運命の桃花~宸汐縁~第30話 一つめの劫

第30話 一つめの劫運命の桃花

運命の桃花 第30話 あらすじ

青瑶せいようの医術の腕前を見た軍人風の男は、青瑶に声をかけた。都では皇太子が危篤で、皇太子の病はは5月3日生まれの妖星の女子を殺さなければ治らないとされた。朝廷から侍衛が県にも派遣され、5月3日生まれの女子は捕らえられた。もくの誕生日も5月3日。りん家にも侍衛が乗り込んで来た。少海しょうかいは黙を隠し、黙は死んだと侍衛に説明した。侍衛は黙の屍を要求した。家族は黙の居場所を話すよう少海に言った。少海は黙が林家の子ではないことを話した…。

Cheesecake HOLIC



運命の桃花 第30話 登場人物

人間界に転生した霊汐。林家の(養)女。耳が聞こえない。宋子玉と婚約した。
九宸天族の戦神。神尊。黙に子玉だと思われている。
青瑶霊汐の姉弟子。薬王洞の医官。
黙の異母妹。
少海黙の父。
楊氏黙の母。
林夫人少海の母。
方駿5万年前、青瑶の人間界での夫だった人物の生まれ変わり。
承恩黙の婚約者・子玉の父。

運命の桃花 第30話 詳しいあらすじ【ネタバレ有】

人間界の役人専用旅館・庭軒楼ていけんろうでは、官吏が青瑶せいように泣きついていた。

「頼む。どうか助けてくれ。私が間違っていた」
「診療代は高いですがいいですか?」

「ああ、いくらでも払う。お助けを」

青瑶せいようは1階で男性を治療している。
その様子を方駿ほうしゅんも、軍人風の男も見ている。

青瑶は官吏の従者に薬の処方を渡すと、官吏の後頭部の毛を1本抜いた。

「排気のあと、その処方で薬を飲めば回復します」
「“排気”とは?」
「診療代を」

青瑶は診療代を受け取った。

すると官吏はおならをし始めた。
官吏はお腹を押さえて駆け出していった。

青瑶は病気の息子を持つ女性に官吏から受け取った診療代を渡した。

「お子さんには清潔な食べ物を」
青瑶は女性に助言した。

方駿ほうしゅんも軍人風の男も青瑶の働きを見て感心し頷いた。

「そなたはまさに名医だ。見事な腕前に感服しました」

方駿ほうしゅんは青瑶に頭を下げた。

そこに軍人風の男がやって来て青瑶に声をかけた。
「少々お話を」

もくは部屋で刺繍をしている。

九宸きゅうしん司命しめいは姿を消してもくの様子を見に来た。

「天地には成住壊空じょうじゅうえくう四劫しこう、人間には生老病死の四苦がある。神仙は幸運にも病と無縁なうえ、長命です。しかし3つのごうにおいて少しでも油断すれば骨肉が消え、五臓は灰と化し命を落とします。己の劫で亡くなった神仙は魔族に殺された者より多い。通常は1つずつ劫を経ますが、霊汐れいせきは地仙の身で3つの劫に遭う。これが吉か凶かは分かりません。ですが時が来れば劫は訪れます。どうかくれぐれも手出しせぬよう。これは災いにして縁でもあります。ひとたび成功すれば、肉体が再生されよみがえり、神魂が元の位置に戻る。霊汐の魔気は散り大きな果報も得られましょう。もし介入すれば逆にあだとなり苦労が全て水泡に帰します。霊汐の運名簿によれば、人生はわずか19年。いかに苦しくても短い年月ゆえ…」

司命は九宸に説明した。

「承知した。先に戻れ」
九宸は司命を先に返し、もくを見ている。

もくは刺繍を終え、机に肘を置きうたた寝を始めた。

九宸はもくの頭に手をかざした。
九宸の手は凍り始めた。

もくと目が合った気がして、九宸はもくの部屋から出て姿を現した。

九宸は先ほど凍った掌を見ていたが、氷はなくなっていた。

もくが部屋から出てきて、九宸に気づいた。
使用人が廊下を通り、もくはあわてて九宸を部屋に入れた。

『なぜここに?どうやって中へ?』
九宸は自分の手を気にしている。

もくは九宸の手を触り、あまりの冷たさに手を離した。

『なんて冷たいの。待ってて』
もくは九宸を椅子に座らせ、部屋から出ていった。

もくは生姜を入れた温湯を盥に入れて持ってきた。

『手を入れて』
「結構だ」
『生姜を入れたから、温まるはずよ』

もくは強引に九宸の袖をまくり九宸の手を掴むと、盥の中に入れた。

2人の距離が近いことに気づき、もくは慌てて体を離した。

九宸は手を拭き、もくに礼を言った。

『こんな夜更けに何しに来たの?』
「会いに来た。これは?」

九宸は机の上の巾着を手に持った。

『匂い袋よ』
「薬材か」
『冷えを取る』

九宸が巾着を袖に入れようとするのを、もくは止めた。

「私に贈るのでは?」
『まだ完成してないの。あなたの名を刺繍したい』
「これで十分だ」

『私たちは婚約してるけど、夜こっそり会うのはよくない。見送るわ。誰かに見つかれば面倒よ』

「そうだな」

もくは塀のそばまで九宸を送った。

『高い塀だけど、得意の武芸で飛び越えて』
「しばらく会いに来られない」

『勉学?科挙の準備ね』
「まあな」

『じゃあ体を大切にして。宋おじ様は名医よ。あなたの冷えの病は薬を飲んで治さないと』

「私がいない間、何が起きても思い悩むな。それを乗り越えれば、転機が訪れる」

九宸は手話をしながら話すと、もくの目に手を当てた。

もくが目を開けると、九宸は消えていた。

九宸は部屋に入るもくを見届けてから、九天に帰っていった。

少海しょうかい医署いしょ局に出勤すると、少海が頼んでおいた書が届いていた。

少海が喜んでその書を読んでいると、医署いしょ局の官吏が近くで噂話を始めた。

「なんと今朝ふう家に都の官吏が踏み込んだとか」

ふう家は悪事を?ありあえんな。ふう家は分を守り官吏の家柄でもない。そもそもなぜ都から官吏が?」

「捕まったのは娘だ」

「外出もしない箱入り娘が何の罪を犯せる。訳が分からんな」

官吏は訝しがっている。

少海も片耳で噂話を聞きながら首を傾げた。

医署いしょ局からの帰り、少海はちょうさんに出会った。

「さっき都の官吏がうちに来たんです。“県の女子おなごの生年月日を知りたい”と。もくさんの誕生日を見て茫然としてた。もくさんをお妃候補にしたいんですかね?でも私は伝えておきましたよ。もくさんは聞こえず話せない。お妃など無理だって。余計なことを言ってしまったかしら」

「とんでもない全て本当のことだ」

少海は張りさんの話が気になり、足を速めた。

家に帰ると、よう氏が出迎え、承恩しょうおんが汗だくでやって来たが、少海がいないので医署いしょ局に向かったと伝えた。

少海は慌てて医署いしょ局に戻った。

もくの部屋を掃除していた小菊しょうぎくは、子玉しぎょくの噂話を仕入れてきて、もくに聞きたいか尋ねた。

もくは恥ずかしそうに俯き、小菊しょうぎくを見た。

関心のないとき、もくははずっと俯いている。
小菊しょうぎくは話しを始めた。

「先日、隣県のかん様が茶館で放言しました。“県には才子がいない”と。すると宋子玉そうしぎょく様は怒り関様と詩作を競いました。そして関様をすっかり負かすと、過ちを認めさせて茶を運ばせたんです。まさに面目躍如ですよ。関様は恥じ入って、顔を真っ赤にしたとか」

宋子玉そうしぎょくさんは相手に過ちを認めさせて、しかも辱めたの?』
もく小菊しょうぎくに尋ねた。

「はい」

子玉しぎょくはそういう人だろうかともくは考え込んだ。

たんがやってきて小菊しょうぎくに手間のかかる洗濯を言いつけたため、小菊しょうぎくもくの世話をすることができなくなった。

少海が医署いしょ局に着くと、承恩しょうおんが血相を変えて待っていた。

「確かもくの誕生日は5月3日でしたね」
「そうだ」

「間違いなくその日ですか?」
「そうだとも。あの日は大雨が降っていた」

少海が答えると、承恩しょうおんは肩を落とした。

子玉しぎょくとは占いの相性が悪いのか?」
少海は子玉しぎょくに尋ねた。

「それならまだ挽回の余地があります。都にいる親戚から聞いたのですが、皇太子さまは危篤だそうです」

「娘と何の関係が?」

欽天監きんてんかんの大法師が“妖星が皇太子を制する。その者が死なねば天下は乱れる”と。妖星の誕生日はすでに算出され、官府が必死に追っています。もくの誕生日は、妖星のものと全く同じゆえ、見つかれば死を免れません。りん様、ふう家の娘はもくと同じ誕生日ですでに捕まりました」

「なんということだ。何かの間違いではないのか?」

「官府は容赦ない。家とちょう家の娘たちもやはり同じ誕生日で捕まりました。しかもちょう家の娘2人は双子だそうです」

少海は急いで家に帰った。

官府から派遣された兵士はもくの似顔絵を持ってもくを捜していた。

県の官吏は似顔絵の人物がりん家のもくであると兵士に伝えた。

少海がもくを連れて逃げようとした時、りん家の門が叩かれた。

「開けろ。お上の命できた。さっさと開けろ。門を突き破るぞ」

少海は裏から山の家にもくを連れて行った。

「説明している暇はない。とにかくお前を守るから待っておれ。よいな」
少海は黙に言い聞かせ、家に向かった。

りん家には兵士が乗り込み、家の者たちは皆兵士の前に集められひざまずいていた。

林黙りんもくはどいつだ。全員顔を上げろ」

兵士はたんの前で足を止めた。

「お前の名は」
「私は…林綻りんたんです。林黙りんもくは私の姉です」

「どこにいる」
「知りません」
「捜せ」

兵士は家中に散らばりもくの行方を捜したがもくは見つからなかった。

少海が帰ってきて、兵士に事情を尋ねた。

「私は御前軍の侍衛だ。こたびはそう貴妃きひの命で役目を果たしている。答えろ。林黙りんもくはどこだ」

「娘は死にました。昨日川で洗濯をしていて水中に落ちて死んだのです。亡骸はまだ見つかっていません」

りん殿、我らはめいを受けて動いている。もしお上を欺けば、死罪どころではない。一族皆殺しだ」

侍衛の話を聞いて、りん夫人は気を失った。

林黙りんもくは死んだだと?そうか。では直ちに屍を捜す。明日までに見つからなければ、この娘を殺すぞ」

侍衛はたんを指さした。

たんは兵士に捕らえられた。

「娘だけでなくりん家の者は全て道連れとなる」
侍衛達は撤退していった。

少海は家族を集め、皇太子が危篤であることや5月3日生まれの娘が捕らえられていることを話した。

もくはどこなの?」
りん夫人は少海に聞いた。

少海は口を閉ざしている。

「お前も聞いたでしょう。これはお上を欺く大罪よ。一族皆殺しになるわ」

少海は口を閉ざし続けている。

よう氏は一歩前に出て話し始めた。

もくは5月3日生まれではなく、私の実の娘でもありません」

「妻が長年身ごもれなかったため、母上は“側室を迎えよ”と。しかし私どもは…。もく慈幼じよう局からもらってきた子なのです」
少海が続けた。

慈幼じよう局?もらってきた?なるほど。大した度胸だわ」

りん夫人は激高して立ち上がり、血圧が上がりすぎたのかふらふらと椅子に座り込んだ。

「全て私が悪いのです。母上をだましました。しかしもくはこの全てと無関係です。りん家の子でもありません」

少海はりん夫人を支えながら話した。

「なら好都合では?よそ者のもくなど朝廷に引き渡して、たんを取り戻しましょう。旦那様、もくをどこに隠したんですか。教えてください」

たんの母は少海に縋り付いた。

もくの誕生日は5月3日ではない。朝廷が追う妖星ではないのだ」

「だから何だと?妖星かどうかは朝廷が決めます。何はともあれ、朝廷が追うのはもくたんは無実なんです。よそ者のためにたんを死なせられません。もしたんが死ねば、私もあの子の後を追います」

たんの母は大声で泣きだした。

「お前の話だと、もくは5月3日生まれではなく、りん家の娘でもない。たとえ私が信じても、官府の者は信じる?」

りん夫人は言った。
少海はその言葉で何かに気づき、駆け出していった。

少海が向かったのは慈幼じよう局だった。

こうさんに急な用事があるのだ」

少海は慈幼じよう局の者に言った。

「あの人なら数年前に亡くなった」

答えを聞いた少海は力を失い家に帰った。

家に帰った少海の前に家族が跪いた。

りん夫人も少海の前にひざまずこうとするのを、少海は止めた。

「お前のせいで、耳の聞こえないよそ者がりん家を巻き添えにする。まだ決められないの?全員が死に絶えてもいいと?母の死にざまを見たいのね。まだためらうなら、お前の目の前で自害する」

家族全員でりん夫人を止めた。

「分かりました。決めます」

少海はりんをかくまっている山の家に向かった。

もくが少海を出迎えると、少海はおかもちを持っていた。

もく、空腹だろう。食べなさい」

少海はもくの前に食事を広げ、食べさせた。

『父上、家で何かあったんでしょう?なぜ私をかくまって家に帰さないんですか。教えてください。私も一緒に手だてを考えます』

「心配ない。何もかも過ぎ去った」

『本当に?』

「そうとも。食事が済んだら、お前を家に送る。家に帰ろう」

少海はもくから視線をそらせた。

食事に薬が入っていたようで、もくの視界はぼんやりしはじめもくは机に突っ伏し眠ってしまった。

少海は眠るもくを見て涙を流した…。

高級感溢れる最幸チーズケーキ。著名人も多数が愛食



感想

なんだかとんでもないことになってしまいました。

いつの時代も偉い人に翻弄され苦しめられるのは下々の者なんですね(´;ω;`)
誰かの命を助けるために誰かを殺すなんて。
そう占えば(?)お金をもらえて敬われるなんていい商売です。
もし皇太子が死ねば、妖星を殺せなかったからだと言い逃れもできそうですし、いいね。

調べたところ、欽天監は実在したみたいです。

中国の明,時代に主として天文関係を担当した官庁名称では司天監などと呼んだが明以後は欽天監となる。天文観測作成天災などの予報,吉凶判断その他に関与した。長官を監正といい,そのもとに長官を補佐する左右の監副のほか春,夏,中,秋,冬官正の5官正がおかれた。清の欽天監は時憲科,天文科,漏刻科の3科を主とし,西洋暦を紹介したイエズス会宣教師も欽天監の監副などに任命された。

欽天監とは – コトバンク (kotobank.jp)

癒しは青瑶さんと神尊でした。

黙は小菊から聞いた子玉と、自分の知る子玉が違う人のように感じています。
そうです、違う人ですよ。
神尊は、挑発に乗らないタイプですし、相手を辱めたりしません。どうしたら相手を傷つけずに済むか考えるタイプです。自分が犠牲になるタイプです。大人です。


青瑶さんが官吏に診療代は高いですと言っていた時、青瑶さんってがめついのかと思いましたが、そのお金は貧しい人に渡すためでした。


そりゃそうですよね。
青瑶さんはご飯を食べなくても大丈夫だし人間界のお金なんて不要ですもの。

少海パパは苦しい決断を迫られました。
家族全員の命と黙の命を天秤にかけられました。
黙は妖星ではないのに、似顔絵まで書かれて行方を捜されています。

黙を出さなければ綻を殺すと侍衛が言った時、「どうぞどうぞ」と見ながら言いそうになりましたが、今回ばかりは誰も死んではダメだと考え直しました。
理不尽です。

運命の桃花~宸汐縁~ DVD-BOX2 [ チャン・チェン ]

価格:17,702円
(2021/3/15 17:35時点)
感想(0件)

コメント

タイトルとURLをコピーしました