夢幻の桃花 三生三世枕上書 第39話 孤独の記憶

第39話 孤独の記憶夢幻の桃花

夢幻の桃花 第39話 あらすじ

鳳九ほうきゅう陌葉はくように、九曲籠きゅうきょくろうの中で感じたことを話した。火事になりもう死ぬかもしれないと思った時、鳳九は紫の衣と白い髪の人物を思い出したと語った。鳳九は誰からも愛されず孤独な阿蘭若が、記憶がないながらもかつての自分と重なるような気がした。東華は蛇嫌いの鳳九のために、青殿下を眠らせた。鳳九は名ばかりの夫のはずの息澤が阿蘭若を気にかけているらしいことを不思議に思った。

1935年創業老舗ショコラティエ『サロンドロワイヤル』

夢幻の桃花 第39話 登場人物

鳳九青丘の姫。阿蘭若の夢に入り、阿蘭若になっている。
東華最も尊い神仙。鳳九を救うため阿蘭若の夢に入り、阿蘭若の夫・息澤になっている。
陌葉阿蘭若の師匠。鳳九と東華を救うため、連宋が差し向けた。西海の第二王子。
連宋天君の第三皇子。解憂泉で鳳九と東華が帰ってくるのを待っている。
相里萌比翼鳥族の第二王子。鳳九と東華を救いに夢の中に行きたいと思っている。
燕池悟魔族の青魔君。鳳九と東華を救う方法を探している。
茶茶阿蘭若の侍女。
青殿下阿蘭若と一緒に育った大蛇。
沈曄比翼鳥族の神官長。阿蘭若の夢を作った人物。

夢幻の桃花 第39話 あらすじ【ネタバレ有】

九曲籠きゅうきょくろうに閉じ込められ苦しい思いをしながら考えてたの。阿蘭若あらんじゃくは一生誰にも顧みられなかったけど、もし誰かに大切にされてたらきっと何倍にも恩返しをしてたと思う」
鳳九ほうきゅうは引き続き陌葉はくようと話している。

部屋の外で、東華とうかも二人の話を聞いている。
「ああ、確かに阿蘭若はそういう娘だ」
陌葉は答えた。

鳳九は阿蘭若のことをかばってくれた相里賀しょうりがについて尋ねた。
「(相里賀しょうりがは)王族の中で唯一阿蘭若を気にかけている。大王と別の妃の間に生まれた第一王子だ。…昔は大王に愛されていたが、大王が王后を娶ってから冷遇されるようになり観塵宮かんじんきゅうに移り住んだ」
話を聞いて鳳九は阿蘭若のことを哀れんだ。

九曲籠きゅうきょくろうに閉じ込められて、天を覆うほどの火や燃えた柱が倒れるのを見て、私はもう死ぬと思った。でもその瞬間、急に思い出したことがある。…誰かの姿よ。紫の衣と白い髪。顔は分からない。でも後ろ姿を見るだけでなぜか胸が苦しくなる。もしかしたら、あれが誰か思い出すのは全ての記憶が戻った時かも。だけど失った記憶が戻る前に私は殺されるかもね」

「案ずるな。そなたは体が丈夫だ。数刻耐えるのも難しい九曲籠きゅうきょくろうなのに夜通し耐えられた」
鳳九は月が見たくなったと言って陌葉を帰らせようとした。
陌葉は鳳九の体を心配し、共に外に出た。

鳳九は公主たちと息澤そくたくの関係について陌葉に尋ねた。
阿蘭若の夫なのに息澤そくたく橘諾きつだくをとても心配し、好いているように見える。
嫦棣じょうてい息澤そくたくを慕っている。

橘諾きつだく息澤そくたくを見ていると、羨ましくなるのだと鳳九は話した。
「ぼんやりした記憶だけど、私が好きだった方は必要な時にいつも居なかった気がする」
東華は仙術で姿を隠し、2人の会話を聞いている。

「今まで何度も死と隣り合わせになったけど、いつも独りで乗り越えた。その経験がなければ、九曲籠きゅうきょくろうで死んでたかもね。…それで橘諾きつだくが羨ましくなった。きっと息澤そくたく橘諾きつだくを愛し、大切にしてるのね。しかも橘諾きつだくは大勢に守られてる。もし息澤そくたくがいなくてもずっと安泰だわ。…阿蘭若は女子おなごでありながら誰にも深く愛されず守ってもらえなかった。…だけど私だって阿蘭若とあまり変わらない」

鳳九は俯きながら胸の内を語った。

「そなたは若いし今後よい出会いがある」
陌葉は鳳九をなぐさめた。

「巡り合うとすればどんな男が望みだ?」
「私は誰かの助けを待つほど弱くはない。誰も来なくても己の力で生き延びる。だけど私が怖い思いをした時はすぐに助けてほしい。見捨てることなく私に手を差し伸べ慰めてくれる誰かに巡り合いたい」
鳳九の瞳から涙がこぼれた。

「望んでもかなわないのはよく分かってる。でも考えると辛くて涙が出てきたの」
鳳九は本格的に泣き始めた。
東華が握っていた木の枝が折れ、花が散った。

泣き疲れて寝てしまった鳳九を陌葉が抱きあげようとすると、東華とうかが仙術で鳳九を移動させ抱きかかえた。
蘇陌葉そはくよう、後で訪ねる」
東華は一言言うと去っていった。

火事のため王宮に帰ることになり、鳳九は小船の部屋に運ばれた。
鳳九が起きると、東華とうかがすぐそばにいた。

息澤そくたく神君、部屋を間違えたんじゃ?」
鳳九は東華を避け部屋を出ようとした。
東華は鳳九の傷の具合を確かめようと脈を診た。

「私は阿蘭若よ。姉上じゃない」
鳳九はまだ脈を診ている東華とうかから腕を引き戻した。
「毎晩姉上に付き添っているのでは?…分かったわ。姉上は嫦棣じょうていを守りたいからあなたに頼んだのね?安心して。大王には告げ口しない」

鳳九は世話をしようとする東華とうかを断った。
「あなたは私と名ばかりの夫婦だけど橘諾きつだく嫦棣じょうていの肩ばかり持つのはよくないわ。阿蘭若あらんじゃくがかわいそう。あっ違うの。あなたの立場を考えればよくないと思って…」
鳳九はあわてた。

「関係ない。そなたは私が用意した水さえ飲むのが嫌か?」
鳳九は水を飲み、「血の味がする」と言った。

「あの夜そなたは思う者がいたと言ったな。…その者はそなたを失望させたのか?」
東華は鳳九を寝かせた。

「私が勝手に失望しただけよ。私たちは縁がないの。それによく覚えてない。縁がないのなら、いくら求めても結末は悲しいだけ。そう悟ったわ」

「もしも今その者が目の前に現れたら、それでも縁がないと思うか?」
東華は鳳九に尋ねた。

「私とその方に縁がないのであれば、今こそ完全に諦める時よ。だからもし現れたとしても気持ちは変わらない。むしろ現れてほしくない」
鳳九は言った。
「とことん失望させたようだ」
東華は呟いた。

眠くなったと言って鳳九は東華とうかに背中を向けた。
『近くにいると白檀の香りがするけど、どこかで嗅いだ覚えのある香りだわ』
目をつぶり、鳳九は思った。

鳳九の部屋から出てきた東華に、茶茶ちゃちゃせい殿下が眠らないと相談し、東華はせい殿下を眠らせた。

東華は陌葉を訪ねた。
陌葉は連宋れんそうに頼まれ夢に入ったこと、阿蘭若の中に鳳九の元神げんしんがあること、鳳九は阿蘭若の記憶を持たず、鳳九としての記憶もおぼろげなことを話した。

東華は誰が阿蘭若の夢を作ったのか陌葉に尋ねたが、陌葉は知らなかった。

「鳳九殿に阿蘭若の一生を順当に終えてもらえばより安全に夢から抜け出せるかと」
陌葉は東華に進言した。
「ここは霊気は少ないが清浄で元神げんしんの修復によい。私が不在の間、小白しょうはくの世話を頼みたい」
東華は陌葉にもう1つ頼みをし、出ていった。

連宋は解憂泉かいゆうせん相里萌しょうりほうと囲碁を打っている。
東華と鳳九の身を案じ、夢に入ろうとする相里萌しょうりほう連宋れんそうは止めていた。
そこに燕池悟えんちごが合流した。

墨淵ぼくえんの話によると、太古の戦場こそが本物の戦場で、血で血を洗う戦いだったという。…そして当時の戦で最も奮闘したのが帝君だ。返り血を浴びて全身が真っ赤になり傷だらけでも眉一つ動かさなかったとか。勇猛さでは誰にも及ばない。…帝君は己の力だけで天地の主になった。今は太古と違い何でも師について学べる。でも帝君の地位と名誉は命を賭して己の力で獲得してきた。帝君の生い立ちを?」

「天地の恩恵と万物のすいを集めて霊胎れいたいとなったのが帝君とか」
尋ねられた相里萌は答え、連宋は頷いた。

「帝君は生まれながらに重責を担い、碧海蒼霊へきかいそうれいで孤独に育った。誰からも守られず、時には妖魔にも虐げられた。碧海蒼霊へきかいそうれいの霊泉を何度も血で染めて、あのような傑物が世に出た。幾度も屍を乗り越え六界の最高位に昇り、八荒の衆生を安心させた。何もかも己の力で得たのだ。その凄惨な過去と比べてみよ。…出たくなればたやすく出てくる」

連宋は東華の生い立ちを語り、二人が夢の中に助けに行かずとも大丈夫だといった。
それほどの力を持つならなぜ出てこないのか、燕池悟えんちごは不思議がった。

梵音谷ぼんおんこくに何か秘密があるのやも」
連宋は言い、東華が出てきてから聞けばいい、心配無用だと二人を納得させた。

茶茶ちゃちゃは切羽詰まった様子で早朝に陌葉を起こした。
せい殿下を息澤そくたくに寝かせてもらってから、せい殿下が起きないそうだ。

「この件は私に任せよ」
東華が蛇嫌いの鳳九のためにやったことだと察した陌葉は言い、茶茶ちゃちゃは安心した。

体調が回復した鳳九が起きると、茶茶ちゃちゃが待っていた。
鳳九の罰は火事のためこれ以上ないそうだ。
「陌葉様が船首で魚を焼いています」
茶茶は陌葉からの伝言を鳳九に伝え、鳳九は喜び駆け出して行った。

陌葉は串に刺した魚を手で持ち、焚き火であぶっていた。
鳳九は串を地面にさし、魚の焼き方を教えた。
陌葉は魚を焼くのが初めてで、魚が焼けるまでのつなぎにお粥を用意していた。

鳳九はお粥を飲み干した。
「変だわ。最近何を食べても血の味がする」
「恐らく傷が癒えていないせいだろう。間違いない」
陌葉は何か知っているのをごまかしているようだ。

陌葉の焼いている魚は、息澤そくたくが届けたものだそうだ。
息澤そくたくと阿蘭若は愛のない夫婦のはずなのに、変だと鳳九は怪しんだ。

「何かに取り憑かれたのかと思ったけど、まだ癒えないのね」
鳳九は昨夜の東華の様子を思い返し考えた。
「本当に何も知らないのだな」
陌葉は呟き、魚を焼いた。

大王は沈曄しんように、何か気分を変える面白い趣向はないかと聞いた。
「今夜は流れ星が現れ夜空を楽しめます。梵音谷においては珍しき現象です。…王后や公主とご覧になってはどうです?」
沈曄しんようは提案し、大王は喜んで宴の準備を命じた。

鳳九は「甘すぎる」という陌葉はくように、「おいしいかんだってば」と菓子を差し出し一口だべさせた。
沈曄しんようは二人の様子を見て、幼いころ阿蘭若に食べ方を教えた日を思い出した。
沈曄しんようは鳳九を今夜の宴に来るよう誘った…。

感想

鳳九は阿蘭若と同じで自分は孤独だと言い、誰からも愛される橘諾きつだくを羨んでいます。

でも鳳九はみんなに愛されているように思えます。

家族はみんな鳳九のことを大切にしているし、司命や成玉もいる。帝君もいる。

でも鳳九は記憶をなくし、好きな人と縁がなかったという記憶がよみがえっているから、そう感じてしまうのでしょう。

早く記憶を取り戻して、愛してくれる皆のことを思い出して欲しいです。

鳳九が九曲籠きゅうきょくろうの中で思い出した紫の衣と白い髪の人物。
その色合いの人、1人しかいないのでは!?と思ってしまいます。

鳳九は息澤そくたくが何かに取り憑かれているのでは?と心配していますが、確かに取り憑かれています。

帝君に取り憑かれていますよ!!

鳳九はお粥を飲んでいました。
中国ではお粥って飲むものなんでしょうか?!
中国粥、大好きでよく食べに行くのですが、いつもレンゲで食べています。
中国人の方から見たら変に思うのでしょうか?気になります。

今回も鳳九は師匠とイチャイチャしていました。ほほえましかったです。

私は連宋殿下の話に出てきた、戦いに身を投じていた頃の帝君を見たいと思いました。

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