運命の桃花~宸汐縁~第43話 寄り添う二人

第43話 寄り添う二人運命の桃花

運命の桃花 第43話 あらすじ

九宸きゅうしんもくが心配しているのを知り、徐海じょかいにかけた術を解いた。黙は九宸とのこの先の暮らしを計画した。もうすぐ黙の誕生日だと知った九宸は表情を凍り付かせた。方駿ほうしゅんは息絶えた。天宮では、桑南星君そうなんせいくんが天宮に戻ってきたことがうわさになっていた。雲風うんほう青瑶せいように求婚するための策を仲間に求めていた。

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運命の桃花 第43話 登場人物

人間界に転生した霊汐。生家を出て、桃花小築で九宸と暮らしている。
九宸天族の戦神。神尊。黙に許嫁の宋子玉だと勘違いされているが、訂正していない。
雲風九宸の弟弟子の上神。
青瑶霊汐の姉弟子。
方駿5万年前、人間界で青瑶の夫だった人物の生まれ変わり。
司命人間の運命を司る神仙。
十三元は鮫人族の男だった。扶雲殿の侍女。司命のことが好き。
元瞳兄が魔道に落ち、落ちぶれた元家の当主。
欽原魔君に忠誠を誓った仲昊の義理の息子。
景休山霊界の国師だった。深手を負い人間界でさまよっていた所を黙に助けられた。

運命の桃花 第43話 詳しいあらすじ【ネタバレ有】

九宸きゅうしんもくは、庭で夜空を見ている。

「あなたは幾月も家を離れてるわよね。そろそろ帰った方がいい」
黙は九宸に話した。

「また追い出すつもりか」
「違うわ。私は…」
黙は黙り込んだ。

黙は1人で桟橋に行き、凍ったままの徐海じょかいとその子分の周りに木を敷き詰め、火をつけようとしていた。

「何を?」
九宸はもくに尋ねた。

黙は九宸がいることに驚いている。
「いつの間に来たの」

「救おうと?お人よしめ」

「私はあなたが心配なだけよ」

「何がだ」
「この陽気に氷漬けのままで、町じゅうの噂になってる。お金持ちがすごい大師に魔よけをさせるらしいの」

「私を案じて?」

「宋さん、私を助けるためやむなくしたことでも、大騒ぎになってる。あなたみたいな書生がかじった仙術なんて、たかが知れてるでしょ。招かれる大師はただ者じゃない。本当なのよ。かんおばさんが聞いた話では、200歳を超えてるとか。修行した年数から言えば、太刀打ちできないわ」

黙はうつむいた。

「どうせよと?」
「いっそ、一緒に故郷へ帰らない?」

「嫌なのでは?」

「今までは嫌だった。祖母は厳しいし妹に疎まれてる。だけど両親のことが気にかかるの。それにあの妹だって、ちょっとは変わったかも」

「ばかだな」
「帰ってくれる?」
「いいや。まだ帰らない」

「でも…」
「やつらを帰す」

九宸が氷漬けになった徐海じょかいの方を見ると、氷が一瞬で溶けた。

徐海じょかいもその弟分も元気で、互いの無事を喜び合っている。

「神仙、お願いです。何とぞお見逃しのほどを」
九宸に気づいた徐海じょかいは土下座して頼み込んだ。

九宸はもくを連れ家に帰った。

景休けいきゅうは、山霊さんれい界に入ることに成功した。

黙は九宸に、仕立て上がった衣の試着を頼んだ。

九宸はもくの作った深緑の衣を着て出てきた。

「ぴったり合ってる?袖は短くない?ここは窮屈かしら」

黙は九宸の周りをまわりチェックしている。

「問題ない」
「とてもすてき」

黙は仕立て具合をチャックし終えると、自分の仕事に満足したようだ。

九宸はもくの手を握った。

「その…すてきなのは衣のことよ」
黙はどぎまぎしている。

「そうだな」

「お粥を作らなきゃ」

黙は手を引き抜くと、部屋から出ていった。

景休けいきゅうは、自分の宮殿を見張っていた兵を倒し、中に入った。

欽原きんげんは1人、考えながら歩いている。
『ばかな女だ。お前の景休とやらは助けに来なかったぞ』

すると兵が倒れていた。

欽原きんげんは異変に気付き、目的の物を捜していた景休に攻撃を仕掛けた。

「殺されに戻ったか」

欽原きんげんの攻撃は景休に躱された。

「逃げぬとは見上げた根性だ」

景休はさらに攻撃してくる欽原きんげんを倒した。
欽原きんげんに援軍がやってきて、景休は消えた。

「何があった」
駆けつけた黒蚩こくしは欽原に尋ねた。

「景休が戻った」

「けがはないな?」
「ない」

「また逃げられた」

黒蚩こくしは言った。

黙はそろばんを弾いていた。

「雌のひよこは1羽5文、雌鶏は1羽20文、生卵は2個で3文。煮卵は1個で2文。ひよこを手に入れたら…決まりね」

九宸はそろばんをのぞき込み、計算に没頭している黙の近くに座った。

「そうしよう」
「いつ来たの?話を聞いてた?何を決めたか言ってみて」
黙は九宸に全く気付いていなかったようだ。

「何だ?」

「卵だけど、毎日食べるのに値段は上がるばかりよ。このままじゃ割に合わない」

「それで?」

「自分たちで鶏を飼うのよ」
黙は笑顔で話した。

黙は九宸の手を引き、庭の隅に連れて行った。

「この辺りをぐるりと囲ったらどう?手持ちの銭が少ないから、まずは雌鶏を1羽だけ手に入れるわ。産んだ卵はいくつか孵化させる。ひよこが大きくなったら卵を産むし…。私の話を聞いてる?」

「ああ」
「言ってみて」

「庭を掃除し、囲いを作る」

「そうね。たくさん卵が取れたら、食べる分をよけて、残りは全部売ればいい。ゆくゆくは刺繍台を買う。上着や履物、巾着を作って銭に換えられるでしょ」

黙は楽しそうに計画を話している。

「今の暮らしが好きか」
「好きだわ」

霊汐れいせきは3つのごうで苦しみます。霊汐のそばにいて、心も体も傷つき、死を迎える姿を目にして耐えられると?』

九宸は笑顔で黙の楽しそうな姿を見ていたが、青瑶せいようの言葉が頭を過ぎり、次第に表情は険しくなっていった。

「どうしたの?」
「何でもない。飼えばいい」

九宸が言うと、黙は笑顔でうなずいた。

黙が仕事をしていると、かんおばさんに話しかけられた。
「黙、知ってる?桟橋で凍ってた徐海じょかいが助かった」

「そうですか」
「何日も氷漬けにされてよく生きてたものよね。正気を失ったようだけど、いい気味だわ」

黙は笑顔を見せた。

「黙はどうしたんですか?」
黙の笑顔を見たかんおばさんはそん医師に尋ねた。

「分からんのだ。こま鼠のように働いておる」

「本当に?」

かんおばさんとそん医師は黙の様子をのぞき見した。

仕事の帰り、黙は九宸と街で買い物しながら歩いている。

簪を売る店の前で黙は足を止めたが、すぐに歩き出した。

「欲しそうに見えたが?」
九宸はもくに言った。

「欲しいのは鶏の卵、もも肉、胸肉よ。飾りは食べられない」

黙は言い、2人は笑いあった。

「宋さんって何月生まれなの?」

「2月だ」

「もうすぐ私の誕生日よ」
黙が言うと、九宸は呆然として歩みを止めた。

「去年はおばあ様が特別に長寿麺を用意してくれた。それで…」
黙は九宸が隣を歩いていないのに気づき、振り返った。

「宋さん、どうしたの?」

「何でもない。今年の誕生日は何を贈ろうか」

「長寿麺を作ってくれたらそれでいい。鶏を手に入れるため節約しなきゃ」

桃花小築とうかしょうちくには、予定した場所囲い鳥小屋が完成した。

小白しょうはくは鶏のため小屋で走り回っている。

小白しょうはく、ここはお前の寝床じゃないのよ。そんな所より広い庭で遊んだら?小白しょうはくったら。そこから出なさい」

黙は小白しょうはくを説得しているが、小白しょうはくは嬉しそうに尻尾を振って鳥小屋から出てこない。

小白しょうはく
九宸が一声かけると、小白しょうはくはすぐに鳥小屋から出た。

「私のしつけが悪い?」
黙は九宸の手腕を見て、自分のしつけを顧みた。

「昔から小白しょうはくに甘すぎる」
九宸は言った。

「昔から?」

「いい天気だな」
九宸は話題を変えた。

「布団をお日様に当てるわ」
黙は空を見上げた。

「あの花も」

「花って?」
「鉢植えだ」

「日に当てなきゃだめ?」
「植物なら当然だ」

「だけどしゅうにいさんに頼まれてない」
しゅう殿は花に詳しいのか」

「あとで庭に出すわ」

黙と九宸は同じ部屋で書物を読んでいるが、九宸は書物ではなく黙を見ている。

「私より書物を見て」
黙は言った。

「つまらない」
「違うのを読んだら?」

「ここにあるのは医書ばかりだ」

九宸は書物を置き、立ち上がった。

「早めに休むといいわ」

「眠くない。医者になりたいのか」

「医者は人助けできて食いっぱぐれもない」

「望みがかなわなければどうする」

「私が医者になるのは気に入らない?女子おなごは家にいるべきだと?」

「違う。…人生には予期せぬことが起こる。不意に行く手を塞がれ道を変えるはめに」

「皇太子の病が運命の分かれ目になった。そのせいで私は殺されかけ、家を出たもの。あれほど悲惨な出来事は一度きりよね。宋さん、これからどうするの。将来は高官か将軍に?修行に励んで妖獣退治の天師になる?」

「そなたと生きる。黙黙もくもく、長く生きていれば、いつか不公平な運命を嘆き恨むこともあろう。それでも怒りにのみ込まれ我を失ってはならない。感情のままに動けばあとで悔やむだけだ。この先そなたに何が起こりどう変わっても、私がそばにいる。守り抜こう」

「宋さん?」
黙は戸惑っている。

九宸はもくを壁に追い込み、口付けようとしたが黙は逃げた。

「書物を読んでて。私は先に休むわね」

黙は部屋から出て行ったが、ハッとして戻って来た。

「ここは私の部屋だった。あなたが出ていって」

気まずそうに黙が促すと、九宸は黙の前に来た。

「もう逃がさない」
「私は…」
九宸は黙の頭を引き寄せ、口づけた。

「私が守る。恐れるな」
九宸は黙を抱きしめた。

小白しょうはくは、夜も外に出しっぱなしだった鬼藤きとうで遊んでいる。

小白しょうはく鬼藤きとうのつるをひっぱり、落として鉢を割ってしまった。

幽都ゆうと山の元瞳げんどうは、『神幽宝鑑しんゆうほうかん』を傍らに置き、天幕の中で修練している。

修練を終えた元瞳げんどうは、呼ばれるように魔君のもとに向かった。

「来たな」
魔君は元瞳げんどうに言った。

「お前は封じられた魔か」
「魔君と呼ぶがいい」

「何の用だ」
「ばかを言うな。魔を呼んだのはお前だ。心の奥底で私を求めておる」

「たかが撮魂さっこんの術で得意がるな」

「命を取る気はない。己の立場を理解したらどうだ。元瞳将軍よ。かつての4大戦将が幽都ゆうと山に追いやられ、どんな気分だ」

「聞くな」

元征げんせいの妹ならば私とも浅からぬ縁がある。温かく迎え入れるのが情けというもの。天宮から追い払われたなら私に服従せよ」

「火も届かぬ地につながれた孤独な野良犬が、天族の将を従えようとは厚かましい」

「天族の将だと?こんな所に捨てられた分際で、今でもまだ威風堂々たる将軍のつもりか」

「お前を殺した功により天宮に戻る」

「お前ごときが殺せるものか。私が油断せねば九宸とてひとひねりだ」

「呼び捨てにするな」

「元瞳、意地を張るのもほどほどにしろ。いずれ悔いることになる。お前が私の前にひざまずき、泣きすがる日が楽しみだ」

元瞳げんどうは後ずさり、魔君の前から去った。

黙は薬舗で、かんおばさんから神札しんさつをもらった。
かんおばさんは、最近町が穢れていると感じ、土地神の誕生日に神廟しんびょうにお参りしてきたそうだ。

「私は要りません」
黙は断った。

「家に貼ればご利益があるわ。いいからもらって。あげたわよ」

かんおばさんはいつもの調子で、黙に神札しんさつを受け取らせた。

ほう仙人は司命しめい殿を訪れていた。司命の落ち込んだ様子を見て、ほう仙人は司命しめいの話を聞くことにした。

司命しめいは周囲を確かめてから、ほう仙人に悩みを耳打ちした。

「大それた真似を」
話を聞いたほう仙人は大声で司命に言った。

「しかたない。桑南星君そうなんせいくんは人間界で5万年もくすぶり、ごうを終える兆しもなかった。私は司命星君として、放っておくわけにはいかないだろう」

司命しめいは言った。

「しかし、あの上神の気性は知っておろう。もしも…。桑南星君そうなんせいくんが泥沼の争いを招いたらどうする気だ」

「それが怖い」
司命は顔を歪め、ほう仙人は同情した。

「人間界の土地神なのに、出歩く暇などあるのか」

司命は話題を変え、ほう仙人に尋ねた。

「私が守護する土地は穏やかな気候で民は信心深い。ちっとも手間がかからん」
ほう仙人は笑った。

「羨ましいことだ」
司命は自分の悩みを思い出し、表情をこわばらせた。

「以前は疫病神と親しくしすぎたのかもしれん。最近になってやっと運が開けてきた」

ほう仙人は笑い、司命はため息をついた。

九宸が居間に行くと、壁に“土地正神せいしん”と書かれた神札しんさつが貼ってあり、その前に簡易な祭壇が作られていた。

九宸は神札しんさつをのぞき込んだ。

司命と酒を酌み交わしていたほう仙人は、急に胸を押さえた。

「なぜか急に悪寒がした」

ほう仙人は震えている。
「悪寒が?我らは神仙だぞ。暑さも寒さも感じないはず」

司命もほう仙人も不思議がった。

黙がやってきて、九宸は神札しんさつについて黙に尋ねた。

かんおばさんが神廟しんびょうでもらったお札よ。御利益は厄よけと家内安全だって」

黙は線香に火をつけ、九宸に渡そうとしている。

「私に?」

「霊験あらたかな土地だから、線香をあげて願をかければ、災いから守ってくれる」

黙は九宸に線香を渡すと、神札しんさつに頭を下げ、線香をお供えした。

神札しんさつには、“老いぼれと言うなかれ。万物は誕生すると心得よ”と書かれていた。

「あなたの番よ」
黙に見守られながら、九宸は神札しんさつの前に立った。

ほう仙人は司命と引き続き歓談中。

「やったことを悔いても後の祭りだ。桑南星君そうなんせいくんが天宮に帰ったのち、未練を断ち切るとしたら、めでたく収まるぞ」

ほう仙人は司命を励ました。

「無理だ。人間界を5万年も右往左往した者が、思い人に再会しただけで踏破できる。なんとも根深い愛情だ。あやつが帰れば…。これではまるで私にごうが下ったようだ」

使命が嘆いていると、ほう仙人が突然お猪口を落とし割った。

「どうしたのだ」

ほう仙人は血を吐きだした。

その頃人間界では、九宸が神札しんさつに礼をしていた。

急に神札しんさつが壁から剥がれ落ち、黙は神札しんさつを拾い上げた。

「どうも日が悪いようだ。もう貼るな」
九宸は神札しんさつを丸めた。

方駿ほうしゅんは具合の悪い体で、白兪はくゆ医館を訪ねたが、医館の中は蜘蛛の巣が張りほこりだらけだった。

「名医がここを去って随分経つようです。行方を探ります」
従者は方駿ほうしゅんに話した。

「もうよい。下がれ」

方駿ほうしゅんは袖の中から櫛を取り出し、青瑶の絵姿を眺めた。

5万年前の婚礼の日のことが蘇ってくる。

5万年前の方駿ほうしゅんは、青瑶のヴェールを上げ顔を見て息を飲んだ。

「これほど美しい顔をしていたのか」

「何度かお会いしたことがありますよ」
青瑶は緊張してうつむいている。

「会っても礼儀を重んじて、娘さんの顔は見なかった」
方駿ほうしゅんが言うと、青瑶はくすくす笑った。

方駿ほうしゅんの書き上げた詩を青瑶が読み上げている。

「“結髪し夫婦となりて 恩愛を疑わず 喜びは今宵限り 燕婉えんえん良時に及ぶ” 」

青瑶が読み終えると、方駿ほうしゅんが続けた。

「“務めて春華しゅんかを愛し この時忘れるなかれ 生きては帰り来るべし 死しては永遠に思う”」

青瑶は微笑んだ。

5万年前を思い出した方駿ほうしゅんは苦しげに咳をし、膝をついた。

青瑶の櫛を眺めながら思い出した詩をつぶやき、方駿ほうしゅんは命を終えた。

ほう仙人は薬王洞で青瑶の治療を受けていた。

「精気が乱れ臓腑が痛むとは誰の仕業ですか」

青瑶は尋ねたが、ほう仙人は心当たりがないようだ。

「薬を飲み間違えたか決闘を?」
「違う」

「原因は?原因が分からねば治療できません。薬が欲しくば、おっしゃって」

「その…。なぜ傷ついたか私にも分からん。吉凶を推算してもらうべく司命星君を訪ねたが、やはり安穏な暮らしは長く続かないと知った。ひと言では言い尽くせん」

「お待ちください」

青瑶が薬の調合をしていると、部屋の外で童子たちが噂話をはじめた。
童子たちの声は青瑶の部屋にも聞こえてくる。

桑南星君そうなんせいくんが帰ってくるとか」
桑南星君そうなんせいくんって?」

「昔のことだから知らないんだな。桑南星君そうなんせいくん披香殿ひこうでんの主神で瑤姫ようき夫人の長子だ。人間界で情劫じょうごうを終えるのに5万年もかけた御仁だよ」
童子たちは仕事を思い出し立ち去った。

「1日2粒を半月飲んでください」
青瑶は出来上がった薬をほう仙人に渡した。

「かたじけない。桑南星君そうなんせいくんと会ったことがあるかな」
「いいえ。5万年も人間界にいたのは本当ですか」

「もちろんだ」
「人の一生は100年足らず。5万年も耐えられるものでしょうか」

「教えて進ぜよう。桑南星君そうなんせいくん大羅天だいらてんに立つ神木でな。枝の1本1本と葉の1枚1枚が分身となって人間界を駆け回るのだ。本体はというと、ずっと披香殿ひこうでんに横たわっておる。千も万も分身が生み出され人間界をさすらう。足し合わせれば長生海ちょうせいかいでの戦神より長く眠ったことになる」

ほう仙人は青瑶に話した。

「お気の毒に」

雲風うんほう上神が医官のために縁談を断ったそうだな。すると医官の春も近いな。心よりお祝いする」

「何のことですか」
青瑶は彭仙人を見た。

「そういや用事があった。それではこれにて失礼しよう」

ほう仙人は帰っていった。

雲風うんほうは司命殿にいつもの面々を集め、青瑶に求婚すると発表した。

「青瑶医官に求婚した者は山ほどいましたが、誰もが無残に玉砕しましたよ」
含章がんしょうは過去のデータを提供した。

「成功されたら私の出番がない。そんな男どもと一緒にするな」

雲風うんほうは自分は違うと主張した。

「上神は慎重を期すべきです。いつもすげなく扱われているのに、その自信はどこから来るのでしょう」

開陽かいようの発言を聞いた司命と十三じゅうさんは顔を見合わせて笑い、雲風は鋭い視線を開陽に送った。

「やる気に水を差すことしかできないのか。今日皆は名案を出し、私を奮起させよ。おとしめてどうする。司命」

雲風うんほうは司命に案を求めた。

「応援します」
「他には?」

「その…。雲風上神と青瑶医官はまさに好一対なり。よって、今すぐ果敢に求婚すべきです。一目瞭然ですよ。間違いなく成功すると断言します」

司命の言葉に雲風うんほうは気をよくした。

「急ぐこともない。急いては事を仕損じるからな。じっくり策を練るのだ。斬新かつ鮮やかに射止めて記憶に刻みつける」
雲風は言った。

「やはり一刀両断に片づけねば。こまごまとした礼儀などうわべだけで意味がない。いっそのこと正面から薬王洞に乗り込み、“嫁ぐか”と問うては?」

開陽は身振りを交え力説した。

「万が一断られたら?」

「その時はすぐ…。乗り換える」

開陽の案に司命はいいねと手を打った。

玉梨ぎょくりにも同じ手を使うと?」
雲風うんほうは開陽に尋ねた。

「はてさて、上神は何をおっしゃっているのやら」
開陽はとぼけた。

男どもの議論を聞いていた十三じゅうさんはため息をついた。

「求婚のことなら私に聞くのが近道ですよ」

「そなたに?」
「そりゃあ私は女ですから、青瑶医官の気持ちも分かります」

十三は司命を意識しながら話している。

「言ってみろ」
「記憶に残るものにしたいなら、誠意をもって臨むべし」

「まさしく」
雲風うんほうは真剣な表情で十三の言葉を聞いている。

「求婚する場所も大事です。その場の持つ荘厳な雰囲気が思いの深さを知らしめます」

「そのとおりだ。ならば教えよ。どんな場所や状況を選び求婚すれば、荘厳な雰囲気を出せるのだ」

「そんなの英霊殿に決まってます」

十三が言うと、一同は「え?」という表情をした。

「英霊殿?」

「そうです。魔族との戦いで上神は家族を亡くしました。ご先祖様がそろった霊前で求婚すれば、とてつもなく荘厳で神聖な時を刻めます。それに医官が求婚を断っても英霊殿を通るたび上神とその一族を思い出すでしょう。そう思いません?」

十三は自分の発言に自信をもっていたが、雲風は途中で十三を見限った。

「外に出よ」
雲風は言った。

「まだ伝えてない妙案がたくさんあります」

「その案は司命に譲ろう」

「お構いなく。私たちには不要よね」
十三は司命を見た。

「遠慮する」
「どういうこと?」

「思いついた」
突然雲風うんほうが叫んだ…。

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感想

黙の誕生日がもうすぐだと言った時、神尊は固まりました。
黙は誕生日に亡くなるのでしょうか?
それとも今18歳で、19歳でなくなる予定だから、その19歳になるとか?

「あれほど悲惨な出来事は一度きりよね」
と黙は言っていて、私もそう思いたい。
だけど3回劫を経る必要があるから、あと2回あのレベルの悲惨な出来事が起こる。

神尊はその黙の近くで支えとなろうとしている。
黙に困難に直面した時の心構えを諭していました。

今回のキスシーンにはドキドキしました。
1度キスしようとして黙が躱し、視聴者が安心していた所に強引に来ました。
いいと思います。

彭仙人と神尊の天宮と人間界でのあれこれには笑いました。
神札にはご利益がちゃんとありそうですね。

どうやら方駿ほうしゅん桑南星君そうなんせいくんの様子?
青瑶さんが人間界で修練していたのと同じようにの人間界の夫も神仙で、人間界に劫を受けに行っていたのでしょうか。

司命は青瑶さんから櫛を借りて、桑南星君そうなんせいくんの情ごうを助け、桑南星君そうなんせいくんが天宮に帰って来るのを手助けしたから、雲風の仕返しを恐れている?

青瑶さんは雲風上神を好きだと思いますが、5万年想っていた相手とどっちを取る?
青瑶さんは狐族だから少し心配です。
他の桃花シリーズでは、狐族の少女が主人公です。
狐族こぞくは一夫一婦制で好きになったらどこまでも突き進んでました。

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