夢幻の桃花 三生三世枕上書 第13話 美貌の九美人

第13話 美貌の九美人夢幻の桃花

あらすじ

鳳九ほうきゅうは自分が玄仁げんじんの探している女だと名乗り出た。玄仁げんじん鳳九ほうきゅうに九美人の位と月華宮げっかきゅうを与えた。鳳九は沐風蝶もくふちょうの生まれ変わりである沐芸もくうんを侍女にした。楚宛そえん凌香りょうこう霊璧石れいへきせき探しは、玄仁の寝殿を残すのみとなった。楚宛は玄仁の寝殿に入るため画策した。玄応は楚宛に近づき、楚宛は警戒した。鳳九は倒れた。

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第13話 登場人物

鳳九尊い神仙だが、人間界の承虞国で男装をして統領として働いている。
玄仁東華が修為を回復するための、人間界での姿。承虞国王。
青緹玄仁の腹心の部下で承虞国将軍。
大内官玄仁の父の代から仕えている王の側近。
楚宛崇安国公主として承虞国に嫁いできた。記憶を失っているが、正体は魔族の公主姫蘅。宛雲宮に住んでいる。
凌香閩酥に顔を変えられているが、閩酥ではない。楚宛の侍女。霊璧石を探している。
玄応玄仁の兄。自分が王となるため策略を巡らせている。

あらすじ【ネタバレ有】

青緹せいていは図案の短刀を作るため、腕利きの職人を集めたことを玄仁げんじんに報告した。
そこに大内官が急いでやってきて、水に落ちた美女が見つかったと報告した。

鳳九ほうきゅうは女性の装いで玄仁げんじんの前に姿を現した。
玄仁げんじん青緹せいてい鳳九ほうきゅうの美しさに息をのんでいる。

鳳九ほうきゅうは性別を明かさなかったことについて玄仁げんじんに許しを請うと、玄仁げんじんはすぐに許した。
今まで白粉で隠していた鳳羽花ほううかも今は隠していない。

大王のそばにいたいという鳳九ほうきゅうに、玄仁げんじんは美人の位を与え、月華宮げっかきゅうに住まわせることを決めた。

近くで見ていた青緹せいていは視線を落とした。

「妃の位を授ける場合、まずは家柄を調査します。かくも性急な決定は掟に反するかと」
大内官は玄仁に進言した。

小九しょうきゅうは余の命を救ったのだ。その功に報いるには、美人の位でも足りぬ」
玄仁は強引に押し切った。

月華宮げっかきゅう鳳九ほうきゅうが一人でいると、司命しめいが様子を見にやってきた。

「勝手な真似はもう二度としない」

鳳九は司命に言った。

「帝君は情劫を経て目覚めれば何も覚えていません」

使命は念を押した。

「今度は私情で帝君と向き合わない。周夢渓しゅうむけいの身代わりとなり、帝君の情劫も乱さないわ」
鳳九は約束した。
「人間界に長くいれば仙術による傷が悪化します。いいですか、感情の起伏は抑えてください」

司命は鳳九に助言した。

玄仁げんじんは義母である賢太后の所へ来ていた。

命の恩人の鳳九を後宮に入れたと報告するためだ。

「恩返しならば財宝でも与えればよいわ。後宮に入れるなんて」
賢太后は苦言を言った。

「そばに置きたいのです」
玄仁は笑顔を見せた。
賢太后は玄仁の笑顔を見て折れ、しばらく様子を見てから妃とする儀式を行うよう玄仁げんじんに命じた。

月華宮げっかきゅうには侍女が集められていた。
鳳九ほうきゅう付きの侍女を選ぶためだ。

鳳九ほうきゅうは首に蝶のあざのある侍女を見つけた。
名は沐芸もくうんだという。鳳九ほうきゅう沐芸もくうんを侍女にすることに決めた。

鳳九ほうきゅうがあざのことを沐芸もくうんに尋ねると、沐芸もくうんは子供の頃から繰り返し同じ夢を見ていて、目覚めるとあざのあたりが熱いのだと話した。
夢の内容は、蝶である沐芸もくうんが粗相をして主に罰せられそうになったところを、女子おなごに救われるという夢だそうだ。

沐芸もくうんは人間界に落とされた沐風蝶もくふちょうだと考えた鳳九ほうきゅうは、沐芸もくうんにかんざしを与えた。

玄仁げんじんは今まで描けずにいた美女の絵をようやく描くことができ、意気揚々と月華宮げっかきゅうに向かった。

湯あみをしながら鳳九ほうきゅうは『縁』について考えていた。

『私と沐風蝶は縁があるのに、帝君とは縁がない。鳳九ったら絶対に動揺しちゃだめよ。大王は帝君じゃない。私の役目は情劫の相手になること』
鳳九は、自分に言い聞かせ湯船の中で頬を叩いた。

玄仁げんじん月華宮げっかきゅうにやってきたが、鳳九ほうきゅうはまだ身繕いの最中だった。

「九美人は月華宮げっかきゅうに慣れたか?」
玄仁げんじんは落ち着かない様子で沐芸もくうんに尋ねた。

「今日移ってこられたばかりですよ」
大内官が言うと、玄仁げんじんはそうであったと笑い、和やかな空気が流れた。

そこに鳳九ほうきゅうが湯あみから帰ってきた。
玄仁げんじんは大内官と沐芸もくうんを下がらせ、鳳九ほうきゅうと2人、寝台に座った。

2人の間には微妙な空間がある。

「そなたは余の妃だ。巷で言う夫婦だぞ。堅苦しくするな」
玄仁げんじんは、鳳九ほうきゅうを引き寄せた。

「夫婦?私は初めて妻になったので、まだ慣れません」
鳳九は俯いている。

「妃とする儀式は、母の意向でまだ行えぬ。しばらく我慢してくれ」
玄仁は言った。

「孝行は一番大切なので、太后に従うべきです。私は儀式など気にしません」
鳳九は気持ちを伝えた。

「余は気にする。そなたの家族を都に呼べば母の懸念を拭え、早めに儀式を行えるだろう」
玄仁は鳳九を見た。

『“天涯孤独”と言うべきかしら。でも私の性格に合わない身の上よ。ぼろが出そうだわ』
鳳九は考えた。

「実家は山奥にあり戸籍がないうえ、親はいつも遊歴しすぐには見つかりません」

「そうなのか」
玄仁は残念そうな顔をした。

「それは厄介だな。ひとまず配下をそなたの実家に送る。両親が戻っているやも」

「ご厚意に感謝します。ただ実家は辺鄙な所にあるので、私が地図を描いたのち献上します」

「よかろう。小九、見れば見るほど美しいな……余は決して好色ではないが、水に落ちた時、そなたに一目ぼれしてしまった。生まれてこの方初めてだ」
玄仁げんじん鳳九ほうきゅうを見つめ、口説いた。

『帝君の姿形でそんな言葉を。もう限界だわ』

鳳九ほうきゅうはぎゅっと衣を掴んだ。

「私は美形に弱いので、見つめないでください」
鳳九は言った。

「面白いことを申すな」
玄仁は笑っている。

急に鳳九ほうきゅうは咳込んだ。

「大王にうつすやも」
鳳九は玄仁のそばを離れた。

心配する玄仁げんじんに大丈夫だと言うと、儀式前で長居できない玄仁げんじんは帰っていった。

凌香りょうこう楚宛そえんの髪を梳かしながら、九美人が後宮に入ったことを話した。

「大王は公主に会いに来ないのに…」
凌香りょうこうは言った。

「くだらないことに気を取られてる。大王が誰を気に入ろうと関係ないわ。役目が先よ」

楚宛は凌香をたしなめた。

鳳九ほうきゅうは庭で芋を焼いていた。

「もし他の者に知られたら、きっと笑われますよ」
沐芸もくうんは言いつつ、鳳九ほうきゅうを見守っている。

「でも私の好物なの」
鳳九は言った。

そこに玄仁げんじんがやってきた。

「私は山育ちで、芋が好きなのです。お恥ずかしい」
鳳九ほうきゅうが恥ずかしがると、玄仁げんじんは芋を食べてみたいと言った。

鳳九ほうきゅうは焼き立ての芋を半分にして玄仁げんじんに分け、2人で食べた。

「後宮の女たちは皆、山海の珍味を好む。焼き芋を好むのは、そなたが初めてだ」
玄仁げんじんは言った。

「ある方が焼いた芋を食べて好きになったんです。一生で一番の味でした」
鳳九は話した。

今まで笑顔だった玄仁の顔から、表情が消えた。

「その者は非凡だな。焼き芋の腕前だけで小九しょうきゅうの心をつかんだ」
玄仁げんじんは鳳九を覗き込んだ。

「思い出と言うのは錯覚を起こします。時がたったあとよく考えてみたら、あの方との思い出はわずかしかない。私だけがそれを宝だと思い妄想ばかりして執着した。けれど美しい思い出を舌の上に残せば違ってきます。それは一種の本能になるんです。……あの方の焼いた焼き芋の味を思い出すと、世がどんなに乱れていても、私は安らぎと幸せを感じるのです」
鳳九ほうきゅうは語った。

「その者に会ってみたいものだ」
玄仁げんじんは複雑な表情をしている。

「無理です…あの方は天上に」
鳳九は玄仁を見つめ、心の中で『私の目の前にいる、記憶がない帝君のあなたよ』と呟いた。

宮女たちが噂話している近くを、巡回中の青緹は通った。

「山育ちの者はきっと色仕掛けに長けてる」
「大王を誘惑しようと、わざと水に落ちたそうよ」
宮女たちは鳳九ほうきゅうの悪口を言っていた。

「でたらめを。小九は文武両道で大王も救った。男も顔負けの忠義者だ。なぜ小九をおとしめる」
青緹せいていの配下は宮女を叱り、宮女は謝罪し帰された。

「小九は素性が不明ゆえ、王宮に置けば…」
青緹の配下は青緹に進言した。

「あの方は大王だけでなく私も救った。疑うならば私のもとを去れ」
青緹が言うと、配下は謝罪した。

楚宛そえん凌香りょうこう霊璧石れいへきせき探しは、玄仁げんじんの寝殿を残すのみとなっていた。

大王の寝殿に入るには楚宛そえんが手を打たなければならない。

楚宛そえんは考えがあると言って、鳩に手紙を持たせ飛ばした。

その鳩を1人の侍女が捕らえ中の手紙を確認すると、元に戻し再び鳩を飛ばした。

後宮では花見の宴が催されていたが、楚宛そえんの姿はない。
楚宛そえんは郷愁に駆られ気が塞ぐので、宴に水を差さないよう部屋で休んでいる旨大内官に託していた。

宛雲宮えんうんきゅうには足を運んだこともない。宛婕妤えんしょうよは冷遇されたと思い落ち込んだのか?」
玄仁は考えた。

「では宛雲宮に行かれては?宛婕妤えんしょうよは異国から嫁がれた。今とても心細いはずです」
鳳九ほうきゅう玄仁げんじんを促した。

「そうだな。では宛雲宮へ」

玄仁げんじんが立ち去ると鳳九ほうきゅうは眩暈を起こし、沐芸もくうんに支えられた。

感情の起伏はないのに体が辛いことに鳳九ほうきゅうは戸惑った。
以前仙力を使ったせいだろうかと考えながら、鳳九ほうきゅうは部屋に戻った。

玄仁げんじん楚宛そえんを訪ねると、楚宛そえん思慕牌しぼはいを彫っていた。

玄仁は物珍し気に思慕牌を手に取った。

「思慕牌を作るのは故郷の習わしです。亡き家族が安らかに眠れるよう祈りつつ、その人への思いを思慕牌に託します。その思慕牌は、私が母のために作りました」
楚宛は思慕牌について説明した。

「母君はすでに他界を?」

「はい。私を産み落とすとこの世を去りました。私は孝行ができなかったので、半月後の母の命日に思慕牌で母を悼もうと考えたのです」

「その気持ちは分かる。余の生母も、余を産んで間もなく亡くなった」
玄仁は寂しそうに話した。

「申し訳ありません。余計な話を」
楚宛はひざまずいた。

「立ちなさい。あまり悲しむな。体によくないぞ。するとじきにそなたの誕生日か」

「半月後です。私は早くに母を亡くすも、父に愛され毎年誕生日を祝ってもらいました」

「今年の誕生日は余と祝おう」
玄仁は楚宛の手に思慕牌を握らせ、政務に戻っていった。

玄仁げんじんの姿が見えなくなると、凌香りょうこう楚宛そえんに「成功ですね」と声をかけた。

「亡き王后の情報が役立ったわ」
楚宛そえんも満足そうな顔をした。

楚宛そえんが賢太后に挨拶に行くと、玄応げんおうが出てきた。

「そなたに会いに来た」
玄応げんおうは、楚宛そえんの耳元で声をかけた。

楚宛そえんがきっぱりと拒否すると、玄応げんおうは「“順調ゆえ、ご案じなく”」と楚宛そえん聶初寅じょうしょいんへの手紙に書いたセリフを口にした。

楚宛そえんは仕方なく玄応げんおうと東屋で話した。

「そなたと大王の婚姻には必ず裏がある。承虞国に来た目的は何だ」
玄応げんおうは楚宛に尋ねた。

応王おうおうこそ、後宮の動きに目を光らせておられる。その目的は一体何なのでしょうか」
楚宛は返した。

「私は承虞国じょうぐこくの王族だ。国の存亡に関わることは見過ごせない」

「応王、たかが1通の文で私を断罪できるなら、大王にご報告を。どうぞ」
楚宛は席を立とうとした。

「認めたくなければ私も強要しない。だが忠告する。思い上がって軽率に動くな。さもなくば容赦せぬぞ」

「つまりもう追究しないのですか」
楚宛は玄応を見た。

「そなたが独断でもめ事を起こさぬのなら、ぜひ友になりたい。そなたは宮中へ来たばかりだ。友が増えるのは、敵が増えるよりよい」
玄応は笑顔を浮かべ立ち去った。

「どういう意味でしょうか」
凌香は楚宛に尋ねた。

「応王は決して善人ではないわ。意図は分からない。ともかく今後宮中ではもっと用心しましょう」
楚宛は考えながら話した。

「大王の気を引いた今こそ、大王に近づき霊璧石を探すべきでは?」
凌香は尋ねた。

「焦らずに好機を待つわ」
「ですが聶様は待てないかと」

「では自分で穆寧殿ぼくねいでんを探ってくれば?私は止めないわよ」

「お許しを。全て公主に従います」
凌香はうつむいた。

集められた職人達は、短刀の図が精巧すぎて従来の工具では作れないと青緹せいていに泣きついていた。

「皆は各地の熟練した鍛冶師だ。我が国で最高の腕を持つ。お前たちがお手上げなら誰一人作れん。…できるだけ早く製作方法を考え出せ」
青緹せいていは職人たちに命じた。

宛雲宮えんうんきゅう楚宛そえん玄仁げんじん崇安国すうあんこくの料理をふるまっていると、鳳九ほうきゅうが卒倒したという報告が入った。
玄仁げんじん楚宛そえんは急ぎ月華宮げっかきゅうに向かった。

太医たいいにも鳳九ほうきゅうが倒れた理由は分からなかった。

鳳九ほうきゅうが目を開けると、玄仁げんじんの心配そうな顔があった。

「帝君」
鳳九は呟いた。

「誰を呼んだ」
玄仁は言った。

「大王」
鳳九は玄仁であることに気づき、半身を起こし謝罪した。

「構わぬ。目覚めればよい」
玄仁は言った。

「まだ王宮の暮らしに慣れぬから、体を壊したのだな。数日休んだら気晴らしに狩りを。先ほど何と呼んだ?“帝君”?」
玄仁げんじんは鳳九の身体を気遣っている。

楚宛は鳳九を大切に扱う玄仁の態度を見て、表情を曇らせた。

『目はうそをつかない。私を心底好きになったのかしら』
玄仁の目を見て、鳳九ほうきゅうは考えた。

『そんなことを考えたらまた帝君の情劫を乱す。私は役目を果たすの。全ては帝君のためよ』
鳳九ほうきゅうは自分に言い聞かせた。

側についているから休むようにと玄仁げんじんに言われ、鳳九ほうきゅうは寝台に体を横たえた…。

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感想

玄仁げんじんがニコニコしたり笑ったりしています。
やはり笑顔は良い!としみじみ思った回でした。
鳳九ほうきゅうも帝君の顔でそんなことを言われたら…とときめいてしまっていました。

このままで愛の苦しみなんて与えられる?大丈夫?と思いましたが、鳳九ほうきゅうは無意識のうちに帝君を想って語ってしまい玄仁げんじんを傷つけることに成功しています。

玄仁げんじんの傷ついたような顔を見ると心が痛みます。
きっと玄仁げんじんは天上にいると言うセリフを聞いて、鳳九ほうきゅうに芋を作った相手は亡くなったと思ったでしょうが、生きています!

鳳九ほうきゅうには人間界に親がいないこと、青緹せいてい鳳九ほうきゅうを好きになってしまった様子なこと、玄応げんおうが何を考えているのか分からないこと等々問題と心配事が山積みですが、これがどう物語に影響を及ぼすのか楽しみです。

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