった。

「司命に乱暴するなら私が相手です」

司命は逃げ、雲風うんほうは司命を追っていき、十三は雲風を止めようと追って行った。

宋家の家職は、偶然街でもくの姿を見かけ、後を追ったが見失ってしまった。

家職は怪我をし、孫記薬舗に駆け込み、そん医師の治療を受けた。
そん医師の弟子がやってきた。

「師匠、もくは帰宅を?」
「ああ」
「忘れ物です」
「もう桟橋辺りだ」

2人のやりとりを聞いていた家職は、目を見開いた。

「耳が聞こえぬ娘では?」
「以前はそうだが治った」
「治った?」
「知り合いか?」
「住まいはどこに?」

もくが家に帰ると、門の所にほう仙人がいて中の様子をうかがっていた。

「おじいさん、こんにちは」
もくほう仙人に声をかけた。

ほう仙人はもくの姿を見て驚いている。
「どうも」

「ご用ですか」
「人に会いに」

「誰にです?」
「中にいる若者だ」

「宋さんに?中に入ったら?」
「入れてくれない。また来るよ」
ほう仙人は帰っていった。

もくが家に入り、九宸きゅうしんに老人が訪ねてきたことを話していると、来客があった。

もくが来客に対応すると、宋家の家職だった。

「やはりあなたか。耳も治り、話せるのですね」
「宋家の若様なら中におられます」

もくが家職を案内すると、九宸きゅうしんが出てきた。

「やはり話は本当だった。男と同居を?」
家職は厳しい視線でもくを見た。

「どういう意味で?」
もくは戸惑っている。

「賢い令嬢と思っていたが、これほどふしだらとは。許嫁がいながら家出して祖母を病にし、あげくに男と同居を?あきれたものだ」

もくは驚いて九宸きゅうしんを見た。

「この方を知らないの?」

「当たり前です。うちの旦那様と奥様は、あなたを嫁にと望んでいたのですよ。恥じる心あらば私と一緒に戻り、お二人に謝罪を。この件は必ずあなたの父上に報告し、旦那様に対して謝罪していただく」

家職は帰っていった。

「あなたは一体誰なの。“宋さん”。なぜ宋子玉そうしぎょくのふりをし、私をだますの?いつからだましてた?初めて会った時から私をだましてたの?こんな私の何が狙い?」

もくは冷たい表情で九宸きゅうしんを見た。

「私はただ守りたかったのだ」

「私を守る?だますことが守ることになる?」
「なにもかもそなたのためだ」

「人をだまし、卑しめ、偽りがばれても恥じることもない」
「だましたことは認める。だが卑しめてはいない。すでに長く共にいるが、傷つけたことはない」

「今はそうでも今後は分からない。もしも…。もし…」
「もしも何だ?そなたはか弱い女子おなごだ。一生そばにいたい。守ってやりたい」

もくの瞳は赤く染まり涙がたまっている。

「何の縁もない私をどうして守りたいの」
「好きだからだ」

「私を…好き?」

「そうだ。好きで気になり、いとおしい。愛とも呼べる。こんな言葉を口にする日が来るとは。本当は姿を現す気はなかったが、頼る者のないそなたを案じた。でも誰かが一緒だとなお心配だった。分かるだろう?」

もくは泣いた。

「私を好きと言うなら、それはいつから?」
「ずっと前だ」

「初めて会った時?」
「もっと前だ」

「そんな前に会ったことが?覚えてない」
「構わない。私が覚えていればいい」

「それであなたは誰?今ここで本当のことを洗いざらい話せば、許してもいい」
「名は九宸だ」

九宸きゅうしん?姓が九?“九”なんていう姓は珍しいわね。それで故郷はどこ?ご両親は?きょうだいはいるの?あなたって書生?それとも商人か農民?そうだわ。仙術を使うけど、道士じゃないわよね?なぜ答えないの」

九宸はもくに口づけをした。
もくは幸せそうに九宸きゅうしんに抱きついた。

「言って。あなたの故郷と生業は?家族は?親はどういう人?いつ私と会った?どうやってここを見つけたの?」

食事の時間、もくは九宸に問いただしていた。

「またか」

「“またか”とは?ちゃんと答えるの。小細工でごまかさないで。身分や素性はその人を示す。知らずにいられない。もし盗賊なら大変だわ」

「私は九天の上神だ」
「ふざけずに話して」
もくは食卓を叩いた。

「どこの人よ。北国の人?草原から?または南方?」
九宸はもくを眠らせた。

小白しょうはくはピーピー鳴いている。
「女は同じことを聞くゆえ煩わしい」
九宸が小白しょうはくに言うと、小白しょうはくは牙を剥きガオガオ吠えた。

「お前も黙れ」
九宸は小白しょうはくに命じた。

九宸が桃花小築とうかしょうちくから出ると、ほう仙人が待っていた。

ほう仙人は司命しめいに教えられてきたそうだ。

「ご心配なく。口外してはならぬとわきまえています。どうか司命しめいを責めないでください。しかし私は何をしでかして戦神を怒らせたのでしょう?あの日祝巫しゅくぶ山での魔の討伐を邪魔したのは確かに私です。でも私とて天君の罰を受け、山神から降格し人間界へやられました」

ほう仙人よ、人間の身分を用意してほしい」
「人間の?どういう意味でしょうか」

「そなたは土地神だ。人間の事情に詳しい。それゆえ、私に故郷や家族、肩書などを用意してくれ」

「分かりました。どのような身分をお望みですか」

九宸はかつてかんおばさんがもくに言っていたことを思い出した。

『どこから来た何者よ?土地や財産は持ってるのかを…』

「財産や土地が必要だ。立派な地位と裕福な実家も。婚姻の相手に望ましいと思える身分がよい」

「たやすいことです。すぐに用意してきます」
ほう仙人は帰っていった。

翌朝、起きてきた黙は、昨晩どうやって寝たのか覚えておらず不安そうにしていた。

「昨日の問いだが…」
九宸はさっそく話を切り出した。

「昨日の?そうだった。あなたの故郷と生業は?」
もくが問うと、九宸は書類の束をもくに差し出した。

「これは?」

太平たいへい府の出身だ。親はすでになく成人した弟が1人いる。かつて軍にいたが戦乱が収まると退官して故郷へ戻った。実家は代々茶葉や塩を商っている。財産もあり非常に裕福だと言える。土地もあれば、使用人も多い。以前友と出かけた時、そなたを山で見かけ一目惚れした。後を追ってここへたどり着いた。私は未婚だ。婚姻の条件を満たす」

もくは九宸の話を聞きながら、渡された書類を見ていた。

九宸がふと書類に目を止めると、そこには“側妻そばめの売買証文”があった。

「今度こそ本当なの?」
もくは九宸を見た。

「もちろんだ」
「だって私など平凡な身分なのよ。裕福なあなたが望んでいい相手じゃない。だからまた偽りかと」

九宸は側妻の売買証文を素早く奪い、折りたたんだ。

「それは?見せて」
もくは九宸が取り上げた書類に興味を示した。

「これは私のではない。…おじに返さなくては」
九宸は部屋から駆け出していった。

「弟しかいないんじゃ?待ちなさいよ」

司命と雲風は薬王洞で、青瑶せいようの部屋を見張っていた。
桑南星君そうなんせいくん青瑶せいようの部屋から出てきた。

よう、送らなくていい」
桑南星君そうなんせいくんは青瑶と別れた。

「誰が送ると言った?」
雲風は悪態をついた。

桑南星君そうなんせいくんは雲風たちの所にやってきた。

「戻ってから多忙で礼を言うのが遅れた。そなたの骨折りでやっとごうを終えた」
桑南星君そうなんせいくん司命しめいに頭を下げた。

「そんな…。ごうを経て上神になったのはご自身の福によるもの。それに私は天君のめいに従ったまで。霊には及びません。本当です」

「慎み深いことだ。私のためにように頼んでくれたと知っている。私は5万年前不幸にも悪者のせいでごうが長引いたが、それゆえ昇格がかないそなたに感謝している」

「もったいない」
桑南星君そうなんせいくん司命しめいは互いに揖礼ゆうれいし合い、桑南星君そうなんせいくんは去っていった。

「“悪者のせい”とはどういうことだ。意味は?」
雲風は言った。

「どういう意味でしょう?」

「何がおかしい?薬王に用があると言いつつ、やつを待っていたな?」

雲風は青瑶の部屋に向かった。

「神仙の争いで損するのは下っ端だ。不幸だな。運が悪い」
司命は呟いた。

雲風は青瑶の前にいた。

「急に笑顔が消えた。やつとは談笑し外まで送っていた。私への態度とは違う」

青瑶は書物を読んでいる。

「“よう”などと気安く呼びおって。善良そうな面だが、あれは見せかけにすぎん。私にはお見通しだ。思い起こせば蟠桃会ばんとうえで遠目に見たことがあるが、物覚えのいい私が顔さえ忘れていた。それほど平凡で俗っぽい顔だちということだ」

雲風は青瑶に語りかけた。
青瑶は書物を読みながら立ち上がった。

「やつは長生大帝ちょうせいたいていの公主と婚約していた。だが婚儀の直前に断り長生大帝を激怒させた。やつの母、瑤姫ようき夫人の位が高くなければ、とうに殺されていた。公主はそなたには及ばぬが、花も恥じらう美しさだ。それを断るとは悪い病でも隠してるんじゃ?やつは木の精だぞ。神木でもきっと脳みそは木製だ。さぞつまらぬ男だろう」

雲風は青瑶から書物を取り上げた。

「返して」
「嫌だ。やつとは半日も話したのに、私がやって来たら見向きもしない」

「ご不満なら私はこれで」
「どこへ行く」

雲風は青瑶の後を追おうとして、棚の上の物を落とした。
青瑶の視線が飛んでくる。

「わざとじゃ…」
雲風は恐る恐る言い訳した。

青瑶は立ち去ろうとしている。
雲風は、今度はわざと机の上の物を落とした。

「わざとじゃない」
雲風は落ちたものを片付けている。

「私は桃林とうりんへ。来ますか?」
青瑶はクスリと笑い、雲風うんほうに声をかけた。
「もちろん行く」

もくは仕事中も家職の言葉が頭から離れず浮かない顔をしていた。

『許嫁がいながら家出して祖母を病にし、あげくに男と同居を?己の過ちが分からぬのですか』

もくや、気分でも悪いのかね?家が恋しいのだな?」
そん医師はもくの様子がおかしいことに気づき、声をかけた。

「祖母が病なのです。顔が見たくて」
「だったら早く帰らねば。すぐにお帰り」
そん医師は言った。

「気をつけて帰るのよ」
かんおばさんももくに声をかけた。

「宋さんが一緒だ。案ずることもなかろう」
そん医師が言うと、かんおばさんも安心して微笑んだ。

『一緒に帰ってくれるかしら』
黙は考えた。

家に帰ったもくは、九宸きゅうしんの部屋に行った。

「その…。一度実家へ帰ろうと思うんだけど、あなたも一緒に来てくれる?」
もくは不安そうにうつむいた。

「行こう」
九宸が即座に答えると、もくは微笑んだ。

もくは九宸と一緒に実家に帰った。
扉を開いた小菊しょうぎくは温かくもくを導き、家族を呼びに行った。

もく、戻ったのね」
よう氏はもくに近づいた。

もくはひざまずき、涙ながらに楊氏を見上げた。
「帰ってきました」

「早くお立ちなさい。いい子ね。話せるのね?」
楊氏はもくを立ち上がらせ、もくの姿を確かめた。

「宋家の家職のふみにあった。耳が聞こえるし話もできると。信じられなかった。だけど何もかも本当だったのね。戻ってきてくれた」

楊氏は涙を流し、もくを見つめた。

「おばあ様が病と聞き急いで帰ってきました。ご容体は?」

「お前が去ってすぐ体を悪くされた。でもここ数日でかなりよくなった。あちらの方は?」
楊氏の視線の先には九宸きゅうしんがいた。

「こちらは…」
もくが九宸を紹介しようとした時、たんの声が響いた。

「あきれた。落ちぶれて戻ったの?」
「おばあ様の顔を見に」

もく、行きましょう。おばあ様に会うの。お前を見たら大喜びなさる」
楊氏はもくを奥に連れて行った。

「旦那様が戻るまで、こちらでお待ちを」
たんの母は九宸に応対した。

お洒落で人気の花束・ブーケなら【HitoHana(ひとはな)】平均レビュー4.5以上



感想

雲風上神や十三じゅうさんが担当するコメディパートは毎回面白いです。

司命は自分の身を守るために十三じゅうさんを利用して…。
十三は司命に愛されてると思ってぬか喜び。
責任とってください!

桑南星君そうなんせいくんは青瑶さんのことを「よう」なんて呼んで、自分の物のような顔でいます。

雲風上神が桑南星君そうなんせいくんは神木だから脳みそも木製だって言ってましたが、雲風上神は何なんでしょう?
神尊は竜で、霊汐は丹鳥と鳳凰。
十三は鮫人族。司命と花煙は人間。
青瑶さんと承晏は狐族。花蓼かりくは蓼の精。
景休さんは玄鳥族。

名前からすると雲風うんほう上神は雲か風でしょうか?
とすると、雲風上神の脳みそは雲?風?この推理、結構いい線行ってる気が!?

神尊が黙に告白するところは感動しました。
家職に子玉しぎょくではないと言われても、もくにばれても全く動じていない神尊すごかった。
私だったらどうしようどうしよう、えらいこっちゃと慌てふためくこと間違いなしです。
あんな風に真摯に、誠意をもって話したので、黙は神尊を信じることにしたようです。

神尊は「九天の上神」と本当のことを話したのにもくがふざけてると思って怖い顔で机をバンと叩いたのが面白かった。
黙、それが真実なんだよ。

神尊は桃の木の話をして小さいころから見守ってたっていえば、黙も神仙なんだって信じると思いますよ。でも今のままでいいか。

運命の桃花~宸汐縁~ DVD-BOX3 [ チャン・チェン ]

価格:15,840円
(2021/4/21 14:54時点)

コメント

タイトルとURLをコピーしました