運命の桃花~宸汐縁~第42話 愛の形見

第42話 愛の形見運命の桃花

運命の桃花 第42話 あらすじ

九宸きゅうしんはいずれごうで苦しむもくを見ることになると分かっていても、黙のそばにいることを選んだ。九宸は朱自在しゅじざい青松上人あおまつしょうにんを紹介し、紫燕しえん山に向かわせた。司命しめいは、恋の病に苦しむ方駿ほうしゅんのため、青瑶せいようから簪を借りた。人間界では徐海じょかいの氷が未だに溶けず、人々は妖魔の仕業と恐れ不安が広がっていた。

大人が惚れる和食器通販「大人の焼き物」



運命の桃花 第42話 登場人物

人間界に転生した霊汐。生家を出て、桃花小築で九宸と暮らしている。
九宸天族の戦神。神尊。黙に許嫁の宋子玉だと勘違いされているが、訂正していない。
雲風九宸の弟弟子の上神。
青瑶霊汐の姉弟子。
方駿5万年前、人間界で青瑶の夫だった人物の生まれ変わり。
司命人間の運命を司る神仙。
十三元は鮫人族の男だった。扶雲殿の侍女。司命のことが好き。
承晏青瑶の弟。
花蓼承晏が桃林で拾った蓼の精。

運命の桃花 第42話 詳しいあらすじ【ネタバレ有】

九宸きゅうしんは夜の海を独り見つめながら桃林とうりんで青瑶と話したことを思い出していた。

「天族の者は長命で、時期が来ればごうを経る。ごうを受けるのは霊汐れいせきだけではない。なぜ命の危険を冒してまであの子のそばに?霊汐はしくじるとでも?」

青瑶せいようは九宸に問いかけた。

「そうではない」
「では…」

「青瑶医官、5万年前そなたがごうを経る際雲風うんほうのせいで人間界の伴侶を失った。そのためふさぎ込み、雲風うんほうを許せなかったとか。5万年経ってもそうなら、当時の悲しみはいかほどか。そなたは情劫じょうごうで深く傷ついた。ならば霊汐れいせきは?天族の者は皆かたくなだ。もし執念が無ければ仙道に精進できない。だが我らが人間界に下りて修練するのは七情六苦を経て情を達観し愛を絶つためだ。かつて私もそうだった。霊汐が今後どんな目に遭うのか、私も知らない。だがいつか誰かに傷つけられて捨てられ、悲しくつらい時に、そばで見守る者を思い出し心が癒されてほしい」

「ですが神尊、霊汐れいせきが苦しむ姿を目の当たりにするのはつらくないですか?」

「苦難を経た霊汐れいせきが笑顔で戻ってきてくれるなら耐えられる」

九宸は答えた。

九宸が桃花小築とうかしょうちくに帰ると、もくは起きていた。

「目覚めた時あなたがいなかったから、てっきり…もう…」
「何だ?散歩していた。空腹か?」
もくは首を横に振った。

「夕餉はまだでは?麺を作る」
「麺を作れるの?」
「たぶん難しくないはずだ」

九宸は台所に向かい、粉だらけになりながら小麦粉から麺を作り、茹でた。

出来上がった麺を九宸はもくに届けた。

九宸の顔は粉だらけで、もくは笑いながら九宸の顔を袖で拭いた。

2人の距離は近くなってしまい、もくは気づくと気まずそうに席に戻った。

「おいしい」
もくは食べ始めた。

九宸きゅうしんもくが食べる姿を見ていて、もくは恥ずかしそうにしている。

「私たちの婚約ってまだ続いてる?」
食事を終えたもくは、九宸に尋ねた。

「もちろんだ」
「でもあなたは修行者よ。妻を取ってもいいの?」

「どうした。心配なのか」
「いいえ。ただ友によると修行者はご飯を食べないって」

「では何を食べる」
「露を飲んだり花を食べたり、風を吸ったりするそうよ。とにかく穀物を食べないの」

「ある友が言っていた。食べる楽しみがなければ毎日がつまらないと」

「あなたの友?どんな人?」
「大切な人だ」
九宸は話した。

「洗うわ」
もくは食器を持って席を立とうとした。

「私が。早めに休め」
九宸は食器を持って部屋を出て行った。
もくは微笑んだ。

『時が来れば、ごうは訪れます。どうかくれぐれも手出しせぬよう。これは災いにして縁でもあります。ひとたび成功すれば、肉体が再生されよみがえり、神魂が元の位置に戻る。霊汐の魔気は散り大きな果報も得られましょう。もし介入すれば、逆に徒となり苦労が全て水泡に帰します』

食器を運びながら、九宸は司命の言葉を思い出していた。

九宸が食器を洗っているのを、もくは2階から見ている。

「まだ寝ないのか」
もくの視線に気づき、九宸は2階に声をかけた。

「その…もうすぐ寝る。ありがとう」
もくは部屋に入っていった。

もくが仕事に行こうとすると、九宸が庭で待っていた。

「早起きなのね」
「送るよ」
「大丈夫、1人で行ける」
「行こう」
九宸はもくの手を引いて歩いた。

薬舗に着くまで、2人はずっと手を繋いでいた。

「着いたわ」
「ではな」
九宸はもくの髪を耳にかけた。

「またあとで迎えに来る」
薬舗に入ったもくは、九宸に手を振り、九宸きゅうしんがいた場所を見ている。

「もう去ったわよ。…それほど離れがたいなら暇を頂いて一緒に過ごしては?」
かんおばさんは、ニヤニヤとしてもくに言った。

「おばさんたら何を言うんですか」
もくは仕事に向かった。

朱自在しゅじざいの書く札は霊験あらたかだと街で大人気になり、行列ができていた。

やっと順番が回って来た男性は、札を書いている朱自在しゅじざいに話しかけた。

「天師、この陽気に桟橋では人間が氷漬けになって何日も解けません。もしやこれは妖魔のたたりでしょうか」
男性は不安そうだ。

「“因果応報”という言葉がある。その者は善人か?悪人か」
「民をいたぶる野郎で、善人のわけがない」

「では心配無用。それは天罰だ。貴殿に関係ない」
「でも…」

「善行を積めばおのずと神のご加護がある。この札を家に貼れば一家は安泰だ」
朱自在しゅじざいは札を男性に渡した。

男性がお金を置いて席を立った。

「次の方」
朱自在しゅじざいは札を書きながら呼んだが、誰も席に座らない。

不思議に思い朱自在しゅじざいが辺りを見回すと、時が止まっていて九宸きゅうしんが現れた。

「師匠にご挨拶を」
「お前にはこんな才能が?」

「民は安心を求めていますし、これで私も糊口をしのげます。お嫌でしたら返金を」
「鍛錬が足りない」
九宸が言うと、朱自在しゅじざいはひざまずいた。

「ご教示くださいませ」
朱自在しゅじざいは叩頭した。

九宸は1通の手紙を取り出した。

「それは何ですか」
南平なんへい州にある紫燕しえん山へ行き、青松上人あおまつしょうにんを訪ねよ。これを見せれば教えを受けられる」

「師匠、私は師匠のご指導の下で修行したいのです」

「私は多忙で教える暇がない。苦行の末成果を収めたら私に会いに来い」
朱自在しゅじざいは手紙を受け取った。

「師匠、師匠に会いに行きたくても師匠のご尊名さえ存じません」
「天尊山の戦神、九宸だ」

「師匠のご尊名は、やはりすばらしい」

「お前は私の初弟子だ。資質は凡庸で聡明でもない。光る者もなく、ずる賢くてしつこい。だが私の弟子だ。忘れるな。今日よりひたすら精進し、初心を貫け。いつか悪意が芽生えて衆生に災いをもたらせば、一刀のもとに斬り捨てる」

「師匠の教えを肝に銘じます」
朱自在しゅじざいは叩頭した。

時間は動き出し、九宸は消えた。

朱自在しゅじざい包鎖柱ほうさくちゅうを連れ、紫燕山に向かった。

司命は天君に呼び出されていた。

桑南星君そうなんせいくんが人間界で修練して5万年。なぜまだ戻らぬ」
天君は司命に聞いた。

「いまだに情劫を乗り越えていないためです」

「情劫ごときでかくも時が必要か?そなたは人間の運命をつかさどる。必ず何とかせよ」
天君は司命に命じた。

司命と十三じゅうさん桃林とうりんにやってきた。

十三は5万年ぶりに男物の衣装を着ている。

「なにゆえ男装を?」
司命は尋ねた。

「あなたを手伝うためよ。男装したほうが安全なの。女子おなごが出歩くとなると何かと危険でしょ」

「勝手についてきたくせに」
司命はぼそぼそと呟いた。

「何か?」
「別に。そなたは何を着ても美しい」
司命の言葉に、十三は照れている。

きのこ狩りをしている花蓼かりくに2人は出会った。

桃林とうりんの薬炉はどちらだ」
司命は花蓼かりくに尋ねた。

「おにいさん方、お二方は何の用?」
花蓼かりくは尋ねた。

「待って。今何て?おにいさん方?お二方?たわ言を」
十三は怒っている。

「失礼なことを言ったなら、おにいさん許して」
花蓼かりくは戸惑いながらも、十三じゅうさんに頭を下げた。

「まだ呼ぶ気?目を開けてよく見なさい」
十三は花蓼かりくの腰を掴み持ち上げ、怖い顔でにらんだ。

「ごめんなさい。私の目が節穴だった。怒らないで」
花蓼かりくが叫ぶと、十三は花蓼かりくを地面に下ろした。

「じゃあどう呼ぶべきよ」
十三は花蓼かりくを見下ろした。

「えっと、その…。ひょっとしてご年配なの?だったら“おじさん”と」
考えた末、花蓼かりくはひらめいた。

「よくも…」
十三が怒った時、承晏しょうあんが飛んできた。

「誰かと思えば、お前か。天宮を追い出されたから桃林とうりんで暴れているのか」
承晏しょうあん十三じゅうさんを見て言った。

「誤解だ。我らに悪意はない」
司命は揖礼ゆうれいした。

「私は行きたい所へ行ける。禁足中のあんたよりましよ」
「お前は天雷てんらいに打ちのめされたとか」

「何を…。もしあんたなら一生寝たきりになってるわ」
「おい。やめた。女とは争わない」

「戦っても私に勝てないから?」
「やるか」

「落ち着いて」
司命が止めに入った。

楽伯らくはく医仙のご高弟、承晏しょうあん殿では?私は司命星君、韓元信かんげんしんだ。青瑶せいよう医官に会わせてほしい」
司命は丁重に頼んだ。

「来いよ」
承晏しょうあんは2人を青瑶せいようの所に案内した。

青瑶は司命しめいにお茶を出した。

「私に何かご用ですか?」
青瑶せいよう医官は優れた医術で無数の者を救ってきた。当然命を救っていただきたい」
司命は頭を下げた。

「星君はお元気なように見えますが?」
「私ではなく別の者だ」

「誰です?」
「人間で県の方駿ほうしゅんだ」

「あの人を?」
「重い病に侵され、恐らく絶望的かと」

「そんな…。栄達を遂げて天寿を全うするのでは?」

「そのはずだったがそなたに出会い、別れたあと病に倒れたのだ。私は人間の運命をつかさどるが、こたび方駿ほうしゅんの運命が変わってしまった。体の病なら薬で治せよう。だが心の病は原因を除かねば治らない」

「心の病?つまりあの人に会ってこいと?」
「いいえ。恋の苦しみを癒せるよう、ある物を借りたいだけだ」

司命と青瑶が話している間、十三じゅうさん桃林とうりんを散策していた。

桃林とうりんは美しいと聞いてたけど、さすが評判どおりね」
十三は感想を漏らした。

「おつむの弱いお前も幸い目は悪くない」
承晏しょうあんはけんか腰で十三に近づいた。

「なんて言いぐさよ。大の男がけちばかりつける。霊汐は優しいのに、おとうと弟子は最低ね。もてなすってことも知らない」

「もてなす?」
桃林とうりんに来たら彼心醸ひしんじょうを飲まなきゃ」

「目が高いな。あれは天下一の酒だ」

「以前雲風上神の所で飲んだわ。霊汐が言うとおり古今無双よ。天宮の瓊花玉露けいかぎょくろさえ及ばない」
「本当か?」

「ええ」
「1杯飲んで倒れただろ」

「私はあんたと違うのよ。あんたは見張りの天兵に挑んでも勝てず、酒で憂さを晴らしてるけど、下戸だから酔い潰れてる。天宮中の噂になってるわ」

「ばかな、俺が下戸だって?よく聞け。酒で勝負したら俺を倒せるのは俺だけだ」

「そうなの?なら競いましょ」

承晏しょうあん十三じゅうさんとの勝負を受けることにした。

そこに花蓼かりくが待ったをかけた。

彼心醸ひしんじょうは残りわずかよ。それなのによそ者に勧めるなんて」

桃林とうりんでは姉を除くと怖いものなしでは?酒も好きに飲めないの?」

「他はともかく、彼心醸ひしんじょう花蓼かりくの許しなく飲めない」

「なぜよ」
「なぜなら…」
「私の葉っぱで彼心醸ひしんじょうの麹を作るからよ。承晏との約束なの。もし私に断りなく彼心醸ひしんじょうを飲んだら、私は家を出て酒を造れなくするって」
花蓼かりくは承晏の言葉を引き継ぎ説明した。

「そうだったの」
十三は彼心醸ひしんじょうを飲むために、ターゲットを変えた。

「あなたの髪は本当にきれいね。しかも麹を作れるなんて」
十三は花蓼かりくを褒め始めた。

「大したことない。実を言うと、桃林とうりんに来る前、私の髪はもっときれいだった」

「本当?今日は私の誕生日なの。彼心醸ひしんじょうを飲みたかった。でも希少な酒とはね」

十三の視線の先には、彼心醸ひしんじょうの酒壺がある。

「私の望みはかないそうにない」
十三はため息をつき、残念そうにしている。

「かわいそう」
花蓼かりくは十三に同情した。

「ひと口でいいから飲ませて」
「ひと口?」
「ええ、ひと口だけ」
「約束よ、ひと口ね」
「分かった」

花蓼かりく彼心醸ひしんじょうの壺を開け、柄杓を取りに向かった。

「大丈夫、必要ないわ」
十三は壺から直接酒を吸い上げた。

残り少なかった彼心醸ひしんじょうはなくなってしまった。

「本当にひと口よ。うそじゃない」
十三は酔いつぶれ倒れた。

「ひどい。ずるすぎる。酒を返してよ。酒がなくなった。弁償して」
花蓼かりくは泣きわめいたが、後の祭りだった。

青瑶は5万年前、人間界の夫からもらった櫛を司命しめいに渡した。

方駿ほうしゅんは寝台に寝ていたが、咳をして口に布を当てた。白い布に血がついた。
寝台の柱にもたれ眠った方駿ほうしゅんの部屋に司命しめいが現れ、机の上に櫛を置いて消えた。

気配に目覚めた方駿ほうしゅんは、机の上に櫛があるのに気付き、櫛を手に取った。

すると5万年前の記憶がよみがえった。

人間界は夏。熱くてたまらない。

「この暑さはいつまで続くのかしら」
かんおばさんは団扇を仰いでいる。

「桟橋は涼しいぞ。行ってきては?」
そん医師はかんおばさんに声をかけた。

「やめてくださいよ。あんな所に行くものですか」
「暑くて耐えられんのだろ?」

「それでも行きません。徐海じょかいは悪事を働いたのでは?でなければ猛暑の中氷になります?役人も大勢行ったのに動かせない。あれは天罰だとみんな噂してます。不吉で恐ろしいかぎりだわ。妖魔のたたりとか?」

かんおばさんと孫医師の話は、仕事中のもくにも聞こえている。

「ありえん。ここは平穏な町だ」

「それは以前の話でしょう。妖獣のことをお忘れに?もくや、あの日妖獣をよく見た?」
かんおばさんはもくのところにやってきた。

「怖くてまともに見られませんでした。でも徐海の件とは無関係だと思います」

「そうとも言えない。あなたの家は桟橋の近くよね。遠回りして、用心するのよ」

仕事帰り、もくは桟橋に氷漬けの徐海を見に行った。
徐海とその弟分は凍ったままだった。

食事の時間も、もくは考え込んいた。

仲昊ちゅうこうは、幽都ゆうと山の魔君まくんの前にいた。

「言っておくがお前の命は、とうに私に捧げられた。お前を殺すのは造作ないことだ」
魔君は仲昊に言った。

「分かっております。配下に捜させているので、じき見つかるはずです」

「あの仙女が人間界にいるのは九宸きゅうしんの仕業で、ごうを受けるためだ。成功すれば仙女の魔気は消え、私は復活する機会を永遠に失う。お前も生きてはおられんぞ」

「怒りをお鎮めに。天宮はすでに疑いを抱き、山霊さんれい界を探っております。やつらが異変に気づき大軍で攻めてくれば我らは万事休すです。ですから、まずは縛霊淵ばくれいえんを開いて魔軍を迎え入れましょう。さすれば天宮さえ脅威ではなくなり、仙女もたやすく我らの手に」

仲昊ちゅうこうは魔君に進言した。

「覚えておけ。もし私を愚弄すれば、ただでは済まぬぞ」
「ありえぬことです」

天息宮てんそくきゅうに帰った仲昊ちゅうこうは、霊汐れいせきが未だに見つからないことで、欽原きんげん黒蚩こくしに怒りをぶつけていた。

「配下が任を果たせぬのは私の落ち度です。直ちに別の者を送ります」
黒蚩こくしはひざまずいた。

「じき赤い月の夜ゆえ、黒蚩こくし殿は縛霊淵ばくれいえんでも多忙です」
欽原きんげん黒蚩こくしを擁護した。

九宸きゅうしんは仙女にごうを受けさせている。それが成功すれば、仙女は天宮に戻り魔君まくんは二度と封印を破れなくなるのだ。ゆえに仙女がごうを経る前に捕まえてこい」

仲昊ちゅうこうは命じた。

散会になった後、黒蚩こくし欽原きんげんの口添えを感謝した。

「この前助けてもらった礼だ」
欽原きんげんは言った。

「お前は情が深い。当然力になるさ。公主は逃げる時に傷を負い、行方も知れないと聞いた。無事だろうか」

黒蚩こくしが話すと、欽原きんげんは去った。

天宮を歩いていた司命は雲風うんほうの姿を見ると、道を引き返した。

「待て。なぜ私を避ける」
雲風は司命しめいを呼び止めた。

「誤解です。雲風上神」

九宸きゅうしんさんはまだ人間界で霊汐れいせきのそばに?」

雲風は司命に尋ねた。

「はい。何度も忠告しましたが、ご心配なようです」
霊汐れいせきがおらず、九宸さんも留守で扶雲殿ふうんでんは実に寂しい」

「気がめいるなら、散歩をなさっては?」
「散歩?それだ」
雲風は顔を輝かせた。

「どちらへ?」
「桃林だ」

「上神お待ちください。青丘せいきゅう崑崙こんろん山や南岳なんがくにしては?あるいは四海しかいもあります。なにゆえ桃林へ?」

青瑶せいようさえいれば、場所などどこでもいい。ではな」

雲風が行こうとすると、司命しめいは両手を広げ雲風うんほうの前に立ちはだかった。

「上神お待ちに。その…」
「どうしたんだ」

「近頃、不安を覚えるのです。恐らく私は災いに見舞われるのかと。もしそうなら、助けてくださいますよね」

司命は雲風うんほう揖礼ゆうれいした。

「神仙は重大事に遭う前、兆しがある。何が起こると?」
「私は近いうちに流血の惨事に遭います」

「誠か」
雲風は息を飲んだ。

「上神、我らは天宮で数万年来の友であり、実の兄妹も同然でしょう。例えばの話ですが、私が本当に…」

「安心しろ。何が起ころうとお前を守ってやる」
雲風は司命の肩に手を置き、真剣な表情で請け負った。

「では桃林とうりんに行かぬよう。私の所に酒があるので、ぜひご一緒に。私も心が静まる」

「それは…」
雲風が答えに迷っていると、十三じゅうさんが通りかかった。

司命しめい、なぜここに?」
十三は2人に声をかけた。

十三じゅうさん、ちょうどいい。司命しめいの所で一杯やろう」
雲風は十三を誘った。

「司命の酒を?酒ならば桃林とうりんに…」
十三が話そうとすると、司命しめいがすごい勢いで十三の言葉を遮った。

十三じゅうさん、大事なことを思い出した。来てくれ」
司命は十三を連れて行ってしまった。

「まったく訳が分からん」
残された雲風は、独り呟いた。

人間界では、人々が妖魔のたたりを恐れていた。

風邪で薬舗に来た患者も、妖魔のたたりが原因ではとそん医師に尋ねている。

もくは聞こえてきた患者の言葉を聞いて、考え込んだ。

もくや、ここに来る途中、徐海を見た?うわさで聞いたんだけど、お金持ちが有名な大師を呼んで、魔よけの儀式を行うそうよ」
かんおばさんは聞いてきた噂話をもくに話した。

「大師って?」
「よく知らないけど、200歳を超えるとか。きっと今頃妖魔を出現させてるはず」

かんおばさんは、魔よけの酒をもくに贈った。

「夜少し飲んだら、残りは家や外にまいて。ほら」
「結構です」
もくは断ったが、かんおばさんはもくに受け取らせた。

帰る途中、もくは家々に魔除けのお札が貼られているのに気づいた。
もくはお札を剥がし家に持ち帰ると、台所で焼いた。

九宸が台所にやってきて、かんおばさんにもらった酒に興味を示している。

「だめよ。飲まないで」
もく九宸きゅうしんから酒を取り上げた。

九宸きゅうしんがくしゃくしゃに丸まった札を広げてみようとしていると、もくは札も取り上げた。

「触っちゃだめ。手を洗うわよ」
もく九宸きゅうしんの手を掴むと、水の中でごしごしと洗った。

「まだ洗うのか?」
九宸が言うと、もくはハッとして手を離した。

「ご飯を作る」
もくは夕食の支度をし始めた…。

銀座の行列店「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」公式オンラインショップ【俺のEC】



感想

もくは神尊=妖魔だと思ってませんか?これ…。
魔よけのお酒を神尊から遠ざけたり、お札を剥がしたり、お札を触った神尊の手を洗ったり。

見ている分には、すごく可愛い。
だけど黙本人は心労がすごそう。

朱自在は紫燕山に行くことになりました。
朱自在が神尊に名前を尋ねて、神尊が「天尊山の戦神、九宸だ」と言った時、
見ている私としては、とんでもない凄い人に弟子入りしてるんだよ!と興奮しました。

しかし朱自在は天尊山も九宸も知らないから、 なんかすごい名前 くらいの反応なのが笑えました。
これから青松上人の所で修行すれば、すごい人に弟子入りしたんだってわかると思います。

きっと青松上人の態度も他の弟子に対するのとは違うと思います。
だって神尊の弟子なんだもの。

司命しめいは近いうちに流血沙汰に遭うらしいですが、司命しめいを流血沙汰にする相手は雲風上神だと思いました( *´艸`)

神尊が黙に話した大切な相手は霊汐ですね。
15話で霊汐は、「食べる楽しみがなければ毎日がつまらない」と言っていました。
神尊が霊汐を回想するのは15話でのことが多いような気がします。

方駿は、恋の病で苦しんでいるようです。
方駿とその奥方が27話で出てきて、お互いに思い合う理想の夫婦って感じでした。

でも方駿は青瑶さんと会ったことで、青瑶さんに恋してしまったと言うことなのでしょうか?

それにしても恋の病で亡くなるって本当にあるのか気になりました。
私は1人だけ、恋の病で亡くなった方を知っています。その方は中華なドラマに出てきた方でした。
実在するのだろうか?

誰かに恋をして、拒食症になって亡くなるとかはあるのかもしれませんね!?

運命の桃花~宸汐縁~ DVD-BOX3 [ チャン・チェン ]

価格:15,840円
(2021/4/21 14:54時点)

コメント

タイトルとURLをコピーしました