運命の桃花~宸汐縁~第39話 送別の宴

第39話 送別の宴運命の桃花

運命の桃花 第39話 あらすじ

玉梨ぎょくりは薬王に好きな相手は九宸きゅうしんだと伝えたが、天君の決定は覆せないと言われてしまった。雲風うんほうも婚姻話を白紙に戻そうと奔走したが、うまくいかなかった。
もくは送別の宴を開き、九宸と景休けいきゅうに帰るよう言った。景休は町に住み薬舗の近くで代筆業を営み始め、九宸は天宮に帰った。雲風に策を授けられた九宸は黙の家に再び入り込むことに成功した。

みずみずしい輝き コーセー



運命の桃花 第39話 登場人物

人間界に転生した霊汐。生家を出て、桃花小築で景休・九宸と暮らし始めた。
九宸天族の戦神。神尊。黙に宋子玉だと勘違いされているが、訂正していない。
景休山霊界の国師だった。黙と人間界で暮らしている。
青瑶霊汐の姉弟子。
雲風九宸の弟弟子の上神。
玉梨薬王の娘。
含章・開陽九宸の配下
司命人間の運命を司る神仙
宝青山霊界の国主・翎月の養女。
仲昊父の烈夷は九宸の配下だった。一族が落ちぶれ、魔君の配下となり山霊界に侵略した。

運命の桃花 第39話 詳しいあらすじ【ネタバレ有】

「絶対嫁ぎたくない」
玉梨ぎょくりは泣き、侍女たちに当たり散らしていた。

薬王は玉梨の様子を見にやってきた。
「玉梨、どうしたのだ」

「父上のせいよ」
「なぜ私を責める。縁談を調えてやったではないか」
「私の望む相手は誰だと?」

雲風うんほう上神ではないのか?」
「あんな女たらしは真っ平ごめんよ」
玉梨ぎょくりは声を上げて泣いている。

扶雲殿ふうんでんに輿入れしたいのでは?」

「だからってなぜ雲風うんほうなの。私は戦神に嫁ぎたいのに」
「戦神?」
玉梨ぎょくりはうなずいた。

「大それた考えを」
「釣り合わない?」

「当り前だ。己を卑下するのではない。戦神に釣り合う者が一体どこにおる」

「それは…。とにかく私は戦神に嫁ぎたいの。それが無理なら一生誰にも嫁がない」
玉梨ぎょくりは布団をかぶって泣いた。

「天君のめいが下った以上、拒めん」

雲風うんほうの妻にはならない。なるとすればあいつの寡婦よ」
玉梨ぎょくりは叫んだ。

薬王洞では、玉梨ぎょくりと雲風うんほうの婚姻を天君が許可したという噂が急速に広まっていた。

含章がんしょうに付き添って青瑶せいようの診察室にいた開陽かいようは、険しい表情で噂話に耳を傾けていた。

含章の手当てをしていた青瑶せいようの動きも止まっている。

「青瑶医官」
含章が声をかけると、青瑶せいよう含章がんしょうの腕を変な方向にひねり、含章がんしょうは苦悶の声を上げた。

「あら。大丈夫ですか?」
青瑶は我に返った。

「青瑶医官、私に恨みでもあるのか。もともと肩が動かなかったが、これで腕まで動かなくなった」
「すみません。私は…」

「ばかな。…雲風上神は玉梨ぎょくり元君に釣り合わん」
急に開陽かいようが声を上げた。

「お前に何の関係が?」
含章が言うと、開陽かいようは部屋から出て行った。

「青瑶医官、治療はもういいから霊薬を出してくれ」
青瑶は含章がんしょうに山盛りの霊薬を持たせた。

雲風は十三じゅうさんと共に天君に会いに行ったが、天君は“誰にも会わない”と衛兵に伝えさせ会おうとしなかった。

雲風は遠くから声を張り上げ天君を呼ぼうとしたが、あきらめて帰っていった。

様子を見ていた百扇ひゃくせんは、天君に報告した。

「雲風上神が去りました。…上神は婚姻が気に入らず皆に泣きついているとか」

「なぜ泣きつく。私は罰するのではなく、婚姻を許したのだぞ」
天君は不思議がっている。

玉梨ぎょくり元君に不満なのでしょう。」

「雲風はすでに親がない。そして師匠の天尊は山籠もりしており些事で煩わせられぬ。そこで薬王の婚姻の願い出を聞き入れた。雲風うんほうは放蕩者だがそろそろ改心すべきだ」

「ごもっともです」
百扇ひゃくせんは天君に揖礼ゆうれいした。

 

九宸きゅうしん景休けいきゅうの側を通りかかると、景休けいきゅうが声をかけてきた、

「話がある」
九宸は無視しようとしたが、景休けいきゅうは話し始めた。

「戦神は六界の兵事をつかさどる神で、お前は4代目だな。蚩尤しゆうから呂尚りょしょう 勾陳こうちんまで歴代の戦神は皆、英雄豪傑だ。しかし4代目は随分と違う。九宸戦神。もくを救った以上、本人のためを考えよ。もくは魔気を持つ身。誰かに見つかれば災いを免れない。お前が役目を放り出しここに居座れば、何者かがこの場所を探り当てるやも」

景休は話した。

「国師のお前は深手を負って人間界に流れ着いた。お前がとどまっているせいで、この場所が露見したらただでは置かん」

2人は別れた。

 

九宸が桃花小築とうかしょうちくから出ると、雲風うんほうがやってきて泣きついた。

「九宸さん、大変なことになりました。どうか助けてください」

「また面倒を?」

「私に婚姻のめいが」
「相手は?」
玉梨ぎょくりです」
「お前は薬王の弱みを?」

「何をおっしゃるんですか。薬王が天君に婚姻を願い出たんです」
「誠か?」

「もちろん。玉梨ぎょくりは九宸さんのことで私に近づいたので、てっきり九宸きゅうしんさんを好きなのかと。しかし全て策略だったのです。奇策で私を狙うとは」

「薬王は玉梨ぎょくりの勝手を許すまい。もしや玉梨に手を出したのか?」
「いえ。私には好きな女が」

「誰だ」
「青瑶です。手だてを考えてください」

「手だてが必要か?どうしても嫌ならば天君に訴えろ」
「それができるならお願いしません」

「では師匠に頼め。師匠はご面倒だろうが、玉梨ぎょくりに同情なさるはずだ」
九宸は桃花小築とうかしょうちくに帰ろうとしている。

「九宸さん」
雲風は九宸を呼び止め、九宸の前に回り込んだ。

「私は用がある」

雲風は行こうとする九宸の腕をつかんだ。

「どうせ霊汐れいせきを見守るだけでしょう。まさかおとうと弟子を見殺しに?九宸きゅうしんさんは今しんの臓がない。火精かせいで命を保っていますが修練に専念を。霊汐がごうを経たあとは夫婦となり永遠に一緒にいられます」

「離せ」
「承知してくれなければ離しません」

「用がある」
「九宸さん、私と天宮へ…」

2人のいる場所から、もくと景休が出かけていくのが見えた。

「嫁いだのですか」
雲風は九宸に尋ねた。
「違う」

九宸きゅうしんさんが去れないわけだ。確かに状況は複雑です」
雲風は言った。

「私も天宮ヘ行くべきだな。婚姻が間近だが、お前は親がなく師匠にも相手にされん。私が父代わりで薬王に会う」

「私のことなど、どうぞお気遣いなく。忙しいようなので失礼。ご用の際はお呼びに」

九宸の怖い顔を見た雲風うんほうは急に態度を変え帰っていった。

もくと景休は街に来ていた。
もくは心ここにあらずといった風で、景休けいきゅうが名を呼んでいるが気づいていない。

もく!どうした」
「なんでもない」
もくは我に返った。

「紙と筆を買うんじゃないの?お店はそこにあるわ。行って。私は薬舗に行く」

「送るよ」
「大丈夫」
「すぐそこだ」
「本当にいいの。1人で行ける」

もくは薬舗でそん医師に給金の前借を頼んだ。
そん医師は快く給金を渡してくれた。

「何かあったのか」
孫医師は心配している。

もくは首を横に振って、持ち場に戻っていった。

その晩、もくはごちそうを用意して、庭の食卓に並べた。

「これは2人の送別の宴よ」
もくは言った。

「送別とはどういう意味だ」
景休はもくを見た。

「2人ともここに住んでしばらく経つ。宋さん、あなたは科挙を控えてる身よ。家族はあなたに期待して、早くに都へ送り出した。あなたが官職を得て宋家の名を上げるようにと。そして今、科挙はいよいよ目前に迫ってるわ。科挙を受ける人が大勢都に入ったのに、あなたはまだここにいる。ご両親が知ればどれほど悲しむことか」

もくは九宸に話すと、次は景休けいきゅうに向き合った。

しゅうにいさんは、当初傷を負ってたからここに来た。傷はすっかり治って目もよくなったし、“長居するつもりはない”と言ってたわよね。あなたは屋敷も土地もあるし官吏だった。たとえ家族がいなくても、ずっと帰郷しないのはよくないわ」

「「もく…」」
2人は呼びかけたが、もくは立ち上がった。

「お二方。私は才能も徳もなくただの女子おなごです。お二方の厚意は身に余ります。この数日お世話になりました。茶でお祈りします。お二方の道中の無事と輝かしい前途を」

もくは茶をグイッと飲み干すと、礼をして去っていった。

「我らは追い出されたのか」
景休は九宸に言った。
「お前だ」
「認めないのか」

九宸は司命殿にいた。

「ひどすぎる。霊汐め、とてつもない度胸だ。九宸さんは大きな危険を冒し霊汐れいせきを救った。しかも家まで用意して見守っていたのに九宸さんを追い出すとは。あんまりではないか。それだけでなく、なんと心変わりして…。他の男に恋を。霊汐は冷酷すぎるだろう。頭にくる」

雲風は隣の司命しめいに話しながら、九宸の苦労を思いやった。
九宸は頭を抱えている。

「決めつけぬよう。あの者も追い出されたんですよ。霊汐は純粋なうえ神尊ひと筋でした。簡単に心変わりしないはず。ただ果たして何者が恐れ多くも神尊の意中の方を奪おうと?」

司命の言葉で、九宸は少し自信を取り戻した。

「遠くから見ただけだが、ずんぐりむっくりで顔は醜く品もない。九宸さんの足元にも及ばん」

「それは当然です。神尊は絶世の美男。六界で匹敵する者はいません。ただの人間が競えましょうか」

「司命、近頃修練は?」
九宸は立ち上がり司命に尋ねた。

「お恥ずかしい話ですが私は天宮に来てから、いささかも進歩していません。天君にさえ見放されました」

「向上心がないから数万年も上仙じょうせんのままなのだ。天君に見放されてよかったか?」

「まさか」
司命は揖礼ゆうれいした。

雲風うんほう、お前にも言ったはずだ。一身に修練せよと。5万年前上神に昇格するも、意思が弱くて精進できないため仲昊ちゅうこうらに何度も苦杯を喫している」

「まさしくそのとおりです」
雲風も揖礼ゆうれいした。

「お前はいつも返事だけで何も変わらん。神仙の長い命は無駄に生きるためか?」

九宸の言葉に、雲風うんほう司命しめい揖礼ゆうれいした。

「私もちゃんと修練したいですよ。でも無理なんです。仙力の強い九宸きゅうしんさんと違って、煩悩から逃れられない。婚姻の件以来青瑶せいように無視されている」

雲風は言った。

「上神は自称恋多き男で、女の扱いはお手の物では?なぜお手上げなのですか」

司命の言葉に、去ろうとしていた九宸は立ち止まった。

「お手上げとも言えない。九宸さんを見ろ。歴戦の強者だからある道理をご存じだ。戦と言うのは、勇猛さだけでは勝てない。敵の意図を先に読んで計略を練り、よく調査して力を蓄えておく。恋は戦のごとし。道理も同じだ。つまりだな、霊汐れいせきは人間になったあと、耳が聞こえず己を卑下しているから、恋に憶病になっており新たな一歩を踏み出せない。例えばもし戦の時、弱小部隊に出くわしたら、こっちが責めるほど相手は逃げるだろ」

雲風は九宸を意識しながら話している。

九宸は雲風うんほうの話に耳を傾けた。

「ではどうすれば?」
司命は思い出したように雲風うんほうに尋ねた。

「霊汐はか弱いが善良で、自分より弱い者を助けたがる。そういう者に近づくのは容易では?」

「なるほど“弱い者”か」
九宸は呟いた。

「恋は座って論じ合うものではない。毎日怖い顔をしていてもいけない。逆境にあるからと、何もせねば婚姻の縁まで失う。要するに、“大胆かつ繊細、口がうまくて厚かましい”。これで全てうまくいく」

九宸は雲風うんほうのアドバイスを聞いていた。

山霊さんれい界。

天息宮てんそくきゅうでは、仲昊ちゅうこう黒蚩こくし欽原きんげんを呼び出していた。

宝青ほうせい公主を使って各一族の降伏を試みてから一月余り経つ。役に立たない以上殺せ。黒蚩こくし

仲昊は命じた。

「私が始末します」
欽原きんげんが名乗り出た。

「お前が?お前はおとなしくしていろ」
仲昊に命じられ、欽原きんげんは退出した。

黒蚩こくしは欽原の後を追っていった。

「今夜、の刻に手を下す。伝えたいことがあれば急いで行け」
黒蚩こくしは欽原に言った。

「伝えたいこと?」

「とぼけるな。毎日牢に通い詰めているだろう。言っておくが私だけでなく、恩主もご存じだ。だから私に“殺せ”と。お前には無理だろ?」

黒蚩こくしが言うと、欽原は振り返った。

「そんな目で見るな。私と戦いたいのか。早く好きな女に会いに行け。お前は見る目がある。公主に惚れるとはな」

黒蚩こくしは笑って去っていった。

「逆族め。私がここを出たら、全員縛霊淵ばくれいえんに沈めてやる」
檻の中で宝青ほうせいが毒づいていると、欽原がやってきた。

「よくも来られたわね」
「餞別を」

「餞別?」
「死ぬ前に菓子を食べておけ。餓鬼にならずに済む」

欽原は檻の中に菓子を差し入れた。

「公主の私を殺す気?一族皆殺しになるわよ」

「謀反を起こした以上何も恐れない。一族皆殺し?私に一族などいない。義父の一族は、とうにお前たちに殺された」

欽原きんげんが話すと、宝青は勢いを失った。

「死にたくない。死ぬなんて嫌よ」

宝青ほうせいは欽原を見たが、欽原は立ち上がり檻に背を向けた。

「忠告したはずだ」

「死にたくないの。怖くてたまらない。助けてくれる?あなたは他の者とは違う。南極仙翁せんおうの弟子で悪党じゃない。私を救ってよ。お願い」

宝青ほうせいは欽原の腕をつかんだ。

欽原は宝青の手を振りほどいた。

「もうだまされない」
欽原は立ち去った。

檻の側に鍵が落ちていた。
宝青は鍵を使って檻から逃げ出した。

逃げ出した宝青ほうせい天息宮てんそくきゅうに忍び込んだのを黒蚩こくしは見たが、見ぬふりをした。

黒蚩こくしの所に宝青ほうせいが逃げ出したとの報告が入った。

「恩主の最も大事な駒だ。傷つけずに生け捕れ」
黒蚩こくしは命じた。

宝青ほうせいは森の中を逃げているところで、追手に追いつかれ囲まれた。

宝青は鞭を取り出し戦ったが血を吐き倒れた。

間一髪のところで、赤鷩せきべつが到着し、追手を倒した。
宝青は赤鷩せきべつが来たことを見届けると、意識を失った。

景休は薬舗の近くで代筆業を始めていた。

もく景休けいきゅうに会いに行った。

「あなたは官吏では?それに財産が有って裕福なのに商いをする必要が?」

「外に出たら銭が要る」
「なぜ去らないの?」
「やることがあるから去れないのだ」

ふみを書いてください」
お客さんが来て、もくは帰っていった。

「絶対にわざとよ」
もくは家路を歩きながら、つぶやいた。

『宋さんはそろそろ家に着いた頃ね。しゅうにいさんのようにごねないわ』

もくが家に着くと、門の所に九宸きゅうしんがいた。

「宋さん」
もく…」
「なぜここに?」
「待っていた」

「宋さん、言っておくけどあなたに嫁ぐ気はない。あなたならいい相手が見つかる」
「そなたを娶りたい」

「あなたは宋家の一人息子よ。なのに親元で孝行せず、こんな所にいていいの?」
もく…」

「話は以上よ。どうするかはあなたに任せる。宋さん、失礼」

もくは九宸に礼をして家に入っていった。

赤鷩せきべつが連れ帰り治療をすると、宝青ほうせいは目を覚ました。

「痛いわ」
宝青ほうせいは虫の息だ。

命珠めいじゅが傷ついていますが、私の仙力では治せません」
赤鷩せきべつは目を伏せた。

「景休さんは?早く捜して」
「しかし…」
「急いで」
「公主」
「早く行って。さあ。行きなさい」

宝青は弱弱しく手を挙げ、命じた。

「今すぐ」
赤鷩せきべつは配下に宝青を任せ、出かけて行った。

九宸は夜になっても門の外で待っている。

九宸が仙術を使うと、雷が響き、雨が降りはじめた。

書物を読んでいたもくは、外に意識を向けた。

「ひどい雨だから、もう去ったはず」
もくは呟いた。

気になったもくは、傘を差し外を見に行った。

九宸が門の所で立っているのを見つけたもくは、駆け寄って傘をさしかけた。

「まだ立ってるなんてばかな人ね」
九宸は笑っている。

「おかしい?」
「天さえ私に味方した」
九宸はくしゃみをした。

「入って」
もくは九宸を家の中に入れた。

「生姜の汁物をどうぞ。風邪をひかないように」
着替えた九宸にもくは汁物を持ってきた。

「ありがとう」
九宸は汁物を飲み始めた。

「まだ髪が濡れてる」
「拭いてくれ」
「私が?」
「頼む」
九宸は布をもくに渡した。

「そっちを向いて」
もくは九宸の髪を拭き始めた。

黙黙もくもく。そう呼んでも?」
九宸はもくの手を握った。

「もう私を追い出すな。いいね?」
「その…。夜も更けたから早めに休んで」
もくは戸惑い部屋から出て行った。

部屋に帰り寝台に横になったもくは、九宸に握られた手を見ていた。

翌朝、もくが起きると九宸が朝食を食卓に並べていた。

「おはよう」
九宸は起きてきたもくに声をかけた。

「随分早いのね」
「武芸者は早起きだ」

「宋さん。雨はやんだことだし早めに帰って」
もくが言うと、九宸は突然せき込んだ。

「どうしたの。大丈夫?」
「風邪をひいたようだ」

「あなたは武芸者でしょ。なぜそんなに体が弱いの?宋さん、私がだまされると思った?」

もくに見抜かれ、九宸は頭を抱えた。

「なぜ私を好きなのか分からない。きっと以前の私を哀れんだのね。それとも私はあなたの許嫁なのにしゅうにいさんをここに住まわせたから、許せないの?どんな理由であれ、私はあなたと一緒に帰らない。食べて」

九宸は咳をした。

もくが仕事に向かうと、街では月餅が売られていた。
もうすぐ中秋節だ。

「うちの月餅は絶品だし、ご両親に贈っては?」
店主に声をかけられたが、もくは買わなかった。

もくが月餅売りの店から離れると、すぐに景休と出会った。

「なぜ買わないんだ。じき中秋節だろ?私はもうそなたの家に住んでいない。この町にも住むなと?少し理不尽すぎないか?」

もくは無言で立ち去った。

景休は店主から月餅を買い、もくに渡そうとした。

「受け取れ」
「悪いけど要らないわ。中秋節なのに家に帰らないの?」

「忘れたのか?私に家族はいない。家に帰って誰と祝うのだ」

「ごめんなさい」
もく景休けいきゅうに向き合い謝った。

「本当に気がとがめるなら、私と中秋節を祝おう。いいかい?」

もくは立ち去り、景休けいきゅうは黙の後を追った。

突然景休けいきゅうの前に朱自在しゅじざい包鎖柱ほうさくちゅうが現れ叩頭した。

「仙師。…弟子の礼拝をお受けください」

周りには見物人が集まっている。

「知り合いなの?」
もく景休けいきゅうに尋ねた。

景休は首を横に振った。

「私、朱自在しゅじざい清風観せいふうかんの38代目。霊山で30年以上修行し、宿願は仙師のごとき悪を除く神仙になること。弟子の私に、何とぞご指導くださいませ」

朱自在しゅじざいは弟子と共に叩頭した。

「人違いだ。行こう」

景休は朱自在しゅじざいを仙術で動けなくすると、もくを連れて立ち去った。

「思い出した。さっきの師弟は見たことあるわ。小白しょうはくを捕まえようとしてて私が止めた。本当に面識がないの?」

薬舗について、もくは思い出し景休けいきゅうに話した。

「ないさ」
「じゃあなぜあなたを止めて、仙師と呼んだのかしら」

その時、外で妖獣が暴れ出し、ひどい騒ぎになった。

景休はもくを連れて薬舗の中に入り戸を閉めた。

街の人々は逃げまどっている。

包鎖柱ほうさくちゅう朱自在しゅじざいを連れて逃げようとしたが、朱自在しゅじざいは固まったまま動けない。

「仙師が与えた試練でしょうか」
包鎖柱ほうさくちゅうが言うと、朱自在しゅじざいは視線でうなずいた…。

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感想

天君の決定は覆せないのですか!?
薬王様。なんということをしてくれたんですか…。
誰も幸せにならない結婚です。

玉梨ちゃんの今までの態度は、全部自分と結婚するために奇策だと結論付ける雲風上神のポジティブさ(≧▽≦)イイネ

そして雲風うんほう上神の扱い…。
上神だからめちゃくちゃ偉いのに…笑

天宮の方たちの雲風上神に対する評価がひどい!笑
それだけ愛されているということですね。

九宸
九宸

もしや玉梨に手を出したのか?

師匠に頼め。師匠はご面倒だろうが、玉梨ぎょくりに同情なさるはずだ。

天君
天君

雲風うんほうは放蕩者

司命
司命

自称恋多き男

玉梨
玉梨

絶対(雲風に)嫁ぎたくない!女たらし

十三
十三

煩悩だらけ

薬王
薬王

(娘の好きな相手を雲風と誤解して)

せめてましな男を選びなさい

開陽
開陽

雲風上神は玉梨ぎょくり元君に釣り合わん

でもそんな雲風上神のおかげで、神尊はもくの家に再び入り込むことに成功しました。
神尊、めちゃくちゃ雲風上神の話を聞いていました。
すっごく参考にして実践してました。


“大胆かつ繊細、口がうまくて厚かましい”って、まさに雲風上神を表す言葉だと思いました。

司命は、「自称恋多き男」と雲風上神を評していますが、実際どうなんでしょう?
言われてみれば、元カノみたいなのは一切出てきませんね!?
だけど、青瑶に雲に乗ってアプローチした時、薬王洞の方々は雲風上神にときめいていたから、モテることはモテるのでしょうか?

私は、最初雲風上神を見たときは、「イケメン気どりかしら?ずうずうしいわね」と思ったのですが(失礼)、今は、「キャー大好き―(≧▽≦)」になってます!!イケメンに見えてます!!

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